Boxilのスマートキャンプが、グリーベンチャーズ、ベンチャーユナイテッド、アーキタイプから1.5億円を調達——クラウドサービスの機能比較サイトにピボット

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企業の提案資料資料公開とB2Bマッチングのプラットフォーム「Boxil(ボクシル)」を展開するスマートキャンプは4日、グリーベンチャーズ、ベンチャーユナイテッド、アーキタイプベンチャーズから1.5億円を調達したと発表した。今回の調達とあわせ、スマートキャンプは Boxil をクラウドサービスの機能比較サイトへとピボットを図ることを明らかにしており、新しい UI を公開した。

Boxil の正式ローンチは今年4月。Incubate Camp 8th への参加などの機会を通じてサービスのブラッシュアップを続け、これまでに200社以上の法人登録があり、1,000件以上の提案資料が公開されている。スマートキャンプ代表の古橋智史氏によれば、この半年間のユーザの動きを分析したところ、Boxil はクラウドサービスの提供企業がサービスを紹介するのに親和性があることを発見したのだという。Boxil では今後、クラウドサービスの機能、ユースケース、料金などを詳細に掲載し、潜在ユーザが類似サービスの中で比較検討する際の参考にしてもらう。

今回のピボットについて、古橋氏は THE BRIDGE に次のように語った。

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スマートキャンプ 古橋智史氏

Boxil の目線を、商品を売りたいと思っている人の視点から、商品を買いたいと思っている人の視点に変えることにしました。BI ツールはパッケージソフトから始まり、それがよりコンパクトなパッケージソフトになって機能別に細分化されました。そして、クラウドサービスへと移行してきて価格も安くなりましたが、逆に種類が増えたので、ユーザはどれを選べばいいのかわからなくなった。

一方、総務省のデータによれば、クラウドサービスを導入していない企業はその理由として、情報漏洩の不安、メリットがわからない、ネットワークの安定性への不安を上げているものの、昨年対比では導入企業の数は成長を見せている。つまり、導入を躊躇している企業でさえ、いずれクラウドサービスを導入することになるわけです。ここを伸ばしていきたい。

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出典:総務省「平成25年通信利用動向調査」

オンプレミスのソリューションやパッケージソフトと異なり、クラウドサービスでは、サプライヤーの営業マンやセールスエンジニアが客先に商品説明に来てくれることは稀だ。一方、クラウドサービスを導入していない企業では、「まずは担当者から説明を聞いてみないとわからない」「ウェブに紹介されている情報だけでは不明瞭」などの不満がある。スマートキャンプでは Boxil とあわせ、複数のクラウドサービス・サプライヤーが自社サービスを紹介する勉強会なども開催し、クラウドサービス未導入企業の担当者とのタッチポイントを増やす計画だ。

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将来的には、AppDirect のような、複数のクラウドサービスを単一アカウントで渡り歩けるアカウント・インテグレーションの機能、請求書が無いと経費の処理ができない企業のために、クラウドサービスのサプライヤーに代わって請求代行したり、複数のクラウドサービスの料金請求をまとめたりする構想もある。

アメリカの G2Crowd は、クラウドサービスの機能比較で有用な情報を提供しており、ユーザがクラウドサービス導入にあたって参考にすることが多い。クラウドサービスのサプライヤーにとっては G2Crowd での評価が、サービスを成長させる上での登竜門になりつつある。Eコマースビジネスの隆盛に価格比較サイトの存在が大きく関わっているように、クラウドサービスのさらなる浸透において、この種の機能比較サイトは重要な役割を担うことになるだろう。

今回調達した資金を使って、スマートキャンプは大幅に人材面を強化する計画だ。新規開拓および既存顧客のフォロー営業担当者フロントおよびバックエンドエンジニアを募集しているということなので、この分野に興味のある読者は連絡してみてほしい。

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