Luckin Coffee(瑞幸咖啡)の不正行為を振り返る——本当の悪者はCOOだけか

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北京にある Luckin Coffee(瑞幸咖啡)の宇宙をテーマにした店舗
Image credit: TechNode/Coco Gao

Luckin Coffee(瑞幸咖啡)は、取り沙汰されている同社の販売水増し行為を認めた。一体なぜ、こうした事態に陥ったのか。その詳細を見ていこう。

詐欺行為の規模

今回の事件に対し、Luckin Coffee は公式見解を以下のように発表している

内部調査によると、2019年第4四半期までに捏造されたとみられる売上総額は約22億人民元(約334億円)に達しています。また、同期間には売り上げに加え経費やその他費用も大幅に増加していました

つまり、同社は収益面において多額の不正をしたこととなり、これは同社2019年における第2、第3、第4四半期の売上見込みの約半分に当たる。

しかし、同社見解文において着目すべき点はほかにもある。それは「経費やその他費用」の大幅な増加という点だ。空売りを専門とする Muddy Waters が公開した匿名レポートが、上の文章を理解するうえで役立つかもしれない。同レポートでは、同社が広告宣伝費やコーヒーマシーン調達に際してマーケット価格を大きく上回る額で実施していたことが指摘されている。これは、同社経営陣が私利私欲を優先していたことが伺える。

この経営体制が続けられていたと考えると今回明らかとなった詐欺行為が氷山の一角である可能性は大いにあり得るだろう。

どこまで経営崩壊しているか

不正行為の中心には同社 COO Liu Jian(劉剣)氏がいたとされる。しかし、株式公開前の目論見書によれば、同氏は同社株式を一切所持していなことが判明している。もちろん、ストップオプションは有しているが、キャリアを犠牲にしてまで不正をするモチベーションにはならないはずだ。

一方、同社会長である Lu Zhengyao(陸正耀)氏とCEOである Qian Zhiya(銭治亜)氏 は違う。目録所では、Zhengyao 氏が30.53%、Qian氏が19.6%、Lu氏の妹が運営する投資ファンドが12.4%所有していることが明らかとなっている。

2019年11月から1月にかけ、同社株価が160%の上昇を見せたのは第3四半期における業績が予想を大いに上回って好調だったことが要因だ。もちろん、1月は同社が追加資本のために上場を果たした時期と重なる。

上場時における目論見書を見ると、上述した3社が株式質権などあらゆる方法を用いて株式をキャッシュ化していることが判明している。簡単に言えば、株式を担保にローンを組む手段で、Lu氏 は約5億ドル獲得したとされている。仮に不正が行われていなければ、ここまで多額の資金を借りることはできなかったであろう。

いつから不正体質に変貌したか

仮に同社の不正後の数値が事実に基づいていたとしても、Luckin Coffee はビジネス面で難題を抱えていた。以下はハーバードビジネススクール流のケーススタディだ。

あなたは Grab-and-Go(テイクアウト)ベースの、キオスク型コーヒービジネスチェーンを中国で展開する次期 CEO です。4500もの実店舗を急速拡大に成功したものの、売上高は競合他社と比べると大きく下回っています。しかし2020年1月には、強気市場とコーヒー事業者の誇大広告により、株式と借入で8億ドルの調達に成功しました。さて、あなたの次のステップは?

中国においてコーヒーチェーンを運営するうえで最も支出が高くなるのが家賃だ。つまり、テイクアウトに特化した店舗を運営する同社にとっては支出をできるだけ抑えることができていたと言える(サードプレイス提供型と比較して)。

しかし、同社ある意味で物理的資産より「ブリッツスケーリング」に依存しすぎていた。この用語はシリコンバレー発祥で、大規模な市場を獲得するために効率性よりスピードを優先させる意味を指している。

「ブリッツスケーリング」を操るには、大規模市場を展開し、大規模かつゼロマージンなコストディストリビューションを持ち、さらにネットワーク効果を活用しなければならない。SNS やプラットフォーム企業にとっては比較的容易な手段とされていたが、コーヒー店舗にとっては難題であったと言えるだろう。

Luckin Coffee のケースでは、中国の大都市以外での急速な拡大と価値提供のばらつきが、同社バランスシートを揺るがすことへ繋がったのだ。

復活可能なのか

株価低迷により、同社は倒産への一途をたどっているかに見えるだろう。しかし、同社はそれでも豊富なキャッシュを所有している。一方、同社が抱いていた企業としての野心は「Venti」から「Short」へサイズ変更を余儀なくされるかもしれない。不正行為をしたような経営陣が、マインドを変え経営存続を図ろうとするならば、同社が急激な店舗数拡大を実施したように急激な店舗数縮小をするだろう。

また実店舗の縮小だけで立ち直れるとは言い切れない。同社が掲げていた、中国全土への自動販売機展開計画は中止にすべきだ。もちろん店舗にかかるコストを削減することはできるが、扱える商品が狭まることになる。コーヒー、ミルクティー、ジュースのような利益率高く販売できるものは実店舗で販売を推し進めるべきだろう。

また、全体的な顧客数促進を図ることも重要だ。そのためにも、オフィスが位置する都市部やクーポンの配布などを実店舗中心に実施することが求められる。

投資家の間では、Lu 氏と Qian 氏が公表されずとも不正行為に加担した可能性が高いことは既知の事実となっている。つまり、両社がコーポレートガバナンスの中心にいる間は、同社の復活劇は始まらない。もし、本気で中国におけるコーヒーカンパニーを目指すのであれば同氏らの退任は避けられない。

※本稿は提携する TechNode の記事の抄訳

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【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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