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今年で4回目を迎えた札幌No Maps、街を使ったMaaS体験・地域に根差したペインに取り組むスタートアップが注目を集める

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本稿は、10月16日〜20日に札幌市内で開催されている「No Maps 2019」の取材の一部。 今年も札幌に No Maps がやってきた。スタートアップやデジタルトレンドの一大情報発信地へと変えた「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」にインスピレーションを受け、2016年のパイロット版を皮切りに始まったこのイベントも今年で4回目を迎えた。 「まちに、未来を、インストール。」を合言葉にしてきた…

本稿は、10月16日〜20日に札幌市内で開催されている「No Maps 2019」の取材の一部。

今年も札幌に No Maps がやってきた。スタートアップやデジタルトレンドの一大情報発信地へと変えた「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」にインスピレーションを受け、2016年のパイロット版を皮切りに始まったこのイベントも今年で4回目を迎えた

「まちに、未来を、インストール。」を合言葉にしてきただけあって、今回も札幌市内の各所を利用した最新テクノロジーの実践が目立つ。スケジュールの関係で、No Maps 今回は最初から最後まで見ることはできなかったのだが、いくつかを取り上げてみたい。

15日夜に札幌市内で開催されたレセプション。No Maps は「初音ミク」の生みの親、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏が、北海道からより多くのスタートアップを生み出す機運を作りたいと呼びかけ開催されるようになった。

伊藤氏の挨拶に続き、札幌市出身で MIT メディアラボ副所長の石井裕氏による基調講演。「山を登るのではなく、誰も見たこともない山を造ろう」と、イノベーションの極意を語った。

最先端の技術を一般の人々が手にできる、試せることに主眼を置いた No Maps では、街中で MaaS が提供されているのも目立った。群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)は2017年にも札幌大通公園を周回する公道で自動運転の実証実験を披露している

一度に運べる人を増やす意味から車体はワゴン車になり、GPS 情報に連動して話しかけてくれるロボットも備えられた。前回はプレスなど一部のみの公開だったが、今回は一般市民も試乗参加ができた。試験走行コースも、札幌市中心部から豊平川の土手まで行って戻ってくる3キロほどのコースが設定され、前回よりもより実践的になっている。

2年前には No Maps に先んじてバイクシェアリングの Mobike(摩拜単車)が札幌に進出したが、広大な土地に人が住む北海道においては交通が大きな課題であることから、MaaS(mobility as a service)は常にホットなバーティカルと言えるだろう。今回は e スクーター勢を代表して、国内からは LUUP、海外からはデジタルガレージが日本進出を支援する Lime がプレス向け試乗会を開催した。

筆者は今年の SXSW の際にオースティン市内で e スクーターを多用したが、e スクーターは小型であるため動力も非力なので、登り坂に弱いのが欠点。札幌市内は平地が多いのでその点の問題がないが、e スクーターが本領を発揮するのは、むしろ、ラストワンマイルアクセスに乏しい北海道の地方都市かもしれない。


No Maps では例年、産業技術総合開発機構(NEDO)が「Dream Pitch with 起業家万博」を開催している。北海道を中心にスタートアップ12チームが登壇したが、技術やビジネスモデルが評価され表彰を受けたスタートアップ8チームを紹介しておきたい。

ゼロスペック【最優秀賞】【NICT 賞(起業家万博全国イベント、北海道地区代表)】

暖房や湯沸の家庭や事業所では、北海道をはじめ北日本では灯油が多用される。灯油販売店は、必要な時に灯油が切れないよう、灯油残量にかかわらず、灯油販売店は定期的に契約先を訪問し灯油を補充しなければならない。ゼロスペックは、灯油タンクに独自開発の IoT デバイスを装着することで、灯油残量を外部モニタできるようにした。残量に応じて灯油販売店は契約先に配送に向かえるので、作業効率が上がり、高齢化に伴う人手不足の問題解決に役立つ。

RAINBOW【優秀賞、聴衆賞】【NEDO TCP(Technology Commercialization Program)賞】

脳梗塞を発症すると、脳の一部が損傷を受けることで後遺症が残り、その後の機能回復の多くはリハビリに頼っている。RAINBOW では、自家骨髄幹細胞を脳梗塞を受けた脳の部位に直接投与し、脳細胞の回復を促すというもの。幹細胞は体内のあらゆる細胞に分化できる特性を持つが、治療に自家細胞を使うことで免疫排除されないため、投与された脳の部位に長期にわたって滞在し生着するため、慢性期(発症から時間が経った患者)への治療にも有効と見られている。

