Ant Financial(螞蟻金融)は、デジタルライフスタイルサービスにおいて競合にあたる Meituan(美団)や WeChat(微信)に対抗すべく、モバイル決済アプリ「Alipay(支付宝)」によって、数百社ものサービスプロバイダーを支援する方法を画策している。
重要視すべき理由:ミニアプリ(小程序)エコシステム構築の競争が激化している。つまり、Ant Financial のアイデアは、Meituan の多目的型アプリや WeChat のミニプログラム(微信小程序)と競合関係になるということだ。
- 一つのインターフェイスから複数アプリが利用可能であれば、ユーザは複数のアプリに出入りする必要がなくなる。
- Meituan はフィンテック分野を強化し、Alipay、Tencent(騰訊)、JD.com(京東)に対抗するため、今年1月にクレジット決済機能をローンチしている。
詳細情報:3月10日に開催された「Alipay Partner Conference(支付宝合作伙伴大会)」で、Ant Financial は、今後3年でデジタルエコシステムを拡大する計画を発表。これにより、Alipay はより多くの複数サービスが利用可能なプラットフォームへと変容を遂げる。
- Ant Financial は金融サービスから拡張され、ライフスタイルコンビニエンスが複数提供されるプラットフォームへと変容し、またこれらサービスを提供するサードパーティーへの報酬機能を導入する。
- 事業者にはローンの提供を含むビジネス成長支援を行う。
- Ant Financial の CEO Simon Hu(胡曉明)氏は、「中国のサービス産業は未だデジタルトランスフォーメーションの観点で未熟である。したがって、大きな成長ポテンシャルを秘めている」と述べている。
- 同社によれば、デリバリや法律・医療アドバイス、その他公共サービスなど、コロナウイルスのインパクトを軽減する目的のアプリケーション開発に前向きな開発者は1,200名を超えるという。
- 北京を拠点とし、農家と消費者、レストランを接続するスタートアップ「Meicai(美菜)」は既にミニプログラム参戦を発表した。同アプリは既に80万人のユーザを抱えており、同社 CEO は Alipay の活用に積極的な姿勢を見せている。
- Alipay のホームページはアルゴリズムを活用し、ユーザ個々に合ったアプリケーションを紹介する。ユーザは要望・要件に最適なサービスにアクセスできる。
背景:2019年、Alipay アプリ内におけるライフスタイルサービスの検索件数は2018年に比べ300%上昇した。
- 新型コロナウイルスの影響で、中国の消費者はオンラインフードデリバリや医療相談、遠隔学習サービスに頼らざるを得ない状況になっている。
- Hu 氏は、中国のサービス産業のうち、80%以上が未だデジタル化できていないと指摘する。
- WeChat はミニプログラム分野では2017年に参入したファーストペンギンで、Alipay は2018年にそれを追随した。
- ミニプログラムは昨年、月間アクティブユーザ500万人の実績を達成したため、決済プラットフォームには戦略的に欠かせない存在になった。
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