米ISP大手Cox、低遅延ネットサービス「Elite Gamer」を発表——常駐ソフトでトラフィック監視、ゲーム毎にルーティングを最適化

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「Elite Gamer」のダッシュボード
Image credit: Cox Communiations

通信プロバイダーの Cox Communications は、同社のインターネットネットワーク上のゲームサーバーとプレイヤー間の接続を最大32%向上させるサービス「Elite Gamer」を開始する。

このサービスは、メガビット/秒といったダウンロード速度で測定されるような、通常より広帯域のインターネットを提供するものではない。むしろ、オンラインシューティングゲームのようなインタラクティブ性の高いゲームをプレイする人にとってより重要な、応答時間、つまり待ち時間を改善する。Cox は全米18州で600万軒以上の家庭にサービスを提供しているが、この種の技術は、劣悪なインターネット接続に耐えられないコアな顧客を引き留めるのに役立つかもしれない。

Call of Duty: Warzone」のようなゲームでは、筆者はは自分の死をレイテンシーやインタラクションの遅延のせいにしがちなので、このアイデアには共感できる。そして、それは筆者だけではない。このような事態が発生したとき、「間違いなく、俺の方が先に撃った!」というのが、ヘッドセットを通じてよく聞かれるセリフだ。

すでに Cox のプレミアムメニューである「Panoramic Wi-Fi」に加入しているユーザは、最初の1台目のコンピュータについて Elite Gamer を無料で利用できるが、1世帯に1台追加するごとに月額5米ドル(3台まで)の料金が発生する。Panoramic Wi-Fi を使っていない Cox の顧客は、1台目のパソコンが月額7米ドルで利用でき、追加のパソコン1台ごとに月額5米ドルが追加される。

繰り返しになるが、この新サービスは、あなたのブロードバンド速度を高めるものではない。しかし、Cox の新成長・開発担当エグゼクティブディレクターである Ron Lev 氏は GamesBeat とのインタビューで、メガビット/秒の高速化だけで応答時間が向上すると考えているのであれば、それは間違いだと語っている。

インターネットのパフォーマンスに影響を与えるのは速度だけではない。レイテンシーやラグと呼ばれるもの、つまり ping タイムだ。ISP があなたの家に10ギガビット/秒のダウンロード速度を提供しているとしても、バックオフィスやサーバー、使用しているアプリケーションサーバーが最適化されていない場合、それは実は役に立たないだろう。

Elite Gamer は、PC ゲームサーバーへのより高速なパスを自動的に見つけ出し、ユーザのゲーム接続を最適化することで、Cox のサービスエリア全体でゲーム体験の向上を約束する。目標は、例えば60ミリ秒以下の応答時間でゲームを提供することだ。

このソリューションは、我々が「ミドル・マイル」と呼んでいる問題を解決するもので、基本的にはトラフィックが我々のネットワークを抜けると、公衆インターネット上のトラフィックをより効率的に迂回させる方法を見つけ出す。

Lev 氏は、オンラインゲームのエンゲージメントが向上している新型コロナウイルス感染拡大の間、顧客はこれまで以上にこの種のサービスを必要としていると述べた。市場調査会社 NPD Group によると、5月のゲーム売上高は9億7,700万米ドルに達し、これは2019年5月と比較して52%増加、5月の消費額としては過去10年の調査史上最高の結果となった。

Cox は、Elite Gamer によってレイテンシーが改善される程度は、プレイヤーがどこにいるか、ゲームサーバーがどこにあるか、トラフィックがどれくらい重いか、どのゲームをプレイしているかによって異なると注意を促している。しかし、ダッシュボードやアナリティクスが提供されているため、プレイヤーはゲームごとにどのような改善が得られるかを確認でき、その違いを実感できると Cox は確信している。

ゲーム体験を向上させ、より安定したものにしてくれるだろう。(Lev 氏)

Cox のサービスエリアに住んでいない人は、WTFast などが提供する低遅延サブスクリプションサービスを契約することで、同様の技術の恩恵に預かることができる。しかし、Cox の改善されたサービスは、Subspace や Network Next のようなインターネットソリューションとは異なる。

我々は、クライアント側から見て、異なるアプローチを取った。

ユーザ が PC に常駐させるソフトウェアをダウンロードできるようにし、ユーザがゲームを開始すると、このソフトウェアがユーザが何を使用しているかを識別する。クライアントのトラフィックパターンを識別することで、他ルートを見つけるというわけだ。(Lev 氏)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

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