株式投資型クラウドファンディングの「イークラウド」、本サービス開始に向け起業家からの案件募集を開始

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株式投資型クラウドファンディング参入を目指すイークラウドは30日までに、財務省関東財務局に対し第一種少額電子募集取扱業者の登録を完了したことを明らかにした。これはイークラウドが準備を進める投資型クラウドファンディングの参入に必要となるもので、今後、日本証券業協会への加入を経て、5月のサービス正式ローンチを目指す。

イークラウドは2018年11月に設立、スタートアップスタジオの XTech(クロステック)と、大和証券グループのフィンテックサービス開発に特化した子会社 Fintertech から合計4億4,200万円を調達している

株式投資型クラウドファンディングでは、投資を募りたい案件を持つ起業家と、その案件を持つ投資家をマッチングすることとなるが、イークラウドは今日から、起業家を募る資金調達相談の応募受付を開始した。受付後審査を通過した人にのみ、イークラウド側から面談日程の調整連絡が入る仕組み。なお、時節柄、面談は Zoom などのビデオ会議ツールで行うとしている。

日本の投資型クラウドファンディングは現在、調達総額が上限1億円(投資家一人あたりの出資金額は50万円まで)に規制されていることから、時価総額5億円程度で評価されるシード・アーリー期のスタートアップが、その株式10〜20%程度の資金を調達するのに使われることを想定している。イークラウドの手数料は時価総額の2%程度となる見込み。

ところで、日本にもすでに複数の株式投資型クラウドファンディングが存在するが、通常の株式を使った資金調達(特定少数であれば経営者と出資者間の直接取引、多数であれば証券会社を通じて株式の売買)では見られにくいいくつかの課題がある。出資者の反社チェック、それに俗に「株主200人問題」と称される株主総会開催の煩雑化や会社経営条件に関する株主間契約の難しさだ。

イークラウドでは大和証券グループから出資を受けており、大和証券グループが持つネットワークを通じ反社チェックを行う模様だ。これまでの株主投資型クラウドファンディングでは、この反社チェックが十分でないことを理由に、株式投資型クラウドファンディングで資金調達したスタートアップが、それ以降のラウンドの資金調達で出資者や証券会社から引受を断られるケースがあった。起業家や経営者にとっては、イークラウドを使うことで、そのような不安も払拭できることになる。

株主総会についてはオンラインツールなどを使った利便性の高いアクセス手段の提供が考えられるが、法律の制約があるため、同社では少数株主の権利尊重を念頭に詳細を検討する。新型コロナウイルスの影響もあり、法律の一部改正や運用の柔軟化も期待されるところ。株主間契約については、クラウドサインや DocuSign のようなクラウド型の電子契約システムの導入または開発を検討する。(詳細は、イークラウド代表取締役 波多江直彦氏の note を参照)

波多江氏に加え、イークラウド運営の主要メンバーの顔ぶれも明らかになった。サイバーエージェントを経て XTech Ventures で投資を担当する升井亮氏が執行役員に、ソフトバンク出身の高橋洵氏が事業本部長に就任する。XTech とイークラウドの経営は分かれているが、XTech や波多江氏のネットワークを通じて、クラウドファンディング以降のラウンドの資金調達についても、必要に応じて相談や支援を提供する。

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