本稿は、イスラエル・テルアビブの Samurai House を拠点に事業展開している、Aniwo 共同創業者兼 COO 植野力氏による寄稿である。Aniwo は2014年8月の創業、2015年1月にサムライインキュベートからシードラウンドで10万ドルを資金調達していることを明らかにしている。
Aniwo は現在、イスラエルのスタートアップと投資家のマッチングプラットフォーム「MillionTimes」を運営。月に一度、異なるテーマのイスラエルスタートアップを紹介する「Pitch Tokyo」を開催している。

Image credit: IQP
イスラエルのスタートアップの勢いが止まらない。IQP Corporation(以下、IQP と略す)はコードフリーで IoT アプリケーション開発を可能にするプラットフォームとランタイム環境である IQP を開発するスタートアップだ。IQP は31日、GE のソフトウェア開発部門である GE Digital に買収されたと発表した。同社は買収額をあきらかになっていないが、イスラエルメディア各社が伝えるところでは、4,000万米ドル前後と推定される。
IQP は2011年に東京で設立、イスラエルのヘルツェリアに研究開発拠点を設置し、2016年にはアメリカ市場進出に向け本社をパロアルトに移転した。これまでに SBI インベストメント、富士通からそれぞれ300万ドルの資金調達を実施している。
GE と IQP は研究開発拠点を置くイスラエルのヘルツェリアで2016年に実施された GE Digital Accelerator への参加を機に連携を開始、今回の買収に至ったという。
IQP は、ウェブ上の直観的なUIを用いることで、システム開発経験の無い人でもプログラミングをすることなく IoT アプリケーションを開発することのできる開発環境を提供する。IoT ビジネスを考える企業は、IoT アプリケーションに不可欠なモニタリングとコントロールの機能をコードレスで開発することができる。同社の顧客には、トヨタやモトローラ、富士通などがいる。
今回の買収を機に、IQP は GE の産業用 IoT プラットフォーム「Predix」を基盤としたアプリ開発ツール「Predix Studio」と連携し、より迅速なアプリ開発とその可視化機能を一層強化。一方、GE Digital は従来のシステム開発者以外の人々にも、IoT アプリケーションの開発を可能にする仕組みを提供し、産業用 IoT の顧客は新たに開発するアプリケーションの市場投入までの間隔を早めることができるという。

Image credit: Aniwo
IQP の創業者で代表取締役の Guy Kaplinsky 氏は、日本企業での勤務経験もあるシリアルアントレプレナーで、今回の IQP の GE へのバイアウトは2度目のイグジットとなる。かつて弊社(Aniwo)のイベントでの登壇していただいた際にも、「日本の強みである、ものづくりや製造業の強みとイスラエルがもつソフトウェアの強みを掛け合わせることで、IoT ビジネスにおけるスピードと投資対効果にイノベーションを起こすことができる」と話していた。今後も日本企業とイスラエルベースのスタートアップの連携から目が離せない。
弊社では、8月3日および8月24日に、IQP の日本におけるセールスディレクターを務める石井将太氏をゲストスピーカーに迎えイベント開催する予定だ。イスラエル企業と日本企業の連携、イスラエル人 CEO との仕事の進め方などについて、実体験に基づいた話をお聞きいただけると思う。
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