アスリートの動きを言語化して「美しいフォーム」を実現するLEOMO、バイク(自転車)向けデバイスを米国で発表

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.3.13

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LEOMO発表会は米国の競技用コースで開催された

「もうちょっと足を上げて、そうそう、そんな感じ」ーーランニングやフィットネス、各種スポーツをやったことのある人であればこういうコーチングを受けたことがあるんじゃないだろうか?

しかし言葉で受ける指導というのは常に定性的で曖昧だ。もしここに誰もが正しいと判断できる基準やスコアリングがあったとしたら、このトレーニングでの会話が大きく変わるかもしれない。そんなデバイスを公開したのがLEOMOだ。

スポーツ向けIoTデバイスを開発するLEOMOはウェアラブルデバイス「TYPE-R」を3月9日に発表している。主に競技アスリートがトレーニングをする際にパフォーマンスを最大化できるデータを各種センサーおよび表示用デバイスによって提供してくれる。これにより、アスリートのフォームや力の効率を最適化できるほか、怪我の防止や回復を助ける効果もある。

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サイクルコンピューターと同様にバイクに取り付ける

同社共同創業者でCEOの加地邦彦氏によれば、当面は招待制で販売する予定で、5月頃の一般販売を目指すという。

LEOMOの創業は2012年で、翌年にフィットネス系ログアプリ「Lemonade」(※当時の社名も同じ)をリリース。2015年8月にはFoxconnグループらから580万ドルを調達して今回のデバイス開発を進めてきた。社員数は28名で、アメリカ・サンディエゴと東京にオフィスを構える。

モーションキャプチャを普段のトレーニングに

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LEOMO

人の動きをデータ化する仕組みとしてはモーションキャプチャが有名かもしれない。人の体にマーカーを付けてスタジオの中に設置されているカメラで定点観測して動きをデータ化する。TYPE-Rの特徴はこのモーションセンサー類を外に持ち出した点にある。

「従来のモーションキャプチャはオペレーターが必要で数百万円の投資が必要です。さらにキャリブレーションするためにカメラが必要なので場所が制限されたんです」(加地氏)。

これによりアスリートやコーチのトレーニング環境と同じ条件下でモーションデータを収集することができるようになる。例えばコーチング対象のアスリートがフォームを変えた場合、データに反映されるので指導が的確に伝わったかどうかを確認することができるようになる。

「思った通り体を動かすのって実は難しいんです。自分ではまっすぐだと思っていても実際は違う。この脳と体の動きのギャップは言語化できてないんですね。言葉になっていないものを本人に認識させることは難しい」(加地氏)。

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体に付ける5つのモーションセンサー

TYPE-Rでは5つのセンサーを体に付けて計測し、ペダル速度や上下運動、骨盤の前傾角度などから動きを言語化していく。これらのデータはWifi経由でクラウド上にアップロードされ、どこでも解析できるようになるため、例えば遠く離れたコーチからリモートでの指導を受けるということも可能になる。

「美しいフォーム」の言語化に取り組む

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会場でのデモを受けて「Type-Rは私たちにどのように、そしてなぜ私たちがそうすべきか教えてくれる。「正しいこと」を一度でも知れば、コーチはアスリートにベストのパフォーマンス改善プランを伝えることができるようになるよね」というフィードバックも

例えばバイクレースで成績優秀な選手だからといって、そのフォームが美しいとは限らない。そもそもその「美しい」という表現は何をもってそういうのか。

こういったコーチとアスリートとの間に交わされる判断基準を明確化するため、LEOMOは今回の発表と同時に世界で活躍するスポーツ科学者、運動生理学者、コーチ、理学療法士、プロのバイクフィッターからなるシンクタンク、IMA(Institute of Motion Analysis)の設立を発表している。

IMAはトップスポーツに使用されているスポーツ科学を客観的データの側面から評価し、モーション解析をさらに有効活用できる領域を開拓するのが目的だ。

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LEOMOのプロジェクトにはスポーツ科学やアスリートなどの有識者も多数参加する

例えばスポーツの世界に食べログのようなスコアリングができる世界観をイメージすれば分かりやすいかもしれない。トップアスリートのランニングのフォームは総合得点で4.5、自分は3.0でどこにその差があるのか。そういった体の動きの違いをデータで見える化し、人類に共通認識を与える。

これが実現すれば例えば怪我の少ない動きとはどういうものか、速く走るためにはどのような重心が必要なのか、そういった説明が可能になる。加地氏はLEOMOの可能性についてこう語っていた。

「真円って美しいじゃないですか。でも誰一人としてフリーハンドで真円は描けない。けどプロってそれに近いものを描ける人だと思うんです。あなたにとってのベストの動き、自分にとっての真円を描くための判断基準を作りたいんです」。

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