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フードテック分野でも先進国、イスラエルで開催された「FoodTech IL 2019」に潜入——世界30ヶ国から1,200名超が集結 【ゲスト寄稿】

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本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo で事業開発を担当する Tomoko Sugiyama 氏による寄稿。 2019年5月に Aniwo に参画し、9月よりイスラエル駐在。 以前は、Amazon Japan で事業開発、ソフトバンクモバイルで事業開発を担当していた。 イスラエルは国土の60%が砂漠地帯であり、決して肥沃な農業地帯とは言えない国だ。そんな国土でも、土に頼…

Tomoko Sugiyama本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo で事業開発を担当する Tomoko Sugiyama 氏による寄稿。

2019年5月に Aniwo に参画し、9月よりイスラエル駐在。

以前は、Amazon Japan で事業開発、ソフトバンクモバイルで事業開発を担当していた。


イスラエルは国土の60%が砂漠地帯であり、決して肥沃な農業地帯とは言えない国だ。そんな国土でも、土に頼らない灌漑農業やその他の農業技術を駆使することで、90%以上の食料自給率を誇り、アグリテックが非常に盛んである。

農業にとどまらず、フードテックにおいてもイスラエルは先進国だ。PepsiCo がイスラエルの SodaStream を買収したように、国内外の大手食品メーカーがイスラエルスタートアップを買収し、その R&D をイスラエルで行うというモデルが出来上がりつつある。近年では政府がフードテック特化インキュベータ The Kitchen FoodTech Hub に出資、国としてもフードテックを重要カテゴリと位置付けていることの現れだ。

テルアビブ市内の FoodTechIL 2019 会場
Image credit: Tomoko Sugiyama / Aniwo

そんなアグリテック、フードテックが盛り上がりを見せるイスラエルの都市テルアビブで、2019年9月22日から26日までの5日間、食に関するカンファレンスやさまざまなイベントからなる催し「AgriFood Week」から開かれた。中でも、23日に開催された「FoodTech IL」は、世界中30ヶ国からフードテック関連の大企業・スタートアップ関係者1,200名以上が一堂に会する一大イベントだ。

<情報開示> Aniwo は、AgriFood Week の一部として開催されたオープンイノベーションプログラム「Global Ag&FoodTech TLV ’19」のパートナーを務めた

食品業界は横の繋がりが強く、10時のオープニングを前に早くも多くのゲストが集まり、コーヒーを片手にお互いに再会の挨拶を交わしている姿が目立った。イスラエルの食品メーカー大手 Strauss Group がカンファレンスのスポンサーを務めており、朝のコーヒータイムで提供されているフードは、Strauss 製品のオンパレードだった。

会場で提供された Strauss 製品
Image credit: Tomoko Sugiyama / Aniwo

午前中のセッションでは、食とテクノロジーに関わる6名が登壇した。オープニングスピーカーは Strauss Group 会長 Ofra Strauss 氏。「食は自分自身を位置付ける上で重要な要素」と、食の大切さを伝え、同時に持続可能な食の生産環境を維持することの大切さについても触れていた。

また、変わり種のスピーカーとしては、月面探査機の月面着陸プロジェクトを進めるイスラエルの民間宇宙団体 Space IL の共同創業者 Yariv Bash 氏が登壇。フードテックとは異なるものの、チャレンジすることの大切さを述べていた。

別会場では並行して終日 Startup Exhibition が開催されており、フード関連のスタートアップ40社が出展していた。にぎわいを見せていたのは、大豆から作った肉などの代替プロテインや、海藻・藻類を利用した食品や牛乳の代替食品など健康関連企業のブースだ。

代替ミートの開発を行う Rilbite はミートボールの試食を行なっていて、私も試食させてもらった。食感はやや硬めのミートボール。味はやや大豆の風味が感じられるが、癖はなく食べやすい。

Rilbite のミートボール
Image credit: Tomoko Sugiyama / Aniwo

やはり皆が注目している分野のようで、既に日本の大手企業からも商談が舞い込んでいるそう。3Dプリントしたステーキにお金を払う時代がもうすぐ来るのだろうか。

午後のプログラムはスモールセッションとスタートアップのコンペティッション。スモールセッションでは、食と健康、未来のプロテイン、プラスチック問題など食に関する様々な課題に関するディスカッションが行われた。いずれのセッションも大手食品メーカーがリードして行われており、セッションで議論されていた内容は、まさしく食品メーカー各社が取り組むべき課題でもあるということが感じ取れた。

クロージングを飾るコンペティッションでは、キノコの菌を利用した代替ミートの開発を手がける Kinoko-Tech や、既にサービスローンチ済みの、食品ロスの削減を目指す SpareEat などがピッチを行なっていた。優勝したのは、特別な孵化装置を利用して鶏卵の性別を変えることで屠殺されるオスの鶏の削減に取り組んでいる SooS Technology。この結果に関しては賛否両論あるようだった。

SooS のチーム
Image credit: SooS CEO Yael Alter

フードテックと一口に言っても領域と可能性は幅広く、皆が注目している理由が納得できた。イスラエルが持つ技術が今後食にどう活かされていくのか、改めて考える良いきっかけとなるイベントだった。

<参考文献>

イスラエルで開催された医療大麻カンファレンス「CannX Tel Aviv」に潜入——市場はお祭り騒ぎから事業性追求のフェーズに 【ゲスト寄稿】

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本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo で事業開発を担当する Tomoko Sugiyama 氏による寄稿。 2019年5月に Aniwo に参画し、9月よりイスラエル駐在。 以前は、Amazon Japan で事業開発、ソフトバンクモバイルで事業開発を担当していた。 2019年9月9日〜10日の2日間、イスラエルのテルアビブで開催された「CannX 2019 Medi…

