シンガポールの投資家代表団が京都を訪問、関西のスタートアップを世界に紹介【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp でビジネス開発とマーケティングを担当する Marie-Eve Menger 氏による寄稿を翻訳したものである。オリジナルはこちら

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。

本稿における写真は、京都を拠点とするシステム生物学者の Tugi Guenes 氏による撮影。


Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏が、SPRING シンガポール投資家代表団の来京を歓迎

京都を拠点とする Makers Boot Camp は、日本を代表するハードウェア・サポーターで、日本のメイカー達のものづくりコミュニティを構築に取り組んでいる。Makers Boot Camp はこれまで、Monozukuri Hub Meetup などものづくりをテーマとしたイベントを開催してきた。

ものづくりを世界にもたらす活動の一環として、Makers Boot Camp は世界中から来訪する代表団に対して、ミートアップやマッチングイベントを主催している。京都のローカルコミュニティの中で、Makers Boot Camp は 3D プリンター、CNC フライス、レーザーカッターなどのツールを備えたメイカーのためのスペース「Kyoto Makers Garage(KMG)」を開設している。この新しいスペースで開催する我々のイベントは、グローバルなマインドセットと、ローカルなスピリットを一つにするものだ。

10月13日、Makers Boot Camp は、15のシンガポールの投資ファンド、アクセラレータ、大学インキュベータを運営する投資家代表団に向け、半日間のイベントを開催した。この訪問はシンガポール貿易産業省傘下の機関である SPRING(規格・生産性・革新庁)が引率するもので、SPRING はシンガポール企業の成長を支援し、シンガポールの製品やサービスへの信頼構築を担っている。企業振興機関として、SPRING はパートナーと協業し、ファイナンス、能力開発や経営開発、技術やイノベーション、市場アクセスの分野で企業を支援している。

13日の午前中は、代表団を Makers Boot Camp や関西のものづくりエコシステムに紹介するスケジュールが詰まっていた。しかし、その朝のメインを占めた参加者それぞれを簡単に紹介するスタートアップピッチセッションに続き、一部の地元スタートアップとのマッチメイキングセッションが持たれた。

参加したスタートアップは代表団の希望に沿って、経験豊かな連続起業家から基本的な開発中のプロトタイプを持つ初めてのメイカーまで、異なる種類の IoT 技術や異なる製品開発ステージを代表する面々が選ばれた。参加したスタートアップはピッチプレゼンテーションを入念に準備するとともに、プロダクトやプロトタイプを代表団に紹介していた。

ピッチセッションとマッチメイキングセッション

Andeco の CEO 早川慶朗氏は、勇敢にもピッチラウンドのトップバッターを飾った。大阪を拠点とするスタートアップ Andeco は、ポータブルの電力/水供給チャージャーにつながるスマートカートなど、幅広いスマートシティ向けモビリティソリューションを開発している。

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B2B マッチメイキングセッションに臨む Andeco CEO の早川慶朗氏

CABOT を開発する飯尾英晃氏は、簡単な質問をした。「ロボットと演奏を楽しんだことはありますか?」彼はギターを持ち出し、ドラムロボットのプロトタイプと演奏を始めた。一同唖然とさせられた。興味のある方は、以下のビデオをご覧いただきたい。

井口尊仁氏は日本の起業家の中ではスターの存在で、これまでにシリコンバレーで2,000万ドル以上を資金調達し、拡張現実するアプリ「セカイカメラ」で周囲の風景をディスラプトし TechCrunch 50 にフィーチャーされた。彼は手がける最新ベンチャー Doki Doki を紹介した。Doki Doki は、音声のやりとりを元にしたソーシャルネットワークを構築し、ユーザが簡単に理解し合えるようにするアプリだ。

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Kyoto VR は、参加者に祇園祭の VR ツアー体験をデモ

Kyoto VR の Atticus Sims 氏は、投資家達を京都のバーチャルツアーへと連れ出した。Kyoto VR は京都から始め世界へと打ち出す、スマートシティ XR(VR/AR)によるバーチャル観光体験に取り組むスタートアップだ。彼らは、開発の拠点として京都を選び、地元のエコシステムとつながる国際スタートアップの代表事例だ。京都市や観光産業局と密接に協業し、彼らのコンテンツを開発したり改善したりしている。

そして大事なことを一つ言い忘れていたが、PLEN Robotics が IoT イノベーションを紹介した。多数のプラットフォームと連携する、カラフルで正方形型の小さなパーソナルロボットアシスタントだ。PLEN Cube は、さまざまなデバイスと web サービスを連携できるポータブルロボットで、その操作を使いやすく自動化することができる。スマートカメラで瞬間を撮影することができ、手のひらにもおさまるサイズ。その開発過程については、PLEN Robotics は Kickstarter と Makuake で成功裏なクラウドファンディングを実施した。

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自社製品を投資家らに説明する PLEN Robotics
自社製品を投資家らに説明する PLEN Robotics

短く興味深いプレゼンテーションの後、このイベントのメインであるマッチングセッションとスピードデイティングセッションがスタートした。投資家達はそれぞれイベントの冒頭に興味のあるスタートアップを選び、10分ずつの対話を4回実施した。スタートアップに会いたいという関心は高く、投資家達は一団となって話を聞く形で、全員がすべてのスタートアップと話をする機会を持つことができた。

ディスカッションは大変盛り上がり、次のラウンドを知らせるベルは数回にわたって鳴らす必要があった。しかし、そのミーティングやネットワーキングには、よいエネルギーが流れていた。

この日、最高のひととき

裏方のチームは寿司のランチを用意していて、午前中の最後はフリーネットワーキング、実際には、さまざまな寿司や日本料理をゲストに楽しんでもらえるネットワークランチとなった。ネットワーキングの間、代表団の参加者たちは、京都市の重要な地元ものづくり関係者である ASTEM(京都高度技術研究所)や大阪を拠点とする VC サンブリッジにも会う機会を得た。

イベントも終盤を迎え、やりとりを交わす参加者たち

ランチの後、代表団は KMG を離れ次の訪問先へと向かった。代表団やスタートアップをはじめすべての人たちに対して、Makers Boot Camp は、ダイナミックで、ライブリーで、フレキシブルで、また代表団とスタートアップが求めた、双方のやりとり、対話、出会いの多くをもたらした身のあるスタートアップイベントに参加できたことにお礼を言いたい。

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