ブロックチェーンで衛星とデバイスの直接通信を目指す「SpaceChain」

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ピックアップ:SpaceChain Foundation Invests in Core Semiconductor to Produce Open Hardware Platform for Direct Satellite-to-Devices Communication

ニュースサマリー:宇宙市場における分散技術インフラの活用を目指す「SpaceChain」は5月19日、Core Semiconductorとの戦略的パートナシップを締結したことを同社Mediumで発表した。同パートナーシップにより、衛星とデバイスの直接通信(Direct Satellite-to-Devices Communication)を可能とするハードウェア構築を目指す。

重要なポイント:衛星とデバイスが通信する場合、従来までは、地上の衛星アンテナやサードパーティネットワークを経由する方法が一般的とされていた。今回のパートナーシップはそうした常識を覆すものであり、またオープンソースで行われることから注目を集めている。

詳細情報:SpaceChain Foundationはコミュニティーベースの宇宙プラットフォーム。世界初のオープンソース・ブロックチェーンに基づく衛星ネットワークを構築することを目指している。宇宙技術とブロックチェーン技術を組み合わせ、ユーザーによる宇宙でのアプリケーション構築実現を目指す。

・同社の開発するブロックチェーンハードウェアウォレットは昨年12月、SpaceXのFalcon9ロケットに搭載され、国際宇宙ステーション(ISS)に到達したことで知られる。同ISS実証ミッションは、NanoracksとNASAとのSpace Act Agreementによって実現した。

・今回のパートナーシップにより、アクセス性と制約のないコラボレーションが可能となる。同社にとっては、分散型宇宙ハードウェアとニュースペース・エコノミーを実現していく大きな一歩となる。

・ブロックチェーンを活用することで、多層のグローバル分散型インフラストラクチャ上のデバイスをセキュアにすることが可能となるほか、同プロジェクトが実現すれば、ブロックチェーン技術が爆発的に実社会へ普及する起爆剤となる可能性がある。

・また、Googleを始めとするプラットフォーマーが採用しているオープンソースソフトウェア(OSS)概念のハードウェア版が採用され、オープンソースによるイノベーションの加速が期待される。プロジェクトで実際に公開されているコードは下記の通り。

https://github.com/coresemi

https://github.com/coresemi/gnss-baseband

背景:今回のSpacechainのパートナーシップ締結は、昨年12月にISSの実証実験をNASAらと行い、次なるステップとして金融サービスプロバイダー・IoTサービスプロバイダー・研究機関などと協業を推進していく上での通過点と言える。

執筆:國生啓佑/編集:増渕大志

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