AIでニュースを収集・配信するSpectee、VC複数社や成毛眞氏らから2.6億円を調達——海外での動画素材販売を伸ばすべく、現地体制を強化へ

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Spectee
Image credit: Spectee

人工知能を活用したソーシャルメディア分析により、ニュースに関するテキストや写真をいち早く伝えるプラットフォームを提供する Spectee は4日、シリーズ B ラウンドで総額2億6,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは YJ キャピタルが務め、共同通信イメージズ、みずほキャピタル、アルコパートナーズ、フジサンケイグループ傘下の広告代理店であるクオラス、マイクロソフトの元代表取締役社長である成毛眞氏、氏名非開示の個人投資家が参加した。今回のラウンドは Spectee にとって、2016年7月に実施したシリーズ A ラウンド(調達額非開示)に続くものだ。

Spectee は2014年2月に設立(設立時の社名は、ユークリッドラボ)され、2015年10月に Open Network Lab のインキュベーション・プログラム第11期から輩出。アメリカの Banjo に似たモデルで、ソーシャルメディアから収集した動画コンテンツを権利クリアし、マスコミや企業などにニュース素材として配信する「Spectee(以前の名前は、Newsdeck)」を提供している。Spectee のコンテンツ収集にあたって、画像や動画解析に用いている人工知能技術については、Spectee が特許を取得している。

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Spectee のスクリーンショット
Image credit: Spectee

現在、Spectee が動画コンテンツを配信する国内企業は、テレビ局86社や新聞社4社など100社程度。首都圏で言えば、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、読売新聞などが Spectee を利用している。一部公共放送とも共同で取り組んでいる事業があるようだが、内容については開示できないとのことだった。国内では、ソーシャルメディアを元にしたニュース配信サービスとして、契約社ベースで92%のシェア(Spectee 調べによる)としている。

一方、海外では今年6月に AP 通信との提携で始めた「AP Video Hub」を通じた素材動画配信が順調な伸びを示しており、Spectee はこのサービスの売上強化に注力したいようだ。AP 通信との提携が契機となり、Spectee はニューヨーク・タイムズとも素材動画配信の契約を締結している。Spectee の創業者で代表取締役の村上建治郎氏によれば、国内のマスコミやニュース会社から安定的な収入を確保しつつ、海外でのニュース素材販売で売上の伸びを確保したい考えだ。

東京・ベルリン・ロサンゼルスの3拠点による三交代制24時間運用で、ニュース素材の配信管理とソーシャルメディアの投稿者との許諾確認作業を行っているが、動画の編集や配信のオペレーションは東京で集中管理しているのが現状。「AP Video Hub」を通じた動画配信では他のプロバイダとの競争が激しく、より鮮度の高い状態で動画素材を提供できるようにするため、海外の現地オペレーションのウェイトを増やしたい。そのために、現地人材の確保に注力したい。(村上氏)

AP Video Hub
Image credit: AP

現在、Spectee が動画素材を販売できている海外市場は、上位からアメリカ、イギリス、タイ、ブラジルなど33カ国(AP Video Hub 上での動画販売数による)。Spectee の海外向け動画配信販売は現状 AP Video Hub に依存しているが、AP 通信との契約は exclusive ではないため、将来的には Spectee が自前で海外メディア会社向けの動画素材の販売ポータルを作る計画もあるようだ。

ここからのさらなるグローバル展開に期待したい。

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