
Image credit: Pinduoduo(拼多多)
ソーシャル e コマースプラットフォーム「Pinduoduo(拼多多)」は、高級品に対する消費者需要の成長に応えるため、中国で急成長中の越境 e コマース事業に進出しようとしていると、中国メディアが関係者の言葉として報じた。Pinduoduo は、割引目的で共同購入を募るためのソーシャルツールを主力の販売プラットフォームに組み込み、低価格を重視する購買者から支持されて e コマース業界の上位に躍り出た企業である。
「Duoduo International(拼多多国際)」と名付けられた新しいプラットフォームは今のところ招待制で、既存の Pinduoduo プラットフォームから選出された事業者や、新規に招待された出店者からの申し込みを待ち受けている。オンラインストアの形式は4種類用意されており、35銘柄以上の登録商標を持つ業者のためのスーパーマーケット形式や、ブランドの独占販売権を持つ業者のための旗艦店などがある。
TechNode(動点科技)はある企業の広報担当者からプロジェクトの裏付けを得たが、それ以上詳しいことは聞けなかった。
新プラットフォームは現在、消費者ブランドやオンライン小売業者といった中核となるアカウントに対して手数料を課していない。日用消費財の世界大手 Nestle や Unilever、北京に基盤を置く日本製品の小売店Wandougongzhu(豌豆公主)はすでに出店を申請しており、認可を待っている。
中国メディアによると、Pinduoduo は昨年11月に上海で開かれた China International Import Expo(中国国際輸入博覧会)で新プラットフォームを公表し、向こう3年のうちに小・中規模の販売業者を全世界から50万店舗集める計画が副社長 Li Yuan(李源)氏の口から語られた。
越境取引は従来の輸入ルートより安価なのだが、Pinduoduo がポートフォリオを拡大しようとする狙いはむしろ、現在の主力サイトで販売している商品より高価格帯の市場の獲得にあるようだ。同社の主力サイトではこれまで、共同購入やクーポンなどのインセンティブの組み合わせで大幅な値引が行われてきた。
今回の事業拡張の背景には、中国 e コマースの巨人たちがグローバル化計画を加速させて、目が肥えてきた消費者向けに高品質と考えられている外国製品の供給拡大を図っていることがある。Alibaba(阿里巴巴)は昨年11月に CEO の Daniel Zhang(張勇)氏を通じて、今後の5年間で中国国外から2,000億米ドル相当の商品を輸入して消費者の需要に応えていくと宣言した。
JD.com(京東)は昨年9月、48時間以内の国際配達を可能にするためロシアなど30ヵ国にサプライチェーン拠点を設置していくと発表した。その一方、NetEase(網易)系列の e コマース企業 Kaola(考拉)は、Amazon との間で互いの越境事業を合体させ、消費者の商品選択肢と在庫を拡大していくべく交渉中だと報じられている。
外国製品は国産品よりも高くつくものだが、越境プラットフォームでは従来の輸入ルートより安価に商品が手に入ることを、買い物上手な消費者はとっくに理解している。
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