人がスコアで可視化される世界ーー評価する手法、その可能性をクラウドワークスに聞く

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ここ最近、個人的な興味もあって取材先で話題にしているテーマに「普遍的な人の定量的な評価」というものがある。評価型経済とか難しい概念を論じるつもりはないが、いくつかきっかけはある。

・個人情報に紐づく金融与信スコア
・VALUやTIME BANKなどの個人評価額
・インフルエンサーの台頭(フォロワー数)
・Uberやメルカリなど個人レーティングの流れ
・一方でKloutはサービスを閉じている

などなど。元々インターネットには個人間取引の文化があったが、それがスマートフォンによるネット接続人口の増加によって加速、細分化して、個人間送金や取引、役務提供などに拡大したことが個人を評価するきっかけに繋がっていると考えている。

一方、その評価自体の正当性についても、ブロックチェーン技術を筆頭とする「承認プロセスの将来的な変化」への期待感が各プレーヤーを突き動かしてる。実際、取材先などでこの「個人評価テクノロジー」について言葉を交わす際、ブロックチェーン技術に興味がないと回答した人はほぼ皆無だ。(最初から毛嫌いしてる人はたまに会うが)

ではこういった「個別のサービスに紐づく評価」が、絶対値として個人に付与されることはあるのだろうか?またこの「個人が定量的に評価される未来」があるとしてそれは誰がどうやって作るのだろうか?

個人的にこの疑問に最も近い解、もしくは情報を長年に渡って集めているであろう業界がクラウドソーシングやファンディング、オンデマンド・シェアリング分野のプレーヤーたちだ。中でもクラウドワークスは中期経営方針で個人の信用をスコア化した「クラウドスコア」構築を掲げている。

ということで私はまず、直近に具体的な話題のあったクラウドワークスに話を聞くことにした。取材にはクラウドワークス取締役の成田修造氏が応じてくれた。(太字の質問は全て筆者。回答は全て成田氏)

テクノロジーによる定量的な人の評価、というテーマで話を聞きたい。まず、この分野、特に金融与信については中国の事例が先行している感がある

「そうですね、例えばWeChatで有名なTencentには、4年目にして個人向け少額融資額14兆円規模の『WeBank』という事業があります。貸し倒れ率がほぼゼロだそうで、それを支えているのが与信スコアなんですが、WeChatでの返信レスポンスやどういう人と繋がっているか、そういった情報まで入れていると聞いてます。

また、ライバルのAlibabaが提供するAripayも消費を科学していて、誰がどれぐらい消費しているかこういったデータを与信に組み込んでいるそうです。このスコアがよければ海外ビザが取りやすくなるなど、インフラ化が進んでますね」。

金融方面についてはクラウドワークスも取り組みを始めている。どういう全体像を持っている

「お金の『入りと出』を中心に考えてます。今、クラウドワークスを通じて働いている方々が年間100億円近い『入り』を作っているのですが、一方で『出』の方は実態が把握できません。いつどこで何を買ってそれがどういう行動様式になるのか。ここを理解するために用意するのがクラウドマネーで準備中のウォレットサービスになります」。

ーーなるほど、クラウドワークスは三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社Japan Digital Designと合弁で新会社を作っている。突然クラウドワークスがウォレットサービスを作ると聞いて意外に思っていたが、与信スコアに繋がる事業と考えれば納得感がある。

個人を評価する与信スコアに関連する『入り』の情報がクラウドワークス、『出』の方を新たに作るウォレットで獲得するとして、相互の連携はどのように考えているのか

「例えば買いたい商品や行きたい旅のためにいくら稼ぎたいという目標があった時に『この仕事をすれば買えますよ、行けますよ』というような導線ですね。もっと気軽に働くことができてそれが消費に繋がる。そういう世界観です」。

クラウドワークスではこれまでに信用情報は積み上げているものがある。具体的に活かしたサービスはあるのか

feecle(フィークル)という、請求書を買い取って即時かつ確実にフリーランスや中小企業に支払うサービスを開始したのですが、これも個人の与信管理が結構重要で、自社の取引以外に、SNSとかも含めた与信管理をする予定です」。

定量的なデータによる個人の信用スコアについては実現の可能性を感じた。特に仕事に直結するデータはその個人の活動量を測る上で大いに参考になる。株式公開企業が時価総額や利益で評価されるのに近い。一方で人間の活動は数値だけで判断できないものも多い。質問を続ける。

社会活動や芸術など、売上や消費などの経済活動だけで見えてこない定性的な評価をどのようにスコアにするのか

「2013年から感情報酬っていう考え方で『ありがとうボタン』を設置してます。数字的にも1000万回を突破したのですが、これがスコアに活かせないかというのは考えています。ただ、どうしても不正をしてこれを稼ぐ人も確かにいるのでその課題は残ります」。

成田氏の話ではこれとは別に、社内で独自のありがとうコイン的なものをSlackで発行できる仕組みを実験しているそうだ。大変な作業をしてくれた人に1コイン100円のチップを渡すことで、カジュアルな感情報酬のやりとりが実現しているという。

こういうP2P取引の不正についてはブロックチェーン周りの承認手法に注目が集まっている。新会社でこのテーマに取り組むのか

「これからCrypto Currencyを導入しながら人が「より良く行動するためのトークンインセンティブ」を働き方に導入していこうと考えていて、プロジェクト自体がPoS的な与信とインセンティブの設計で勝手に回っていくような仕組みについては検討したいと考えてます」。

volvoxが作ろうとしている世界観について成田氏に聞いたが、まだ構想段階ということで詳細は非公開だった。ただ、今回話題にしているスコアをブロックチェーンで第三者評価するような直球のアイデアではなさそうだ。

ここは曖昧で申し訳ないが「クラウドワークスを民主的に運営したらどうなるか」というテーマに近い印象がある。実現はもう少し先になるだろう。

さて、いかがだっただろうか。

ある程度は想定していたが、中国などの事例と同じく経済的な収入や消費、ソーシャルでの繋がり数といった定量情報が個人評価に大きく影響を与えることになるであろうことは理解できた。一方で、定性的な評価軸はまだまだこれからだ。

逆に言えばこれがなければ金持ちが評価されるというディストピアしか実現しない。この解はどのように見つかるのだろうか?

引き続き機会あれば取材を続けたい。

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