本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo で事業開発を担当する Tomoko Sugiyama 氏による寄稿。

2019年5月に Aniwo に参画し、9月よりイスラエル駐在。

以前は、Amazon Japan で事業開発、ソフトバンクモバイルで事業開発を担当していた。


Image credit: Aniwo

2019年9月9日〜10日の2日間、イスラエルのテルアビブで開催された「CannX 2019 Medical Cannabis Conference」に参加してきた。医療用カナビス(医療大麻)のエコシステム活性化を目的としたカンファレンスで、今年で4度目の開催となる。

カナビスと聞くと、日本ではまだまだ危険なドラッグのイメージが強いが、世界では既に41カ国が医療用としての使用を認めており、大麻の抽出物である CBD(カンナビジオール)に関しては、51カ国が使用を認めている。

ラテンアメリカでは、カナビスによる国内外への経済効果が期待されており、現在はパナマを除く全ての国で、カナビスに関して医療利用、娯楽向け利用、栽培の全て、もしくはいずれかが合法化されている。

各国における大麻の取扱。青色は合法、黄色は非合法ながら犯罪とはみなされない、
ピンクは非合法ながら取締は頻繁ではない、赤は非合法(2018年8月現在)
Wikipedia: Legality of cannabis. CC BY-SA 4.0

今回のカンファレンスのプログラムを見てみると、医療用カナビスの効果に関する報告と、輸出入などの法規制やビジネス面に関するトピックが多かった。イスラエルではまだ輸出が認められていないので、輸出解禁に期待している人が多いようだった。

医療用カナビスの効能については、パネル展示でも成されており、日本からも一件、報告が上がっていた。CBD が引きこもりの改善に効果的であるという報告で、運よく会場でパネル出展者である京都大学霊長類研究所の正高信男教授ご本人にもお会いすることができた。

正高信男教授出展のパネル
Image credit: Aniwo

引きこもりの子はそもそも病院に行かないので、薬局で手に入る CBD の効果がきちんと認められれば、社会的なインパクトも大きい。CBD の取扱が認可されていない日本では、実証実験の実施も困難なので、今後、日本でも利用が認可されることに期待しているとのことだった。

教授は、CBD の自閉症への効果はさまざまなところで取り上げられているが、『引きこもり』は病名ではないので、海外では注目されにくいテーマだとも語っていたが、現地イスラエルのカンファレンス参加者も、興味深そうにパネルを見ていたのが印象的だった。

Cann10 の製品「Cannareet」
Image credit: Aniwo

一方、出展ブースはというと、医療用と、レクリエーション目的での CBD やテルペン [1] 利用製品の出展企業が半々という印象。その他、栽培関連で農業関連の企業からの出展もあった。

CBD オイルを扱っているイスラエルの Cann10 に製品について話を聞いたところ、最近は純度よりも、CBD の配合量を競っている感があるとのこと。また、CBD 市場においては品質管理が今後の課題の一つで、高い配合量をうたっていても、実際に効果が見られない粗悪品も増えているという。高品質のカナビスの安定供給を目指して、農業関係企業がカナビス栽培に乗り出す理由に納得だ。

出展ブースで目を引いたのは、CBD 入りのスキンケア用品と、見た目は電子タバコのような CBD 吸引機器だ。イスラエル国内では医療用以外の使用はまだ認可されていないため、いずれもレクリエーション用としては販売されていないが、EU 諸国では既に販売が開始されていて、かなり人気のようだ。

世界で初めて医療機器として登録されたという、CiiTECH の CBD 吸引デバイス「VapePod」。
吸引量を計測できる。
Image credit: Aniwo
イスラエルに本社を置くライフサイエンス企業 eSense-Lab のブース。
100%天然のテルペンを使用した製品を取り扱う。CBD 入りのクリームも展示していた。
Image credit: Aniwo

CBD を一切含まないテルペンの出展も見られた。

既に日本でも流通しているイスラエルの Eybna Technologies のテルペン。
ラベンダーなどのアロマ製品に使われる材料から、いちごやマンゴーなどフルーツから抽出したものまで、さまざまなテルペンが並んでいた。
Image credit: Aniwo

午後には会場が打ち合わせスペースも混雑しカンファレンスは盛り上がっていたが、2018年にも参加したという出展者によると参加者数はやや減った印象で、カナビス市場自体も、一時期のお祭り騒ぎから落ち着いてきているとのこと。スタートアップ、関連企業、投資家等のステークホルダーは、ビジネスとしてよりシビアに方向性を見出そうとしているようだ。

医療用、レクリエーション用、いずれのカナビス市場についても今後の展開に引き続き注目していきたい。

Image credit: CannX

  1. テルペンは、植物、昆虫、菌類などに含まれる脂溶性の有機化合物。人には森林浴効果をもたらし、植物にとっては外敵を防ぎ自身の体を守る物質の一つとされる。テルペンの多くがさまざまな味・香り・色を持っているため、大麻の香りや風味にも影響を与えている。 ↩

イスラエルがブロックチェーン領域で先端を行く3つの理由と、2018年注目プロジェクト7選【ゲスト寄稿】

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本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営し…

ani-terada-150x150本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営している。これまでに Aniwo による寄稿はこちら


Image credit: promesaartstudio / 123RF

【情報開示著者が経営する Aniwo は、以下に掲載されたスタートアップのうち、PumaPay、LeadCoin、Sirin Labs の3社について、契約関係があります。

