Uber、フードデリバリーのPostmatesを26.5億ドル(約2,860億円)で買収

SHARE:
Image credit: Pixabay

Uberは7月6日、オンデマンドデリバリーのPostmatesを26億5,000万米ドル相当の全額株式交換で買収したことを正式に発表した。1週間前から憶測が飛び交っていたが、7月6日にBloombergが取引完了を報じたことに対し、Uber、Postmates双方からの反応はなかったそうだ。

UberはPostmatesを通して、需要が急増しているフードデリバリーサービス「UberEats」および同社が幅広く展開する「delivery-as-a-service(サービスとしての配達)」をさらに加速させるつもりだ。Uberは買収後、消費者向けアプリの「Postmates」をスタンドアロンとして残しつつ、店と消費者の両方が統合デリバリーネットワークのメリットを受けられるようにする予定だと述べている。

Uberの戦略的買収は以前から行われている。最近では中東の配車サービスのCareemを31億米ドルで買収し、ラテンアメリカの食料雑貨デリバリースタートアップのCornershopの支配権を取得した。同時にUberは事業の一部を東ヨーロッパ中国東南アジアの競合に売却もしている。

IPOせず

サンフランシスコに拠点を置くPostmatesは2020年のIPO候補として有力視されていた。昨年、証券取引委員会(SEC)に非公開申請したが投資家からの反応がパッとせず、計画は延期されていた。今週(7月第2週)中にもIPO計画を復活させるために準備をしているという報道が出たが、それがUberによる買収に拍車をかけた可能性がある。

Postmatesは2011年設立。オンデマンドのフードデリバリー分野における主要企業の1つだ。食品配達で知られるが、あらゆる商品の配達に利用することができる。これは配車サービスの輸送インフラをUber Eatsへと再利用したUberに似た手法だ。Uberは7月6日、Uber Eatsの2020年第2四半期の予約数が前年比で100%増加したと発表した。また同社は数カ月前、ほぼ全てのアイテムを配送できる「Uber Connect」という新サービスを発表した

Postmatesは2017年にメキシコでローンチした時には国外への拡大も模索していたが、現在はアメリカのみで利用可能となっている。Uberはアメリカでのフードデリバリー市場における地位の確立強化に取り組んでおり、昨年はPostmatesの競合のDoorDashの合併を検討したと報じられている(DoorDashは今年IPOを非公開申請したが、その後4億米ドルを調達しIPOへの計画は不明となっている)。この他にUberが買収を検討していたフードデリバリー大手のGrubhubは1ヶ月前にヨーロッパの同業Just Eatによって73億米ドルで買収された

UberがマーケットリーダーのDoorDashとGrubhubを買収できず、Postmatesを次のターゲットとしたことは理に適っている。消費者データ分析会社のSecond Measureによると、Postmatesは5月のアメリカのフードデリバリー市場において8%のシェアを占めている。これはDoorDash(45%)、GrubHub(23%)、Uber Eats(22%)に次ぐものだ。このデータに基づくと、Uberは現在、競争の激しい国内のフードデリバリー市場で2番目に大きなプレーヤーであることは明らかだ。

UberはPostmatesの株式100%に対して約8,400万株の普通株を発行すると述べている。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳です

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する