家も個人間売買の時代へ

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Photo by Curtis Adams on Pexels.com

ひと昔前とは時代が変化し、C2Cのサービスが多岐に渡ってきています。フリマアプリの「メルカリ」「ラクマ」、知識や経験を売買する「ココナラ」、個人間で車をシェアする「エニカ」等、個人間でやり取りができる時代がきています。

では不動産業界においてはどうでしょうか。

部屋のシェアをする「スペースマーケット」のような、短時間における個人間でのサービスはありますが、長期、いわゆる売買における個人間サービスはまだありません。

現在の不動産業界においては、例えば家を売りたい場合は次の方法が主流となっています。

  • (1)仲介会社に仲介をしてもらい家を売買する
  • (2)買取会社に買取ってもらう

日本の人口は減少していくことが想定されていますが、空き家を含め家は増えていく、そんな世の中に不動産売買のC2Cサービスが展開されるとしたら、どうでしょうか。

日本の不動産で仲介が主流の理由

現在の不動産売買において、なぜ仲介が主流になっているのか、まずはその理由を考えてみましょう。

不動産売買には、たくさんの法律が絡んできます。宅建業法、建築基準法、民法等。区役所で条例等の調査、現地に赴き目視で調査、道路幅員の調査等、それら全てをクリアし、重要事項説明書の作成と、売主・買主双方の条件調整を行い契約書の作成をするのが仲介会社の役割です。

理想上では、上記全てを仲介会社に依頼せずに個人でできてしまえばC2Cのサービスが成り立ちます。

しかしながら上記のように全ての業務を仲介会社なしで進めていくことは非常に困難かつ、リスクが大きすぎるのが現状です。例えば個人間売買にて、再建築できると思って売った不動産が調査ミスにより蓋を開けたら再建築できない物件だったとします。

仲介会社が間に入っていればその責任は仲介会社にあるわけですが、個人間売買でそれが発覚した際に売主が負担する損害賠償は、どれほどのものでしょうか。不動産においては、売主が引き渡し完了後においてもリスクを背負い続けます。

売主のリスクが増える民法改正

更に、2020年4月1日に民法改正があり、売主が背負うそのリスクは更に増大されます。

不動産売買契約において、今までは「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが「契約不適合責任」という言葉に変わります。不動産売買において問題となるのは「隠れた瑕疵」、つまり雨漏りやシロアリなど、「目に見えないキズ」が発見された場合、売主がその責任を負うというものでしたが、法改正により、隠れた瑕疵かどうかではなく、契約書に書かれていたかどうかがポイントになります。

例えば雨漏り。

契約書上で「雨漏りが無いこと」を条件としていた場合に、買主が実際に居住を開始した後、実際に雨漏りが発生したとなれば、契約不適合となるので売主が責任を追及されることになります(補修費用 例:300,000円)。もうひとつ極端な例ですが、契約書上では、「フローリングに傷がないこと」を条件としたが、実際に傷があった場合は契約不適合となり、売主が責任を追及されます(補修費用 例:10畳のフローリング交換 129,600円)。

そこで、上記のような売主が背負うリスクを少しでも緩和するために必要になるのが「住宅診断(インスペクション)」です。

雨漏りやシロアリのチェックなどを通じて不動産の状態をさらけ出すことが、今後の売買をスムーズに進めていく最善の策になるというわけです。「人生で一番に高い買い物」をする不動産購入者にとっても必要性が高まってくることでしょうし、仲介会社が担う役割と、住宅診断の実施が認知されれば、個人間売買の実現がぐっと近づくことでしょう。

ただ、こういったリスクを負うことなく売却をすることも可能で、それが「買取」という選択肢です。これは買取会社に売却をする際は、目に見えないキズが出てきた際もその責任を免除しますという「瑕疵担保免責」の条文が盛り込まれるケースが多くあるからです。買取については入札競争の原理が働くため、高い買取額の提示をいただくこともあります。

<参考記事>

こういった中古住宅の流通をスムーズにすることで、新しいビジネスチャンスも生まれてきます。社会的問題解決の一任を背負う立場として、中古住宅市場の活性化となれば幸いです。

本稿は「インスペ買取」を開発・提供するNonBrokers株式会社のカスタマーサクセス、佐々木大輔氏によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方は、こちらからコンタクトされたい。

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