グローバルで存在感を放つイスラエル

イスラエルスタートアップエコシステムの日本での認知度は年々高まっている。一般的に、サイバーセキュリティ、ヘルスケア、自動運転関連で注目されるイスラエルスタートアップだが、新たなトレンドとしてブロックチェーン領域での盛り上がりは見逃せない。2017年から新たな資金調達手法 ICO(Initial Coin Offering)が世界中で拡大したが、グローバルトップクラスの額を調達しているプロジェクトには、イスラエルのスタートアップコミュニティが深く関わっている。

2017年の資金調達額 Top10 のプロジェクトに絞って見ると、1億5,700万米ドルを集め、ブロックチェーンスマートフォンと OS の開発を進める SIRIN LABS が第3位にランクインしている。それに続く形で、トークンの流動性担保プラットフォームを開発する Bancor、また KIN を発行する Kik の ICO には、後述の Orbs チームが深く関わっている。

Business Insider の情報をもとに Aniwo が作成。

イスラエルがブロックチェーン領域で先端を行く3つの理由

このように、資金調達額、そして打ち出しているコンセプトの新しさで見ても非常に注目度の高いプロジェクトがイスラエルから多数輩出されている。その理由は大きく3つ挙げられる。

1. 未来志向のイスラエル人

よくイスラエル人は10〜20年先の未来を見据えた事業を創ると言われる。例えば、昨今重要性が増しているサイバーセキュリティであるが、業界最大手の Check Point Software Technologies は1993年設立、自動運転の核となる視覚システムを開発し2017年に Intel に153億米ドルで買収された Mobileye も設立は1999年であり、来る未来を見据えて研究開発と事業展開を行ってきたことが見て取れる。

そんなイスラエルで多くの起業家や投資家がブロックチェーン領域への転換を図り初めている点は興味深い。例えば、イスラエルで最もアクティブなVCの一つである Singulariteam は2017年よりブロックチェーン特化のファンド、Hub、コンサルティングサービスをワンストップで提供する Alignment Group を設立し、経営資源をそちらに集中している。

Singulariteam 共同創業者兼マネージングパートナー兼チェアマンの Moshe Hogeg 氏(右)とAlignment Group に属するスタートアップのエグゼクティブ
Image credit: Aniwo

2. イノベーター気質で層の厚いエンジニア

イスラエルから多数のテクノロジードリブンのスタートアップが生まれていることは良く知られているが、それを支えるのは多数のエンジニア、サイエンティストによる R&D 活動である。OECD の調査によればイスラエルは人口当たりのエンジニア数が世界トップとのことだ。

ソフトウェア開発の領域では特に Java Script や Python のエンジニアが多く、ブロックチェーン領域との相性が良い。現地での肌感覚としても優秀なエンジニア程、好奇心が強くイノベーター気質があるため、ブロックチェーンスタートアップの立ち上げや初期メンバーとしての参画を始めている例を散見する。

3. ユダヤ人のグローバルネットワーク

イスラエルの人口は約868万人だが、世界のユダヤ人の人口は約1,400万人を超え、特にアメリカやヨーロッパに多くのユダヤ人が分布している。彼らは、各国のスタートアップ、金融、法律、研究等領域で重要なポジションに居る場合が多い。それらの領域は規制、新技術、資金調達等でダイレクトにブロックチェーン領域の発展に繋がるため、ユダヤ人の人脈が活きる。

2018年注目プロジェクト7

上述のようにブロックチェーンスタートアップを生みやすい土壌を持つイスラエルだが、ここではイスラエル人が関わる注目のスタートアップ7社を紹介する。

1. PumaPay

PumaPay は、2018年5月に世界で7番目の規模となる ICO で1億1,700万米ドルの資金調達を行い、ECや事業者向けの決済プロトコルを開発する。従来の暗号通貨での支払い、ブロックチェーン上の処理では不可能だった、従量課金、口座引き落とし、割り勘といった支払い方法を可能にする。また独自のインセンティブプログラムとマーケットプレイスをウォレットに実装し、多くの暗号通貨ホルダーを呼び込むエコシステム構築を行っているのが同社の特徴。

2. Infinity AR

AR 開発のためのプラットフォーム構築を行ってきた Infinity AR は、これまで Alibaba(阿里巴巴)やサン電子等から累計2,500万米ドルの資金調達を行ってきたが、2018年にエクイティと ICO を融合したラウンドで4,000万米ドルの調達を計画している。TGE(トークン生成イベント)を通して、トークンエコノミーの形成、ブロックチェーンによるコンテンツマネジメント、トークンによる決済を含む XR の総合マーケットプレイスである IAR ストアを開発する予定。

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3. Orbs

Orbs は Kik が ICO を行う際にトークンエコノミー設計、システム開発等に携わった経験から、多数のユーザーを抱えるコンシュマー向けのアプリにおいてブロックチェーン技術の導入を容易にするクラウドサービスを提供しブロックチェーン、分散化時代の AWS を目指す。バーチャルチェーンと Helix Consensus Algorithm によってスケーラブルでスピーディーな処理を可能にする。

4. LeadCoin

LeadCoin は、ブロックチェーン技術を用いた分散型 Web マーケティングプラットフォームを開発。リード(購入見込み顧客)の購入意欲・購入希望商品などに応じて LeadCoin がリアルタイムでデータを更新し、事業者に情報提供を行う。LeadCoin のネットワーク上でのリードの売買は独自トークン LDC を用いて行われる。現在約97%が休眠データとなっている Web マーケティング業界で、分散化技術による高度なセキュリティを実現した新たな手法としてスタンダードになることを目指す。2018年3月に行われた ICO では30分以内に5,000万米ドルを調達した。

