
Image Credit: Magic Leap
AR企業のMagic LeapのCEOであるRony Abovitz氏は新たな資金調達を行ったことを認め、同社のトップエグゼクティブを退任すると発表した。
声明のなかで、Abovitz氏は同社が土壇場の資金調達を行ったという噂を認めているが、調達元や金額は明かさなかった。同社は、空間コンピューティングプラットフォームをエンタープライズ市場に集中させるべくピボットしている。
5月第4週にThe Informationが報じたところによると、Magic Leapは救命策として3億5,000万米ドルを調達した。この直前に同社は1,000人の人員削減を行い、現実世界にアニメーション画像をオーバーレイするMagic Leap One ARヘッドセットの消費者向けビジネスを終了すると発表していた。
同社が新しいCEOを見つけ、Abovitz氏が辞任を発表するのはある意味当然のことだ。多くの企業は設立者を超えて大きく成長する。Magic LeapはARメガネで世界を変えるという当初のビジョンを実現していない。同社は消費者向け製品と企業向け製品の両方を同時に成功させようと試みた。しかしMagic Leapのプロダクトは高価で、最低でも2,000米ドルは下らないため、消費者市場は二の足を踏んだ。そして、なかなか完成しないテクノロジーには企業からの大型発注も集まらなかった。
Magic Leapが企業向け製品に注力するという戦略はおそらく正しい。企業は消費者よりもハイエンドテクノロジーに賭ける可能性が高いからだ。しかし競合は多い。同社は最初の試みで空振りしているので、これから奇跡を起こすと顧客に納得させることは容易ではない。バーチャルリアリティ企業と同様に、Magic Leapも革命がすぐには起こらない場合に備えて、本腰を入れて準備する必要があるかもしれない。これは新CEOが考えなければならない問題だろう。
Abovitz氏は、そのビジョンで同社を数十億米ドルの評価に導いた点は称賛に値する。しかし、この価値を活かしてビジネスを成し遂げることができる人物を見つけるべき時が来たのだろう。
Abovitz氏の声明全文は次の通り。
過去数週間にわたって共有してきたように、Magic Leapを成功への道に導くために、企業向けの空間コンピューティングプラットフォームの提供に焦点をピボットしました。
私たちは重要な資金調達を完了し、主要な戦略的企業パートナーシップの締結に向けて強く前進しています。
次の重点フェーズに向けて、Magic Leapにはどのような変革が必要なのかを取締役会で協議していく中で、私の役割を変えることが次の自然なステップであることが明らかになりました。これについて取締役会と話し合いましたが、今こそ、企業向け空間コンピューティングに焦点を絞ったビジネス構築を推進できる新たなCEOを迎える時だということで合意しました。私たちはこの役割を果たす候補者を積極的に募集しています。近いうちにより詳しく共有できることを楽しみにしています。
私は2011年からMagic Leapを率いてきました(ガレージからスタートして)。新しいフィールド、新しいメディアを作り上げました。そして、私たちは一緒にコンピューティングの未来を定義してきました。私たちが構築したすべてに驚いています。Magic Leapが今後数十年で作るであろうすべてのものを楽しみにしています。
私は移行後もCEOを続ける予定です。取締役会レベルから戦略とビジョンをどのように提供し続けるか、協議中です。私はMagic Leapの将来に非常に期待しており、私たちのチームとその素晴らしい才能と能力のすべてを深く信じています。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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