Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。
中国のエンターテイメント大手 Tencent(騰訊)は、自社のストリーミングプラットフォーム「WeTV(またの英語名を Tencent Video。騰訊視頻)」のリーチを東南アジアに拡大するため、東南アジアのストリーミングサービス「iflix」を買収したと発表した。買収金額など取引の財務詳細は明らかにされていない。

Tencent は Tech in Asia に寄せた電子メールによる声明で次のように語った。
今回の買収により、WeTV は東南アジア全域のビデオストリーミング業界でのプレゼンスを拡大し、地域内の幅広い視聴者層にリーチし、ユーザにより良い視聴体験を提供することができるようになる。
WeTV は昨年、タイで初めてサービスを開始し、タイ語吹き替えや現地パートナーとの共同制作による中国オリジナルコンテンツを提供している。また、インドネシアとフィリピンでもサービスを開始している。Tencent は、プラットフォームの営業指標の開示を辞退した。
Tencent は、iflixのコンテンツ、技術、リソースを含む今回の買収により、新興国市場にまたがる iflix のローカルネットワークにより、WeTV の現在のユーザは、より幅広い国際的、ローカル、オリジナルのコンテンツを手に入れることができるようになると述べている。
また、CEO Marc Barnett 氏をはじめとする iflix の現スタッフのほとんどは、それぞれの役割を維持する。
現在の優先事項は、既存事業との円滑な統合と人材の確保だ。
2014年に設立されたiflix は、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、スリランカ、ブルネイ、モルディブ、パキスタン、ミャンマー、カンボジア、ネパール、バングラデシュでユーザにサービスを提供しており、これらの地域で Netflix と競合している。
2020年4月の時点で、プラットフォーム上の月間アクティブユーザ数は2,500万人を超えている。
今月初め、マレーシアに拠点を置く iflix は財政難から売却を検討しており、複数の中国のテック企業が買収を検討していると報じられた。アジア太平洋地域の広告・マーケティングメディア「Campaign」は、iflix の事業に詳しい関係者の話を引用する形で、iflix が数カ月前に残金を使い果たしたと報じた。
これまでに iflix は総額3億4,800万米ドルの資金調達を行っている。最新の資金調達は昨年7月に行われたもので、IPO の可能性に先駆け5,000万米ドルを調達した。同社は今年、オーストラリアでの株式公開を検討していると報じられていたが、その後、より多くの資金調達を検討していたため、その計画は棚上げされていた。
5月には、不良資産アドバイザリーサービスを提供する投資ファンド Mandala Asset Solutions のプリンシパル2名が iflix の取締役に就任した。これより前、iflix の共同創業者 Luke Elliott 氏と Patrick Grove 氏が取締役を退任していた。
<関連記事>
- 中国の動画サービス大手各社、映像制作を積極化
- アジア・中東でビデオオンデマンド提供のiflix、吉本興業から資金を調達しJVを設立——日本発コンテンツを現地で配信へ
- アジア・中東でVOD提供のiflix、アフリカ事業の「Kwesé iflix」を現地放送サービス大手Econetに売却へ
- アジア・中東でVOD提供のiflix、米出版大手Hearstリードのラウンドで1億3,300万米ドルを調達——Jungle Ventures、Catcha Groupらが参加
【via Tech in Asia】 @techinasia
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待