5. BlockTV

BlockTV は、現在中央集権的に情報のコントロールを行うテレビメディアをブロックチェーン技術を用いて非中央集権化することで、信頼度が高く意味のある情報を発信していくことを目指す。PoW(Proof of Watch)により、新たな形の広告モデルを構築し、視聴者限定の独自トークンBTVの配布を通じて新たなコミュニケーションを可能にする。2018年8月テルアビブでスタジオをオープンし、2018年12月より配信を開始予定。その後、ロンドン、東京、ニューヨークにもスタジオを開設予定。

6. Zinc

Zinc は、イスラエルのアドテク業界のユニコーンである ironSource とパートナーシップを締結し、ブロックチェーン技術を用いた広告配信プラットフォームを開発する。Zinc のウォレットアプリでユーザー自身の個人情報を入力することで、ユーザーに最適化されたトークンのリワード付き広告を他のアプリ上で閲覧が可能になる。

7. SIRIN LABS

SIRIN LABS は、世界初のオープンソース・ブロックチェーン・スマートフォンを開発する。同社が開発する FINNEY はハードウォレットを搭載しており保有するビットコインやイーサリアム、ERC20 ベーストークンの安全な保管が可能になる。また、SIRIN LABS のトークン SRN の利用によって、Dapp ストアからのアプリ購入や課金、ユーザー間での送受金が手軽に行えるようになる。既に鴻海の子会社と連携し、台湾にてデバイスの開発を進めており2018年末の発売を予定しており、東京にもストアをオープンする計画だ。

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以上のように、多数のブロックチェーンスタートアップが生まれており、インフラやユーザーベースが整ってきた状況を鑑みると、2018年後半から2019年にかけてイスラエルを筆頭に世界中で多数の Dapps スタートアップが生まれてくると考えられるので、その動向にも注目したい。

ブロックチェーン・スマホ開発のSIRIN LABS、「世界一セキュアなデジタル・プラットフォーム構築」を目指し12日からICO実施へ【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営し…

ani-terada-150x150本稿は、イスラエル・テルアビブを拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営している。これまでに Aniwo による寄稿はこちら


左から:SIRIN LABS CTO Eli Ben-Ami 氏、R&D 担当 VP Amit Krelman氏、HW Direector Sagiv Zeltster 氏,、CSO Oren Ben-Tovim 氏、CMO Nimrod May 氏
Image credit: Aniwo

【情報開示著者が経営する Aniwo は、SIRIN LABS が実施するクラウドセールの日本における PR とマーケティング活動を担当。

世界一の安全性能を謳った高級スマートフォン「SOLARIN」の開発実績を持つ SIRIN LABS が世界初のオープンソース・ブロックチェーン・スマートフォン/PCであ「FINNEY」を発表した。

スイス本社、イスラエルに研究開発拠点を持つ SIRIN LABS は、mobli や Yo の創業者として知られるイスラエルの連続起業家 Moshe Hogeg 氏、2016年にイスラエルの Most Active VC に選出された Singulariteam 創設者 Kenges Rakishev 氏、その他イスラエルのエリート部隊である8200部隊の元幹部のチームによって2013年に設立され、既に9,700万米ドルの資金調達を実施している。アドバイザーには、イーサリアム共同創設者の Steven Nerayoff 氏、Celsius Network CEO の Alex Mashinsky 氏、FC バルセロナ前代表の Joan Laporta 氏、Sony Mobile 元 CTO Takeshi Ito 氏等が名を連ねる。

CMO Nimrod May 氏
Image credit: Aniwo

Disney/Jetix や配車アプリ Gett のマーケティング責任者を歴任した同社 CMO(Chief Marketing Officer)Nimrod May 氏が SIRIN LABS のビジョンについて語ってくれた。

一般消費者はブロックチェーン技術には興味がありません。関心があるのは、提供価値についてのみです。多くの人々がインターネットを使いながらも HTTP に関心がないのと同じですね。我々のビジョンは、ブロックチェーンの分散型アプリと一般消費者の橋渡しをすることです。ブロックチェーン技術によって、無料のペイメント、アプリ課金、暗号化通信等をユーザーに意識させることなく実現していきます。

FINNEY のモックアップ(手前2つ)とSOLARIN実機(奥)
Image credit: Aniwo

Nimrod 氏は同社の技術的な強みについても説明してくれた。

SIRIN LABS は既に超高級価格帯のスマートフォン市場でリーダーとなっています。2016年に発売された SOLARIN は 256 bit AES による暗号化を実現しサイバー攻撃対策を防ぐソフトウェアを搭載しており軍用並のセキュリティ性能を誇っています。

そして、世界初のオープンソース・ブロックチェーン・スマートフォンである FINNEY には、IDF(Israel Defense Force)8200部隊出身のサイバーセキュリティエンジニアの技術、2017年6月に1億5,300万米ドルをICOで調達した当社のパートナー企業 Bancor のプロトコル技術等、最先端のテクノロジーが詰まっています。

SIRIN LABS イスラエルオフィス
Image credit: Aniwo

また、Nimrod 氏は、ブロックチェーン・スマートフォンのポテンシャルと日本市場進出への展望についても、こう語ってくれた。

Bitcoin は既に数百万人以上の人々に利用されています。また Bitcoin の存在について知らない人はこの業界にはいませんよね。そういう意味でもブロックチェーン技術が日常に浸透していく準備は整っており、セキュリティや決済手数料等の解決すべき大きな問題が横たわっている今こそ、SIRIN LABS が FINNEY を開発するベストなタイミングだと考えています。

