
コワーキングオフィスを運営するMindspaceが1500万ドルを調達し、これまで4拠点で展開していたコワーキングオフィスを9拠点まで拡大することを1月末に発表した。新拠点として既に決定しているのはベルリン市内の2箇所とミュンヘンの1箇所で、残り2拠点のロケーションはまた後日発表される予定とのことだ。
イスラエルからスタートし、ドイツで拠点を拡大
Mindspaceは2014年にイスラエルのテルアビブで創業し、都市でのコワーキングオフィス事業を営んでいる。現在はテルアビブに2拠点、ベルリンに1拠点(2016年4月にオープン)、ハンブルグに1拠点展開中であり、今年の秋までには前述の通りベルリンにさらに2拠点、ミュンヘンに1拠点新たにオープンする予定だ。
今回の1500万ドルのシリーズAラウンドの資金調達に参加した投資家の詳細は発表されていないが、今回の調達について「欧州市場を引き続き強化するとともに、米国市場にも進出する計画があります」とMindspace CEOのダン・ザカイ氏はコメントする。
小チーム向け、ハイエンドなプライベートオフィスを提供
Mindspaceが提供する主な製品は、2-8人程度の小チーム向け個室オフィスだ。ベルリンの目抜き通りフリードリヒ通りにある既存の拠点の合計5000平方メートルのうち、実に8割が個室(プライベートオフィス)に割かれている。
プライベートオフィスの料金は、デスク一つあたり420 – 480ユーロ(つまり4つのデスクが入っているオフィスであれば、その4倍)と、ベルリンの基準では割高ではあるがそれでも現在は満室であるとのことだ。ちなみに、料金にはプリンター使用量、デスク、飲料、カンファレンスルームとラウンジなどのスペースの利用料、24時間7日間のアクセスのすべてが含まれている。

スペースの雰囲気や料金設定は、昨年ベルリンに2拠点オープンした米国発コワーキングオフィスWeWorkと近い。ベルリンの他のローカルなコワーキングスペースに比べれば、サービスやインテリアデザインなどの空間、立地のすべてにおいてグレードが高い。こうした、ベルリンにおいては「ハイエンドな」場所であっても、MindspaceやWeWorkの入居率の高さを見る限り、需要もまた大きいようだ。
資金の増加とともに、ベルリンで拡大するコワーキングオフィス
ベルリンのフリードリヒ通りにある既存拠点は5000平方メートルで、約650名に使用されている。さらに今年中にローンチ予定の2拠点の場所は、既存拠点と近い場所とクロイツベルク地区である。それぞれ、3700平方メートル、4800メートル平方メートルと大きなスペースで、合計すればおそらく2000名近くの会員数を想定しているはずだ。
これだけ急速にスペースが広がっている理由には、ベルリンのスタートアップへの投資額が増えているという点が挙げられる。Ernst & Youngが先月発表したスタートアップバロメーターによれば、昨年のスタートアップへの資金調達数の欧州内都市別ランキングでは、パリ、ロンドンに次いでベルリンは第3位、資金調達額では第4位と上位にランクインしており、「スタートアップは多く生まれていても資金がなかなか集まらない」というベルリンのスタートアップのかつてのイメージが覆りつつある。
こうした変化とともに、スタートアップのチームが働く場所が変化するのも当然だ。コーヒー1杯の値段で何時間もカフェに居座る形から、コワーキングスペースのフレックスデスク、固定デスク、そしてMindspaceやWeWorkが提供するような小チーム向けオフィスと、スタートアップの働く場所は資金の増加とともに進化していく。スタートアップシーンの活況を肌で感じるような、こうしたフィジカルな変化が今まさに起きている。
参考:世界中から起業家が集まるベルリンでオープンしたスタートアップキャンパス「Silicon Allee」
ニーズは確実に満たしているように見えるMindspaceやWeWorkのコワーキングスペースであるが、一方で開発コストが大きい彼ら自身のビジネスがどれほど成長できるかはまだまだ注視する必要があるかと思う。
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