O2O、データ、ブロックチェーンが中国の不動産業界に革命を起こす(後編)

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北京の CBD
Image credit: sepavo / 123RF

【情報開示】

本稿は、原文出典元である Technode(動点科技)が記事の制作において不動産大手 JLL による協力を受けています。THE BRIDGE は本稿の翻訳掲出にあたり、JLL や Technode から資金の提供は受けていません。

前編からの続き)

鍵はデータ

空間のシェアによって、企業は空間をより有効に活用している。それを達成するために、不動産マネジメントはビッグデータを頼っている。コワーキングスペースにはこれらの技術を適用する最大のインセンティブがある。

WeWork China は自身のテックプラットフォームを使い、メンバーからのインプットを受け取っている。どのカンファレンスルームを予約したいのか、建物の中でどういう問題に出くわしているのか、どのイベントに興味があるのか。

WeWork のプロダクトテックマネージャー Julian Leung 氏はそう TechNode に語った。

センサーや技術について何か言う前であっても、コミュニティの中でソフトウェアを通じてなされるこれらの交流は、すでに大量のデータをもたらしています。

テナントが活発に生み出すデータは、付近の環境を測るセンサーから集められたデータに加えられる。ソフトウェアはどのエリアがより頻繁に使われているかを示し、それをセンサーが集めた騒音レベル、光量レベル、気温、湿度のデータと合わせて結論を出し、お勧めを提示する。

しかし、ビッグデータはオフィスを運営するよりもずっと大きい。データに基づいたアプリケーションは不動産業界全体の産業チェーンを走り始めている。それらは需要予測やビルシステムの予防整備、不動産評価のより正確で早い決定ということに使用することができる。プラットフォームを中心とした新たなビジネスモデルの発展を加速させているのだ。

データはまた、勢いを増しつつあるスマートホームのトレンドを開く鍵でもある。生活水準の向上やIoTに好意的な政府の方針、多数のインターネットユーザ、市場における健全な競争といったもののおかげで、中国のスマートホーム市場は2017年から2024年までの間に毎年44%の成長が見込まれている。

Xiaomi(小米)のスマートホームキット
Image credit: TechNode/Masha Borak

駐車場さえも情報革命の中にある。今ではナンバープレート認識は支払いプロセスの高速化のために使われており、センサーは訪問者に駐車可能な空きスペースの数を教えている。スマートガレージはロボットを使うことも可能で、Jimu Tech(極木科技)の駐車ロボットは自動運転技術を使い、メカニカルホイールグリッパーで車両を正確な場所に置いてくれる。

ロボットやハードウェアもまた不動産のデータ革命を構成する要素である。世界最大の UAV(無人航空機)メーカー DJI(大疆)が作るようなタイプのドローンは、マーケターために綺麗な写真を撮るだけではない。不動産の調査や建設現場の監督、さらには大きな倉庫や工場のセキュリティやモニタリングにも使用されることがある。その他の場所では、ロボットは大きな店舗の在庫チェックにも現在使用されている。

スマートビルディングとスマートシティはいずれ、両者の間であらゆる情報をやり取りする機械でつながり合うことになるだろう。だが目に見えないクラウドを飛び交うあらゆるデータは、ハッカーのターゲットとなり悪用されてしまうリスクがある。これを解決するため、多くの人がブロックチェーンに目を向けている。台北は、IoT 機器のための分散型台帳技術 IOTA を試す、世界で最初の都市の1つとなっている。

ブロックチェーンと不動産テック3.0

仮想通貨取引の急激な増加以降、ブロックチェーンはニュースの見出しを飾ってきた。しかしながら、この技術がどれほどの多面性を持つのか、私たちはまだ知り始めたばかりだ。その最大の強みの1つは透明性である。財産権の記録において果たすことができるかもしれない役割は、その好例だ。スウェーデンはその目的のためにすでにブロックチェーンの試用を行っている

私たちが取引を処理するやり方、契約の扱い方、そういうものもブロックチェーンは完全にひっくり返してしまうかもしれない。中国でよく見かける無数の書類仕事や印鑑は、必要なくなるのだ。

不動産取引や不動産投資、所有権を扱うプラットフォーム Put Link(普特鏈)のMichael Su 氏はこう述べた。

ブロックチェーンによって支払いはより安全に、速く、簡単に、そして契約は変更不可で信頼できるものになります。署名のために海を越えて行く必要はないのです。暗号化された土地権利証も受け入れ可能となりますし、売買は容易になります。

最初のブロックチェーン不動産プロジェクトはすでに中国で現実のものとなっている。3月、北京から遠くない場所に新しく建設された雄安新区は、Lianjia(鏈家)や Alibaba(阿里巴巴)の金融部門 Ant Financial(螞蟻金融)と共に協力して、住宅賃貸借契約管理プラットフォームを作り上げた。

不動産テックの未来へ続く道は自動運転車の力で進むのかもしれない

私たちはまだビッグデータプラットフォーム、IoT、シェアードエコノミーの時代にいる。ブロックチェーン、自動運転車、市場データやビルの性能を分析するため、もしくは不動産業者に取って代わるために人工知能を使うことは、まだ初期段階である。現時点では、私たちはまだビッグデータプラットフォーム、IoT、そしてシェアリングエコノミーの時代にいる。

Hawkey 氏は次のように述べた。

不動産テックは始まったばかりです。今私たちは簡単な課題を選び、確立した技術とデータを使って、効率性を上げサービスを向上させているのです。

中国の新たな不動産テックのトレンドには投資も伴っている。JLL の報告書「Clicks and Mortar: The Growing Influence of Proptech(実店舗とオンライン店舗:増大する不動産テックの影響)」のデータによると、中国本土は2012年以降のアジア太平洋地域の不動産テック資金の60%近くを受け取っており、2013年からのトータルでは66億米ドルになるという。資金の大部分は Lianjia や Mofang Gongyu(魔方公寓)、Fangdd(房多多)、Aiwujiwu(愛屋吉屋)のような仲介業やビル賃貸の大手へと流れた。

アジア太平洋地域の不動産テックスタートアップ179社、中国本土には23社しか存在しない。しかし、2012年以降アジア太平洋地域の不動産テック分野における資金調達額の約6割は中国のスタートアップに関するもので、その資金の多くが仲介業とリース業に流れている。
出典:JLL のレポート

アジア太平洋地域の不動産テックスタートアップ179社、中国本土には23社しか存在しない。しかし、2012年以降アジア太平洋地域の不動産テック分野における資金調達額の約6割は中国のスタートアップに関するもので、その資金の多くが仲介業とリース業に流れている。<br>JLL のレポートから

 

だが私たちが目にしているものは、想像できるものにはるかに及ばない。Hawkey 氏によると、私たちの生活様式に起きる最大の変化はまだ進行中であり、そのうちのいくつかは不動産テックの領域の中にもないという。

私たちと不動産の関係は変わり始めています。そして企業は不動産をサービスとして捉え始めています。長期的に見れば、建物は本当のスマートシティの一部分となる可能性もあります。想像してみてください、たとえば、あなたの乗った自動運転車が、スケジュールやチームの居場所に応じて、どこに建っているオフィスに行けばよいのかを提案してくれるというようなことを。

自動運転車の登場によって、不動産業界がお題目のように唱える立地、立地、立地という言葉は意味を失うことができるだろうか。無人運転車の到来は私たちが夢にも見たことがないような高速輸送を約束するものである。都市や家、職場というものに対する私たちの考え方は、そう遠くない未来に変わることになるのかもしれない。

【原文】

【via Technode】