また、日本での Bitcoin や ICO への投資額も目を見張るものがあります。世界的に見てもテクノロジーに対する受容度とデザイン感度が高い日本市場は  SIRIN LAB  にとって最も重要な市場の一つになるはずです。

FINNEY の開発資金調達のため、2017年12月12日よりクラウドセール(ICO)の実施を予定しています。我々のビジョンに共感くださる方々の参加をお待ちしています。クラウドセールへの参加方法や製品の詳細については、SIRIN LABS 全メンバーが参加している Telegram グループTwitter で質問を受け付けています。

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GE、イスラエル/日本発のスタートアップIQPを4,000万ドルで買収——コードを書かずに産業IoTアプリを開発できる環境を提供【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTim…

chikara-ueno

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。


産業用 IoT のイメージ
Image credit: IQP

イスラエルのスタートアップの勢いが止まらない。IQP Corporation(以下、IQP と略す)はコードフリーで IoT アプリケーション開発を可能にするプラットフォームとランタイム環境である IQP を開発するスタートアップだ。IQP は31日、GE のソフトウェア開発部門である GE Digital に買収されたと発表した。同社は買収額をあきらかになっていないが、イスラエルメディア各社が伝えるところでは、4,000万米ドル前後と推定される。

IQP は2011年に東京で設立、イスラエルのヘルツェリアに研究開発拠点を設置し、2016年にはアメリカ市場進出に向け本社をパロアルトに移転した。これまでに SBI インベストメント、富士通からそれぞれ300万ドルの資金調達を実施している。

GE と IQP は研究開発拠点を置くイスラエルのヘルツェリアで2016年に実施された GE Digital Accelerator への参加を機に連携を開始、今回の買収に至ったという。

IQP は、ウェブ上の直観的なUIを用いることで、システム開発経験の無い人でもプログラミングをすることなく IoT アプリケーションを開発することのできる開発環境を提供する。IoT ビジネスを考える企業は、IoT アプリケーションに不可欠なモニタリングとコントロールの機能をコードレスで開発することができる。同社の顧客には、トヨタやモトローラ、富士通などがいる。

今回の買収を機に、IQP は GE の産業用 IoT プラットフォーム「Predix」を基盤としたアプリ開発ツール「Predix Studio」と連携し、より迅速なアプリ開発とその可視化機能を一層強化。一方、GE Digital は従来のシステム開発者以外の人々にも、IoT アプリケーションの開発を可能にする仕組みを提供し、産業用 IoT の顧客は新たに開発するアプリケーションの市場投入までの間隔を早めることができるという。

IQP の日本におけるセールスディレクターを務める石井将太氏
Image credit: Aniwo

IQP の創業者で代表取締役の Guy Kaplinsky 氏は、日本企業での勤務経験もあるシリアルアントレプレナーで、今回の IQP の GE へのバイアウトは2度目のイグジットとなる。かつて弊社(Aniwo)のイベントでの登壇していただいた際にも、「日本の強みである、ものづくりや製造業の強みとイスラエルがもつソフトウェアの強みを掛け合わせることで、IoT ビジネスにおけるスピードと投資対効果にイノベーションを起こすことができる」と話していた。今後も日本企業とイスラエルベースのスタートアップの連携から目が離せない。

弊社では、8月3日および8月24日に、IQP の日本におけるセールスディレクターを務める石井将太氏をゲストスピーカーに迎えイベント開催する予定だ。イスラエル企業と日本企業の連携、イスラエル人 CEO との仕事の進め方などについて、実体験に基づいた話をお聞きいただけると思う。

Intel、イスラエルのMobileyeを1.5兆円超で買収——自動運転車の未来の鍵は、イスラエルにあり【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTim…

chikara-ueno

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。


Image credit: Chikara Ueno

2017年の3月中旬に Intel がイスラエルの Mobileye を$14-15B、つまり1.5兆円強で買収するというニュースが話題になっている。

Mobileye といえば、言わずと知れた先進運転支援システム(ADAS)のグローバルリーダーで、高い画像処理技術と独自のチップセットを用いて、自動車の衝突リスクの低減を可能にする後付け可能なソリューションを開発しているイスラエルを代表する企業である。

両社の連携は今回に始まったわけではなく、2017年1月にも Intel、Mobileye および BMWの3社で自動運転車の開発に向けたパートナーシップを発表しており、今回の買収についても今後の自動運転車の商用化に向けた取り組みを見据えたものだと報じられている。

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イスラエルで自動運転車の技術開発を進める自動車メーカー

今回の Intel による Mobileye の買収は、スタートアップ大国イスラエル国内においても最大のディールとして大きな話題となっているが、自動運転車の開発に向けた連携や技術探索を行っているのは、もちろん Intel や BMW だけではない。

自動運転車は ADAS、各種光学センサーやソフトウェアアルゴリズム、バッテリーやセキュリティなどさまざまな技術を集めた結晶であるため、大手企業とスタートアップの連携が盛んな分野である。そして、イスラエルのスタートアップは世界中の自動車メーカーからの注目を集めている。

例えば、Folkswagen は昨年、イスラエル版 Uber ともいえるタクシー配車アプリを開発する Gett に対して昨年$300M(300億円強)の戦略的投資を行い、次世代モビリティの構築を模索、フォードは昨年自動運転車の実現に向けたコンピュータービジョンと機械学習の優れた技術を保有するイスラエルのスタートアップ SAIPS を買収している。

