経営者はプレーヤーでありつづけるべきかーー次世代の経営者たちが語る「失敗と課題」 #bdash

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前編からのつづき

スタートアップ時の失敗談の次に起業家たちが口にしたのは「成長痛」に関する話題だ。このパートはモデレートを務めたグリー田中良和氏による、若手経営者のお悩み相談のような雰囲気で進行した。

前職からの転職組に対してどう義理を通すか

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組織が10人、50人、100人と大きくなると、誰もが経験する(であろう)話題が出てくる。しかし、そこに絶対の「解」はなさそうだ。

動画コンテンツの制作プラットフォーム「Viibar」を運営する上坂優太氏は、獲得する人材の元キャリアーーつまりは自分が以前在籍していた会社からの転職組ーーに対してどう対応すべきか、思案しているようだった。

「一つ壁というか、(楽天の先輩起業家として)ぜひ(田中氏に)お伺いしたいと思ってたんです。現在、社員が50人弱となって、ここから100人、200人と拡大していくことを考えると、できるだけトップの求心力と遠心力を使い分けないといけなくなります。つまり、ミドルマネジメント層が必要になってくる、ということです。

採用を考えた際、貴重な人材が来てくれるのは嬉しい反面、コンフリクトが発生することもあります。インターネット市場というのは人材の流動性も高いわけですが、一方でベンチャーとしてどうやって義理を通すべきか、悩んでいます」。

解を求められた田中氏も「答えづらい」と一言。確かに私も元いた会社からごっそり人材を引き抜いてスタートアップしたような方の話も聞くが、若干の不安も感じる。スタートアップだからとなんでもやっていいのだろうか?

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田中氏も、正解はもちろんないとしつつ、自分が大切にしていることとしてこのような話を共有していた。

「楽天を辞めてから5年くらいは、楽天から直接転職してきた人って一人もいないんですね。直接は呼ばないっていうのをやってました。多少なりとも自分がこの会社に貢献したと思えることがあったし、その会社を攻撃するようなことってちょっと寂しいかなって。

(会社が拡大すれば)自然とこっちからも転職するし、向こうからも来るから、そうなればもういいと思うんです。ただそれでもミドルマネジメント層の方というのはそれなりに認められている人じゃないですか。そういう場合は一言例えば上の人にいってから来てもらう。これからビジネスすることを考えると、その会社と取引があるかもしれないじゃないですか。本人のキャリアのこともあるし、信頼というものを壊さない、それが大切なんじゃないでしょうか?」

妥当なアドバイスの一方で田中氏は「ウチからは引き抜かないでね」と笑いを取るのは忘れてなかった。

プレーヤーか、マネジメントか

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私も考えさせられたのがこの話題だ。私は取材する書き手であると同時にメディアの運営者という面もある。プレーヤーとして現場に残り続けたいと思う反面、一緒にやりたいと集まってくれる人たちが増えてくればそうはいかない。

ママ向けのメディア・コミュニティ「ママリ」を運営するConnehito代表取締役の大湯俊介氏も同じような悩みを持っていた。

「会社が大きくなるにつれ、どこまでプレーヤーとしてあるべきか悩んでます。多くのユーザーに話を聞いて、インタビューしているのは私だったりするんですね。一方で事業の領域がいくつかできてきて、任せないといけないわけですが、そのバランスが難しい。もちろん、どこまでの会社を作るかによるとは思うのですが」。

これに対して田中氏はこう答えていた。

「自分としても大きなテーマなんですね。私がお伝えできる話としてあるのは、グリーはインターネットの会社ではありますが、紛れもないゲームの会社でもあるんですね。それでゲーム業界の社長に会うと、半分以上は普通にゲーム作ってるんですよ。

なので、製品を作ってる会社ではむしろ普通っていうことに気がついて。ネットも業種にはよりますが、プロダクトを扱うのであれば(社長が製品を作るプレーヤーであることは)普通のことなんじゃないかなって思うようになったんです」。

いろいろな会社のスタイルがあるのでこれは本当にケースバイケースなんだろうなと話を聞きつつ、確かに田中氏のいうようにプロダクトで成長した企業であれば、そのリーダーシップは類まれなる技術力で発揮して欲しい、というのが個人的な想いかもしれない。

例えば先日デビューを果たしたソラコム代表取締役の玉川憲氏などが好例で、やや閉塞感のある国内テクノロジー系市場において、圧倒的な技術力によってパンチの効いたプロダクトを世に送り出してくれた。

技術者であり経営者でもある彼のような存在、そしてインパクトのあるプロダクトを求めているというのが今の、少なくとも個人的な気持ちでもある。

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