Sillicon Mac:「M1」チップの正体(2/4)

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Image Credit : Apple

(前回からのつづき)Appleはこれら3つの新Macについて、従来のIntelマシンの約3倍の速さだとして売り込んでいるが、この重要な数字には巧妙なマーケティングトリックが使われている。

近年、同社はスペックが著しく低いCPUを積んだ初心者向けのMacを提供し始めた。たとえば以前のIntel MacBook AirやMac miniのチップはCore i3からとなっており、一方でMacBook Proは1.4GHz Core i5だった。数年かけてAppleが計画していたM1とIntelを比較する際に、M1のパフォーマンスのベンチマークをIntelの最速チップと比較してマーケティングする必要はなく、代わりに最も弱いいくつかのチップに焦点を当てているのだ。

さらに、M1のパフォーマンスレベルは全く驚くべきものではなかった。信頼できる噂によると、M1は事実上、名前を変えたA14Xだと言われているーーA14XはすでにiPhone 12とiPad Airに搭載されているA14 Bionicチップの次作であり、まだ未発表だ。

これは通常どおり行けば次世代のiPad Proに搭載される。9月に発売されたA14は5ナノメートル製造プロセスと118億個のトランジスタを備えている。2カ月後に発表されたM1は同じく5ナノメートルプロセスに160億個のトランジスタを使用している。これはAppleが2年前に7ナノメートルのA12とA12Xチップで行ったのと同様の変更となっている。

AppleはM1の高性能CPUコアを「世界最速」と主張しており、他の低速チップコアと比較してこのことが正しいと信じる理由はたくさんある。とは言え、Appleはチップの全体的なパフォーマンスを「昨年販売されたラップトップPCの98%よりも速い」と謳っている。これはパフォーマンスに関しては売上高よりもソフトな指標だ。

安価で低性能なマシンは、高価でパフォーマンスが非常に高いものよりも多く売れる傾向があるため、90%のラップトップが500ドル未満で売られているとすれば、Appleのコンピューターの方が優れた性能で2倍の価格で販売されても不思議ではないだろう。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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