他にもコネクテッドカーのハッキング対策を目的として自動車向けのファイアウォールを開発する Argus Cyber Security は、カナダ発で世界第3位の自動車部品メーカーの Magna International との提携を発表、イスラエルに R&D 施設を置く自動車企業は他にも、GM や Daimler、Boche などがあり、ほぼすべての世界の自動車大手が技術開発を行っている。

イスラエル Automotive 2.0カオスマップ(クリックして拡大)
Image credit: Vertex Ventures

上で紹介した以外にも、エレクトロニクスや素材、GPS や通信など、さまざまな領域で優れた要素技術を保有するイスラエルのスタートアップが、自動車メーカーに限らず、Google など自動運転車の実現や商用化に取り組む世界中の企業から今後も注目を集めそうだ。

世界中の頭脳が集結~イスラエル「BrainTech 2017」カンファレンスレポート【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTim…

chikara-ueno

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。


ブレインテック(脳神経科学)という言葉に馴染みのある読者の方はどれくらいいらっしゃるだろうか?

イスラエルでは現在、脳神経科学を活用したスタートアップが100社以上活動している。今回は、イスラエルで行われた脳神経科学分野に特化したカンファレンス「BrainTech 2017」の様子をお届けしようと思う。

BrainTech 2017 の主催は、イスラエルのブレインテック・スタートアップハブである非営利団体の Israel Brain Technologies。中東和平でノーベル平和賞を受賞、昨年死去したイスラエル国前首相で、科学技術やスタートアップエコシステムの積極的な支援を行っていた Simon Peres 氏が設立を主導した団体だ。

同団体は、BrainTech のようなグローバルカンファレンスの他にも、ブレインテック・スタートアップ企業の創業支援を行うアクセラレータープログラム「Brainnovations」や、投資家や大企業のネットワークを活用してブレインテック・スタートアップの資金面での支援を行う「Braingels」などを通じて、ビジネス化に向けて時間やナレッジ、資金を必要とするブレインテック・スタートアップの創業からスケールアップ支援を行っている。

Simon Peres 氏の子息で、Pitango VC 創業者の Chemi Peres 氏

キーノートスピーチでは、イェール大学や UC バークレー、WHOといった世界中の研究機関の研究者や、ノバルティスやファイザー、テバといった製薬会社の研究者や投資担当者が登壇、アルツハイマーやアイスバケツチャレンジなどで話題になったALS(筋萎縮性側索硬化症)、脳卒中や鬱などといった脳神経や中枢神経関連の疾患の原因特定や治療法に関する最先端の研究や取組みなどを紹介、議論を行った。

神経科学の領域はガンに次いでベンチャー投資が増えており、近年では薬物療法だけではなく脳波センサーやBMI(Brain Machine Interface)、ソフトウェアアルゴリズム技術の発達により、メディカルデバイスを用いたアプローチも増えているという。

カンファレンスで行われたスタートアップのコンペティションでは、Brainnovations に採択されたブレインテック・スタートアップ企業5社がピッチを行い、VR を用いた神経認知障害の診断および治療モニタリングシステムを開発するEyeMind が優勝、サンフランシスコ行きの航空チケットを獲得した。

パビリオンでブースを出展していた企業の中では、簡単なアンケート結果と唾液サンプル、NIH(アメリカ国立衛生研究所)のデータベースを機械学習技術を用いて解析することで鬱患者向けの適切な治療の意思決定をサポートする Taliaz Diagnostics や、Microsoft Accelerator へも採択されている、Kinect 上でのリハビリゲームを制作、画像処理と機械学習を用いて個人の認知能力に適した難易度のゲームを自動生成する Intendu、音声認識技術を活用した認知障害の早期診断などに取り組む Beyond Verbal のブースなどに多くの人が集まっていた。

本カンファレンスには、イスラエル内外のVCやIBMなどのIT企業、日本からも大手企業の研究者が訪れるなど、世界中から1,000名以上の参加者があった。脳神経や中枢神経の活動を明らかにすることで、患者にとってはより効率的で安価な治療法を提供、一般消費者に対しても集中力や認知能力、興味の度合いを明らかにすることで生産性向上やマーケティング、スポーツ、教育などの分野での活用が始まりつつあるブレインテックに、世界中の企業や投資家からの密かな注目が集まりつつあることが感じられた。

イスラエル・スタートアップの祭典「DLD Tel Aviv 2016」現地レポート【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTim…

chikara-ueno本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。


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イスラエルでスタートアップが盛んだということは、日本でもニュースなどで頻繁に報じられるようになったので、ご存じの方は多いかもしれない。

今回は年に一度イスラエルの商都テルアビブで行われる DLD Tel Aviv Innovation Festival(以下、DLD Tel Aviv と略す)の状況についてお伝えしようと思う。

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イスラエルのスタートアップ概況

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イスラエルは「スタートアップ大国」と言われる。

年間1,000社近くのスタートアップが創業、5,000億円程度のスタートアップ投資が国内外から集まり、2015年の年間M&A総額は62件で約7,000億円、そのうちの約50件が海外企業に買収されている。

人口約800万人の小国イスラエルが、世界から「スタートアップ大国」と言われる理由は、数値からも見て取れる。

DLD Tel Aviv とは…

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そんなイスラエルの商都テルアビブで年に一度、世界中から企業や投資家、政府関係者を集めて開催される〝スタートアップの祭典〟が DLD Tel Aviv だ。Aniwo にとっては、二年前にテルアビブで創業して以来、今回で3度目となる当カンファレンスの模様をお伝えしたい。

