ハンドメイド製品分野のビジネスマッチングイベント「Pop Up Asia(亜洲手創展)」が台北で開幕、アジア25都市から774ブランドが集まる

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松山文創園区(Sonshan Cultural and Creative Park)
Image credit: Masaru Ikeda

先週から今週にかけては「世界起業週間(GEW, Global Entrepreneurship Week)」ということもあり、日本では TechCruch Tokyo、インドネシア・バリ島では Nexticon、シンガポールでは FinTech Festival を含む SWITCH、そして当地・台北では MeetTaipei(創新創業嘉年華)が開かれるなど、世界中で同時多発的に起業関連イベントが開催されている。

15日〜17日の3日間、台北の松山文創園区(Sonshan Cultural and Creative Park)では、ハンドメイド製品のデザイナーやメーカーが一堂に会するイベント「Pop Up Asia(亜洲手創展)」が開催されていた。松山文創園区は、旧日本統治時代にタバコ工場だった場所で、現在はリノベーションされて文化イベントなどが開催され、ライフスタイルデザインの発信地としての台北を印象付ける場所だ。BRIDGE で以前取り上げた「IDEAS Show(網路創意展)」や「 ASIABEAT」もここで開催されたことがある。

Pop Up Asia
Image credit: Masaru Ikeda

今年で4回目を迎える Pop Up Asia には13カ国25都市から774社・団体が参加しており、タバコ工場だった時代の倉庫4つを使って、さまざまな展示がなされている。倉庫4つのうち2つは販路拡大を目指すデザイナーブランドで、残りの2つはそういったデザイナーブランドの製造を支援するマテリアルやメーカーなどだ。

Pop Up Asia の主催者であり、インディアーティスト作品の事業化やマーケティングを支援してきた Campobag(希嘉文化)の CEO Jerry Yan(顏瑋志)氏は、Pop Up Asia の規模は毎年2倍の規模で伸びており、この分野の産業規模を拡大するのに一役買っていると語った。

Campobag(希嘉文化)の CEO Jerry Yan(顏瑋志)氏
Image credit: Masaru Ikeda

さらにハンドメイド業界を伸ばすには e コマースサイトとの提携が必要。そうすることでイベントの時のみならず、年中通して消費者がハンドメイド製品を買えるようになる。いくつかの社とは話し合いを持ったことはあるが、方向性の違いなどからまだ実現には至っていない。

BRIDGE でもこれまでに紹介した、日本や台湾のハンドメイドマーケットプレイスと話し合いを持ったことことはあるようだが、そういったマーケットプレイス自体が自らとブランドと捉えているため、Pop Up Asia というイベントのブランドと相容れない点が大きな原因のようだ。Pop Up Asia ではバイヤー向けにはハンドメイド製品を買い付けできるオンラインプラットフォームを試験的に用意しているが、コアビジネスに集中する観点から、自らコンシューマ向けマーケットプレイスを作る予定は無いらしい。

インドネシアのポップアップストア事業者が、メーカーやアーティストにピッチしていた。
Image credit: Masaru Ikeda

そんな中で面白いのは、バンコクに行ったことのある人なら、おそらく概ね知っているであろう中心地サイアムの百貨店「Emporium」が Pop Up Asia と提携している点だ。Pop Up Asia で展示されたハンドメイド製品の一部が Emporium 内の常設エリアで購入可能となっている。Yan 氏によれば、従来から存在する大ブランドが廃れていく中で Emporium が店内に新たな風を入れ込む必要を感じてアプローチしてきたのだそうだ。日本の百貨店とも話を持ったことはあるそうだが、具体的な進展はまだ無いとのことだった。

ところで、IoT やハードウェア製品の分野であれば、その種のスタートアップに取って必要な一通りの機能が深圳に揃いつつある。アクセラレータ然り、VC 然り、サプライチェーン、工場、その他もろもろ。大量生産を可能にするノウハウも提供される。対照的にハンドメイド製品は文字通りハンドメイドである以上、そのまま大量生産に向くものではないが、Yan 氏はアーティストという枠を脱してハンドメイド製品で成功する起業家を生み出すために、さまざまな側面支援のサービスを彼らに提供していきたいとも語った。

日本の Makers’ Base の展示。弁当に入れたいおかずを選ぶと、オリジナル図柄の Tシャツ、カバン、弁当袋、などを 3D プリンタで作ってくれる。
Image credit: Masaru Ikeda

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