YouTubeアニメ「テイコウペンギン」を制作するPlott、シードおよびプレシリーズAで5,000万円を調達——gumi venturesなどから

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Plott のチーム
Image credit: Plott

YouTube アニメ「テイコウペンギン」を制作する Plott(旧社名:ファボ)は13日、シードおよびプレシリーズ A ラウンドで5,000万円を調達していたことを明らかにした。シードラウンドには、ゲームデベロッパの gumi (東証:3903)らが運営するバーチャルリアリティ(VR)などに特化したスタートアップ・インキュベータ「Tokyo XR Startups」と同プログラムの運営会社であるブレイクポイント、また、プレシリーズ A ラウンドでは gumi ventures が参加している。

Plott の前身となるファボは2017年、当時、筑波大学に在籍していた奥野翔太氏(現 CEO)により創業。当初はインフルエンサーマーケティング、お笑い系 VTuber 集団「ワラシベ興業」、ライブ配信の「御伽りざれくしょん」などを運営していた。これらのプロジェクトで評価を得た同社は Tokyo XR Startups の第4期のデモデイに登壇しているが、当時ステルスだった頃から THE BRIDGE の記事ではカバーしていない。

奥野氏によれば、自身がもともとゲームを作ったり、ドラマを作ったりするのが好きだったことから、インフルエンサーマーケティングから離れ、コンテンツ制作に回帰することを決意。YouTube でアニメや漫画動画がにわかに人気を集め始める中、実際に公開されているものには既存のテレビ番組などからの流用(一部には、違法なコンテンツのアップロードも含まれるようだ)が多かったため、YouTube に最適化されたアニメや漫画動画の需要に可能性を感じたという。

Tokyo XR Startups 第4期デモデイに登壇した奥野翔太氏
Image credit: Masaru Ikeda

かくして奥野氏は事業を YouTube アニメや漫画動画の制作へとピボット。2019年1月22日から公開を始めたアニメシリーズ「テイコウペンギン」はチャンネル登録者数35万人を記録するまでに成長した。今後、テイコウペンギンのような人気チャンネルを、半年後をメドに10本程度にまで増やすことを目標としており(エピソードとしては、合計150〜200本/月)、現在15人程度いるスタッフメンバーを30〜40人程度にまで増やす計画だ。今回明らかになった資金調達は、その人員体制の強化のためとみられる。

テイコウペンギンの視聴者は、10〜20代の男性が多い。現在、公開に向けて取り組んでいる新しい IP には、女性向けのものもある。(奥野氏)

テイコウペンギン
Image credit: Plott

テイコウペンギンはもともと個人のクリエイターが生み出したものだが、その権利を Plott が買い取り、さまざまなエッセンスを加えてプロデュースし現在の形に仕上げた。いわば、YouTube アニメが事業としてどこまで成立するかの検証フェーズだったわけだが、需要が見込めることに確信を得た奥野氏は、ここから一気にアクセルを踏み込んでいくという。キャラクタなどを中心とした IP のライセンスアウトにより収益化し、YouTube 発のドラマ化やコミック化なども狙う。

皮肉なことではあるが、違法アップロードサイト「漫画村」が閉鎖され元運営者が逮捕された今、その反動から、巷にアニメや漫画の違法アップロードが増えてしまっている現実もある。ただ、これは潜在的にインターネット上でアニメや漫画を見たいという需要が小さくないことの表れでもあり、合法的にコンテンツが提供できればビジネスとして成立する可能性の高さを示唆しているとも言える

オリジナルでコンテンツを制作する YouTube アニメや漫画動画の制作者は個人であることが多い現状、Plott では本格的な事業として、このモデルを確立させることに大きな期待を持っていると、奥野氏は語ってくれた。

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