開催されたのは9月24日〜29日。地中海の東端に位置するイスラエルは3月から10月まではほぼ雨が降らないため、快晴のもと DLD Tel Aviv は幕を開けた。当カンファレンスは大別すると、メインカンファレンスとそれに関連するサブイベントの二つに分けられる。

メインカンファレンスは、メイン会場である Hatachana Compound という、イギリスの統治下にあった時代の古い駅を改修した野外のショッピングエリアを二日間貸し切って行われる。会場内には、スタートアップ企業のブース出展はもちろん、毎年 Google やMicrosoft、Intel、Facebook といった企業が自社の取り組みやテクノロジーの展示を行っている。今年も同様、Intel や Samsung などの多国籍企業がイスラエルのスタートアップとの交流を目的として、テントやブースでの展示を行っていた。

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また、企業だけでなく、スタートアップの誘致や自国の市場の魅力を伝えることを目的として出展している、フランス・ポーランド・ハンガリーといった国々の政府系機関のブースが昨年に比べて増加していた。

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メインカンファレンスの他には、以下のようにさまざまな分野でのオープンミートアップやクローズドでのパーティーが開催される。

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このようなミートアップイベントは、テルアビブ市内の有名なバーやクラブを貸し切って開催されることが多く、ほぼすべてのイベントがアルコールを交えながらのイベントなので、起業家や投資家などがピッチやざっくばらんな意見交換を行っていた。

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ロスチャイルド通りにて

夜になると、テルアビブ市内の目抜き通り「ロスチャイルド通り」が、ハードウェア系スタートアップやデザインカレッジの作品展示で埋め尽くされ、DLD Tel Aviv のために集まった人たちだけでなく、地元の家族や子ども、軍人なども未来感あふれる展示に触れていた。

過去最大人数となった日本人ビジネスパーソンの訪問

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昨年以前と比べて特筆すべきことの一つは、日本人ビジネスパーソンの訪問が過去最大規模だったことである。2015年の安倍首相のイスラエル訪問以来、イスラエルのスタートアップ企業の日本進出や、日系企業によるイスラエル企業への投資・買収が増えたことにより、日本国内でもイスラエルに対する印象や姿勢が変わってきている。

数は多く無いものの、以前から商社や製造業、投資家を中心に、日本企業はイスラエルでビジネス活動を行っていたが、今年の DLD Tel Aviv には、特に IT や製造業、インフラや金融などさまざまな業界から100名以上の日本人のビジネスパーソンを迎えることができた。大阪市横浜市在イスラエル日本国大使館の連携で、日本の起業家と現地ビジネスパーソンの交流イベントが開催されたり、イスラエルを訪問した日系ビジネスパーソンの交流パーティーが在イスラエルの大使公邸で行われたりするなどした。我々が二年前に活動を始めて以来、最大人数の日本人をイスラエルで目にすることになった。

IoT や機械学習、セキュリティやヘルスケア、農業などの領域で高い技術を保有し、世界を圧巻するスタートアップを多く輩出するイスラエルと、多くの企業資産や産業インフラを保有する日本。これまで縁の遠かった両国間のビジネスの連携がより進むよう、Aniwo も活動を続けていく。

来年の DLD Tel Aviv では、本稿をお読みのあなたのことも、イスラエルで「ようこそ」とお迎えしたい。

IoTで極上のビール体験を届けるイスラエル・スタートアップ「Weissbeerger」——年内にも日本上陸か?

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「M…

ani-terada-150x150本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 CEO 寺田彼日(てらだ・あに)氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営している。これまでに Aniwo による寄稿はこちら


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イスラエルで IoT と言えば、高精度センサー、独自アルゴリズム、高効率半導体など、カッティング・エッジな技術に裏付けられたスタートアップが多数想起される。例えば、北部の都市ハイファには、Intel が大規模 R&D センターを置き、エルサレムには衝突防止システムの世界トップ企業で自動運転のコア技術の開発を進める Mobileye の本社がある。そして、90%以上の命中率を誇るミサイル迎撃システム Iron Dome に守られたビジネスの街テルアビブには、Google や Facebook、Amazon が拠点を置く。また、2016年1月末、IoT でのビジネス強化を狙いとした、ソニーによる Altair Semiconductor の2億1,200万ドルでの買収は記憶に新しいだろう。

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そんなテルアビブに本拠を置く Weissbeerger は、IoT でビール・飲料の流通、マーケティングに革命を起こそうとするスタートアップだ。同社は、数分で既存のビアサーバにインストール可能な高精度センサーを活用してデータを収集、デスクトップ向けダッシュボードやモバイルアプリで、SCM(サプライチェーンマネージメント)やマーケティングに有用な情報を提供する、SaaS 型サービスを開発・運営する。3G通信によってデバイス設置後すぐに運用が開始でき、煩雑な設定が不要な点も導入店舗に優しい設計となっている。

何より興味深いのは、Weissbeerger が提供する「Connected Bar」が醸造所(生産・流通)、飲食店(小売)、顧客(エンドユーザ)に Win-Win-Win の関係をもたらす点だ

具体的に言うと、Connected Bar を使うことで、醸造所はの飲食店でのビールの温度や鮮度等のクオリティ、売上を一括して把握でき、カスタムレポートによる情報をもとに営業戦略の立案と時系列管理が可能になり、収益向上を目指せる。飲食店は、リアルタイムによるサーバ管理により、品質保持、ロスの削減と顧客情報、競合情報等のマーケティングデータ蓄積等のメリットを享受できる。顧客は、美味しいビールを心ゆくまで楽しみ、クーポン割引等のお得なサービスまで受けられるというわけだ。