RESA【優秀賞】

RESA が開発する「満室ナビ」は、公開されている賃貸不動産の情報、設備要件などを収集し、不動産オーナーが市中の満室物件と設備や条件を比較できるサービスだ。入居者ニーズをとらえ、各設備の保有率などを把握することで、空室に悩む不動産オーナーがどういう対策を施せば、借りたい人を増やせるのか、家賃を上げても貸せるのかなどがわかる。昨年の Open Network Lab にはライトブレインとして採択、今年1月に RESA に満室ナビの事業が引き継がれた。

チーム:LINAS【No Maps賞】

チーム:LINAS は、組み込み型マイコン「Arduino」のための AI アクセラレータ「FPGA2I シールド」を開発。AI が活用される多くのシーンにおいては、データをセンサーなどで取り込み、それをアップロードしてクラウドやサーバで AI を運用しているケースが多い。より簡単かつ安価に AI 運用するにはエッジ(センサーが置かれている現場)で動作させることが望ましいが、それに適した AI アクセラレータが存在しなかった。Arduino に対応させることで、プログラミングの知識がある人なら操作もしやすい。

FP-MYS【No Maps賞】

FP-MYS は、相続や贈与に関するトラブルを避けるための相談プラットフォーム「レタプラ」を開発。相続や贈与を受ける可能性がある家族が、相続税試算額、相続対策を専門家(税理士や会計士などの士業)に相談することができる。相続や贈与は家族内のセンシティブな内容を伴うため、知人や地元の士業に相談しづらいことが多い。一方で、士業にとってはつながりにくい相続人・被相続人と繋がることができ、効果的な営業開拓チャネルとなる。将来は、計画的な相続・贈与プランを立てるサポートを展開。

BREAKTHROUGH【審査員特別賞】【Mt.Fuji イノベーションエンジン賞】

BREAKTHROUGH が開発する「Soko-co(ソココ)」は、林業に特化した ICT プラットフォームだ。ケータイの電波が届きにくい山間部で利用されることを想定し、通信にはマルチホップ接続可能な近接間通信を採用している。「枯損木」「調査木」などの木情報、「つるがかり」「かかり木」「蜂の巣」「クマの糞」などの危険情報、「土場」「木材はい番号」などのアイコンを、任意の地点に登録し同グループのユーザーと共有できるほか、高精度 GPS による行動軌跡の表示や記録などの機能を持つ。

ファーストコネクト【審査員特別賞】

歯科業界の人材紹介サービスを提供するファーストコネクトは、歯科医師や歯科衛生士らによる口コミで、患者が自分に合った歯医者が探せるサービス「プロレコ」を運営。患者同士による評価から生じるステマやサクラの可能性を排除し、専門知識のない一般人の口コミによるミスリードを防ぐ効果がある。歯科医院とユーザーの最適なマッチングを実現することで、ユーザが自身の求める歯科医院を選択することができるとしている。

MILE SHARE【審査員特別賞】

MILE SHARE は、航空会社が発行したマイルをユーザ間で譲渡・譲受できるマーケットプレイスを構築し、市価よりも安い価格が飛行機に乗れる環境を提供。MILE SHARE では世界中からマイル提供者を募り、同一アライアンスの異航空会社間でマイルが使えることを活用、さまざまなフライト需要に応える。マイル譲渡者と譲受者の双方から10%ずつをシステム利用料として徴収。IVS 2019 Summer in 神戸の「LaunchPad」ファイナリスト

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3回目を迎えた〝札幌版SXSW〟のNo Maps、映像と写真で振り返る

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本稿は、10月10日〜14日に札幌市内で開催されている「No Maps 2018」の取材の一部。 SXSW にインスピレーションを得て、2016年に札幌で始まった No Maps は今年3回目を迎えた(正確には、2016年の回は第0回のテスト版とカウントされているので、今年は第2回となる)。 北の地からスタートアップシーンを盛り上げようという気運の高まりだけでなく、SXSW のカテゴリである Mu…

本稿は、10月10日〜14日に札幌市内で開催されている「No Maps 2018」の取材の一部。

SXSW にインスピレーションを得て、2016年に札幌で始まった No Maps は今年3回目を迎えた(正確には、2016年の回は第0回のテスト版とカウントされているので、今年は第2回となる)。

北の地からスタートアップシーンを盛り上げようという気運の高まりだけでなく、SXSW のカテゴリである Music、Film、Interactive、Game と同様、今年の No Maps にも音楽や映画をテーマとしたセッションが充実していたように思う。

10月10日〜14日、札幌市中心部で開催された No Maps 2018 のコア期間のセッションやデモの様子の一部を、映像と写真を中心に振り返ってみたいと思う。

No Maps 2018 のカンファレンスデイの先陣を切ったのは、日本国内で地域イベントを主催する皆さんによるセッション。福岡から明星和楽、神戸から 078Kobe が参加した。
ブロックチェーン北海道イノベーションプログラム(BHIP)主催によるセッション。LINE 砂金信一郎氏、Scalar 深津航氏、モバイルファクトリー 高橋秀彰氏、INDETAIL 坪井大輔氏が登壇。
市の中心部では、No Maps と連携し札幌国際短編映画映画祭も開催。参加者からは「ピザモンスター」人気を得ていたようだ。

