家入氏らのキメラ、競合HRサービス「Talentio」運営のハッチを買収、100%子会社に

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2015.9.9

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買収交渉にあたったキメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏

採用プラットフォームなどを手がけるキメラは9月9日、HR(ヒューマンリソース)サービスの「Talentio 」を運営するハッチの全株式を取得し、100%子会社化することを発表した。契約の締結日は8月31日で、ハッチ代表取締役の二宮明仁氏は引き続きサービス運営にあたり、同時にキメラの執行役員に就任する予定となっている。

買収にかかった費用等の詳細は非公開。キメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏の話によれば、本件の話は2カ月前より始まり、具体的な契約や関係株主等の調整にかかった期間は1カ月程度のスピード感だったという。

「私たち以外にも複数買収したいという会社はあったようです。ただ、二宮さんと話をして、既存株主たちとの間でも落としどころがみつかったのでこのような形になりました」(佐野氏)。

実はこのハッチの運営するTalentioがやや厳しい状態にあったという話題は、以前から私も聞いていた。

聞こえてきた話というのはざっくり言うと、サービスの完成度が高い一方で運営するチーム(※補足追記を文末に掲載しました)に課題があった、というものだ。私は丁度その頃、キメラ代表取締役の家入一真氏から二宮氏と食事しながら色々話をした、という知らせを受け取っていた。大体それが2カ月ほど前のチャットなので、そこがスタートだったのだろう。

さておき、現在キメラが正式なサービスインを目指している「LEAN」と「Talentio」は同じくATS(アプリカント・トラッキングシステム)という分類では競合だったはずだ。この点について佐野氏は、Talentioが既に導入実績があること、サービスとしての完成度が高いことなどから、場合によってはTalentio一本で勝負することになるかもしれないと、様々な判断の可能性があることを話していた。

キメラの事業モデルは「再生」と「オリジナル」

通常、スタートアップにとってサービスは企業そのものであり、サービス名=社名となることも少なくない中、キメラはやや違った立ち位置にあることがわかってきた。当初より、LEANと並行していくつか他のサービス(ゲームを開発しているという話も聞いていた)を動かす、という話はなんとなく聞いていた。

なので私は当初、例えば現在メルカリがまだコウゾウという社名だった時、いくつかサービスを試して最も可能性があるものに集中しよう、というものと似ている戦略なのかなと考えていた。(コウゾウについては一発目のサービスが大きく成長したので、そのままメルカリに社名変更を果たすことになったが)。

ただ、佐野氏に話を聞くと、それとはちょっと違う様子だった。彼曰く、キメラは「企業再生事業とオリジナル開発事業」の二本立て戦略で、事業拡大を狙っているという。

「キメラ本体は開発陣のいる受託会社っぽい側面があります。いいエンジニアの集合体というか。自前の開発もできるので、どちらかというとそういう新規サービスのアイデアは家入さん。私の方はM&Aなどの方法で企業再生をしてこのキメラに合体させていく、というアプローチになります。太河さん(キメラ取締役の松山太河氏)は投資家として厳しい側面があるので、買収などについてはシビアなアドバイスを頂けるので助かっています」(佐野氏)。

通常、こういった企業再生はファンドが手がけることが多い。ただ、現在(株式問題や売上などの課題で)スタックしている国内スタートアップのような小さな案件を彼らは手がけない。つまり自然と消えてゆくのが運命だった。

こういうタレントを放置するのではなく、思い切って新しい場所に誘導することは国内の起業エコシステムにとっても有効に働く可能性がある。(もちろん、タレント買収はもっと大手企業が乗り出してほしいところではあるのだが)

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佐野氏の考える新しい働き方

キメラに集っている開発チームも、こういった有機的な動き方に対応するべく「自律して」働ける人を選んでいるという。コンサルティング的でもあり、ファンドっぽくもある、ある意味、この起業エコシステムの中で隙間を埋めるような役割をもったプロ集団、というイメージが個人的には一番近い。

最後になったが、二宮氏の体験談はまたどこかいずれ彼の口から話される時がくるかもしれないし、こないかもしれない。とにかく今は、家入氏や佐野氏らと共に新しい体制でサービスに集中し、より多くの企業に対して彼らが考える新しい採用の形を提案してもらえればと思う。

※追記補足:運営する「チーム」という表現や、特定の人物が映っている写真を使ったことについて一部憶測を生んでしまったようです。該当する方に配慮し表現の修正と写真の取り下げをしました。当方に特定の比喩を織り込む意図はなく、関係された方々にご心配をおかけしたことをお詫びいたします。

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