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自社製品搭載のビアサーバが設置された、Weissbeerger オフィスのバーカウンター

このユニークなサービスは、世界屈指のイスラエルの投資家からも注目され、これまでに850万ドルを調達。現在、ヨーロッパ、南米、アジアの20以上の地域でグローバルな展開を見せている。Weissbeerger のオフィスは、テルアビブ中心地の地中海に面したビルに入居しており、ソフトウェアエンジニア、ハードウェアエンジニア、データサイエンティストを含む40名以上のメンバーが働く。

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システム開発に従事するソフトウェアエンジニア達

ビールの IoT サービスを主軸に置く同社のオフィスでは、もちろんビールが飲み放題。さすがにエンジニア達は、ビールを飲みながらプログラムを書いているということはなかったが、青い海を望むオフィスで伸び伸びと働いている印象を受けた。

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左から:オフィスを案内してくれた R&D VP の Oded Omer 氏、Biz Dev Manager の Amy Cohen-Dagan 氏

今年に入って、同社は日本市場への進出にも関心を持っており、目下、戦略パートナー、ローカリゼーションパートナーを模索中だ。IoT 技術を駆使し、最高品質のビールを提供してくれる Weissbeerger のサービスが、日本中のバーや居酒屋に導入される日は遠くないかもしれない。

同社のプレゼン資料と連絡先はこちらから入手できる(MillionTimes 経由)。

スタートアップ大国の起源? イスラエル人の国民性「フツパー」とは…【ゲスト寄稿】

本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。 Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTim…

chikara-ueno本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている

Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営している。


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イスラエルにおける、2016年第一四半期の資金調達額

イスラエルのスタートアップの勢いが止まらない。

2016年に入り、米国ではスタートアップ投資が縮小傾向にあることがささやかれているが、イスラエルでは2016年の第一四半期で173社、合計10.9億ドル(1社あたり平均は630万ドル)と、既に日本の年間の資金調達額の1,000億円を超える勢いで推移、第一四半期としては過去5年で最高額をマークしている。

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イスラエルのハイテク分野における、過去4年間の資金調達推移(出典:IVC Online

イスラエルに注目する、日本の投資家と大企業の動き

高い発想力と技術力、行動力で、Warren Buffett 氏や Sequoia Capital など世界中の投資家、そして Google や Apple などのグローバルカンパニーを魅了する「スタートアップ大国」イスラエル。

2014年の安倍首相のイスラエル訪問を契機に日本からもYJキャピタルドコモ・ベンチャーズといった投資家による投資、企業の間でもソニーによる Altair Semiconductor の買収ソフトバンクによる Cybereason への投資など、イスラエルの技術力に注目が集まり、両国間での連携が活発化している。

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ちなみに毎月異なるテーマでイスラエルのスタートアップエコシステム、起業家のピッチ動画を東京でご覧いただける PitchTokyo にもぜひ足を運んでいただきたい。

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2016年5月、都内で開催された PitchTokyoで熱弁する、Aniwo CEO の寺田彼日(あに)氏(写真提供:イベントレジスト)

「なぜイスラエルなのか?」という問いに対しては、軍事技術の転用支援や、政府の支援、暗号技術やコンピューターサイエンス、ライフサイエンス領域におけるハイレベルな研究機関の存在などが挙げられているが、今回はイスラエル人の国民性「フツパー」について紹介しようと思う。

スタートアップ大国の起源? イスラエル人の国民性「フツパー」とは…

「フツパー(חוצפה)」。日本にいると聞きなれない言葉である。実際に私も、イスラエルにわたってからイスラエル人との議論の中で初めて聞いた言葉で、正確にはフツパーのフは「フ」ではなく、喉と舌を擦り合わせた、痰を吐き出すような「フ」である。それに相応する日本語は存在しないといわれているが、ニュアンスとしては「人がためらうようなことを平気でやってしまう」ような失礼さと勇敢さを掛け合わせたような意味の言葉である。

それは、自分が行動を起こさなければ命すら危うかったイスラエル人、もといユダヤ人の迫害の歴史の中で育まれてきたとも、聖書でさえ疑うような宗教教育の中で育まれてきたとも言われているが、兵役中やスタートアップシーンにおいて大いに発揮されている。

聞くから断られる

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Trendi Guru CEO Kyle Giddens 氏 (2015年10月、テルアビブ Samurai House にて池田将撮影)

最近、ビッグデータ処理と画像処理技術を用いて、読者が(オンラインのファッションマガジンなどの)ウェブ上に掲載された写真をクリックするだけで、該当する洋服を購入可能にし、メディア企業の収益化をサポートする Trendi Guru というスタートアップにインタビューする機会があった。

Trendi Guru 代表の Kyle Giddens 氏に創業の背景を尋ねると、彼のガールフレンドが、ウェブ上で著名人が着ている服を購入しようと調べたものの、どう調べてもヒットせず、Giddens 氏自身もあの手この手を使って調べたものの該当する服が見つからなかったことから、そこに商機を見出し、創業を決意したという。

彼と話をしていたときに、「日本人はすぐに許可をとろうとするだろ? 聞くから断られるんだ、先にやってしまえば問題ないことはたくさんあると思うんだ」と言われ、イスラエル人に見習わなければならない点もあると感じた。

普通あきらめてしまいそうな課題に対して、独自の技術を生み出し、その技術を用いた解決方法をすぐに実行に移してしまうイスラエル人。今後も「失礼で勇敢な」イスラエル人の技術、発想が生み出すスタートアップから目が離せない。

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Trendi Guru