ARやVRが私たちの生活に与えるインパクトは過小評価されているーーその理由は?

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Matthew Szymczyk氏はZugaraのCEOである。

Above: A still-shot from the 2014 Dezeen YouTube video "The Future of Augmented Reality".
上: 2014年のDezeenのYouTube動画 “The Future of Augmented Reality”より

ここ数ヶ月、Goldman SachsDigi-CapitalABI Researchの各社が拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の市場予測レポートを発表した。予想される将来の市場規模はGoldman Sachsが最も控えめな800億米ドル、Digi-Capitalが最も大きく1200億米ドルである。

私はと言えば、最大の予想をしたDigi-Capitalに近い。このテーマをできる限り客観的に見ると(拡張現実企業のCEOとしてではあるが)、ほとんどのアナリストは拡張現実と仮想現実が実際に影響を及ぼす分野に関して、木を見て森を見ていないと思われる。

私が最も馴染みのあるリテール業界について見てみよう。Goldman Sachsはこの市場について、 拡張現実と仮想現実のソフトウェア市場のベストケースシナリオとして2025年までに16億米ドルになると予測した。これに対しDigi-Capitalがリリースした図によると、拡張現実のコマースだけで2020年までに100~200億米ドルに達する見通しのようだ。私がDigi-Capital予測の肩を持つのは、拡張現実(そしてある程度は仮想現実も)がリテール・パーチェスファネルに影響を与える分野が実にたくさんあるからだ。

リテール・パーチェスファネルの概念に馴染みのない方のために説明すると、これは最終的な購入に至るまでの各段階が含まれている。段階には商品の発見・認知、検討、試行、決定、購入、維持が含まれる。拡張現実はこれら全段階にそれぞれ影響を及ぼす。以下、最も控えめな予測をしたGoldman Sachsの予測が見過ごしている4つの主要分野を取り上げてみた。

1. 商品の発見と販売に向けた促進
モバイル端末で使用される拡張現実は、潜在的な消費者の目をバーチャルな販売商品に向かわせてくれる。ジオロケーションも活用すれば、ジオフェンスされたエリアでARのコンテンツを有効にできるほか、店舗固有のエリアをジオフェンスに設定することもできる(その過程で顧客を店舗に誘導できる)。例えば、小売店やブランド店はモバイル購買客に対し、特定の場所で拡張された視界を持つ環境でバーチャルなポップアップストアを設置することができる。買う側は携帯端末から品物を直接購入したり、売る側は店舗内で顧客の来店を待つこともできる。

2. バーチャル商品の試行とパーソナライゼーション
バーチャル試着室の技術がここでは鍵となる。ここではモバイルからディスプレイされる同期が、消費者にとってのパーソナル買い物アドバイザーの役割を持つ。1つの事例として、バーチャルで試してみたい商品を認証するためにディスプレイを使い、ビーコンで可動するタブレットやスマートフォンが使用される。消費者はこのディスプレイか自分の携帯端末から直接商品を購入できる。

3. 進化した生体測定とARコンテンツのデータ
これが、リテール業界における拡張現実に関して、アナリストが過小評価している、または見落としている分野だ。Kinectなどの3Dカメラは生体測定データのほかにも肌の色、髪の色、体型といった消費者の身体的な属性を捉えることができる。このデータは2倍の利用価値がある。まず消費者は、特定の商品に対しどのような反応をするかという情報に基づき、個人的なレコメンド情報を入手するのにこのデータを利用したり、同じような身体的特徴を持つ人から導き出されたレコメンド情報を入手できる。

次に小売店は、生体測定データに基づき商品のリアルタイムなフィードバック情報を受け取れる。ここ数年、商品を提供する際、消費者の動きや感情を認識するのにCoca Colaなどのブランド企業が利用しているインタラクティブ自動販売機が人気の手段となっている。MITの研究者たちも、消費者が商品を見ている時にその生体反応を評価すべく、カメラで脈拍を検知する取り組みを進めている。

4. ARオブジェクトと買い手のパーソナルプロフィール
小売店は私が述べた2つの機能(バーチャル商品の試行とパーソナライゼーション、生体測定とARコンテンツデータ)を組み合わせて、より進化したARソーシャルショッピングの体験を提供できる。友人とバーチャルな店で一緒に買い物をするのにどこでもつながることができ、自分仕様のレコメンド情報を受け取れる。小売店もまた、拡張現実のeコマース体験をスタイリストと共に高めることができる。スタイリストはリアルタイムで消費者とつながっており、バーチャルな品物を閲覧、お勧めしたりできる。

以上、アパレルやアクセサリー周りのリテール・パーチェスファネルについて、4つの特定分野を取り上げた。ARを小売ディスプレイスタンドとして配置したり、さらにはスーパーで商品を検討、購入してもらうために3Dカメラを備えたモバイル拡張現実を使用したりするなど、さらに深層に入り込めるリテール分野は他にもたくさんある。

この分野の中には、リテール現場で採用されるのにより現実的なものもある。2020~2025年頃までにこれらすべての拡張現実分野がリテール購買体験を根本的に変えてしまっているだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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