札幌市中心部の商店街「狸小路」では、自動運転ロボットを使った観光客向けの荷物運搬介助のデモが行われた。実用化すれば、買い物の量にかかわらず、手ぶらでの移動が可能になる。

Open Network Lab は、北海道でアクセラレータプログラムを開始しており、その第1回デモデイが開催された。詳報はこちらの記事を参照。
お酒を飲みながら会議をすると、果たして会議は活性化するのかを検証するセッション。田村カイ氏、河原あず氏、ヌーラボ 橋本正徳氏、東急電鉄 加藤由将氏が登壇。
サッポロビールは飲料を、東洋ガラスは色を変えられる LED 搭載グラスを、富士通は映像・音声解析で会議が活性化しているかを定量的に把握できるシステムを導入。
地域イベントが連携することで、日本のイノベーションが加速するだろうとの仮説を提言。海外事例などからも、おそらくこの仮説は正しい。
田村カイ氏によるグラフィックレコーディング。
今年の SXSW で披露された「ANA AVATAR XPRIZE」にちなみ、全日空はテレイグジスタンスでのショッピング体験をデモ。東急百貨店札幌店から、渋谷ヒカリエでのショッピング体験を楽しむことができた。

地下歩行空間「チカホ」のステージで行われた、ナイトエコノミーに関するセッション。バンコクと札幌の間には直行便があることから、東南アジアからの観光客も増えつつあるが、まだまだ来訪客を楽しませる仕掛けが足りないのではないか、という議論が続いた。
ライオンが出展していた、下着にセンサーをつけるだけで、恒常的に腹囲が測定できる「ながら腹囲チェッカー」。アプリと連動し、体型維持を支援してくれる。
同じくライオンによる展示。シャンプーやリンスの買い置きは、ついつい忘れるもの。シャンプー台の下に圧力センサーを入れることで、ポンプを押されたカウントに基づき残量を判定、シャンプーを自動注文できる。Amazon Dash より一歩進んでいるのかも。高齢者の遠隔見守りなどにも応用できる。
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DGと北海道新聞、「OnLab北海道」の第1期デモデイを開催——恋愛コミュニケーションをAIが支援する「AILL(エイル)」が最優秀賞を獲得

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本稿は、10月10日〜14日に札幌市内で開催されている「No Maps 2018」の取材の一部。 デジタルガレージ(東証:4819)と北海道新聞のジョイントベンチャー、D2 Garage(ディーツーガレージ)が運営するスタートアップアクセラレータ「Open Network Lab HOKKAIDO(以下、OnLab 北海道)」は12日、札幌市内で第1期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。…

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本稿は、10月10日〜14日に札幌市内で開催されている「No Maps 2018」の取材の一部。

デジタルガレージ(東証:4819)と北海道新聞のジョイントベンチャー、D2 Garage(ディーツーガレージ)が運営するスタートアップアクセラレータ「Open Network Lab HOKKAIDO(以下、OnLab 北海道)」は12日、札幌市内で第1期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。このアクセラレータは、昨年、札幌で開催されたクリエイティブ・コンベンションイベント「No Maps 2017」で開設が発表されたもので、第1期は今年4月20日にローンチし、6月末にキックオフを迎えた。

デモデイの冒頭で登壇した OnLab 北海道コミュニテイーマネージャーの山崎清昭氏によれば、第1期プログラムには54チームの応募があり、17チームが面接審査を通過、6社が採択された。当初は観光や一次産業系のスタートアップが多くなることが予想されたが、実際には AI を活用したアイデアプロダクトが多くなったという。キックオフからの3ヶ月間、週1回の頻度でメンタリングが実施されデモデイの日を迎えた。本稿では登壇した5社を紹介したい。

デモデイで審査員を務めたのは、

  • さっぽろ産業振興財団 専務理事 酒井裕司氏
  • DRAPER NEXUS マネージングディレクター 中垣徹二郎氏
  • ムラタオフィス代表 村田利文氏
  • ファームノート代表取締役 小林晋也氏

<情報開示> 筆者も今回審査員を務めさせていただいた。本稿記事中には評価的要素を含めていない。

【最優秀賞】AILL(エイル)by GemFuture

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厚生労働省の調査によれば、20〜30代の正社員独身者の半数以上が恋人がいないと回答しており、その理由として、建前では「忙しい」や「恋愛のノウハウが無い」という回答が多いという。しかし実際の理由は、「恋愛で傷つきたくないから」というのが深層心理にある、と GemFuture は見立てる。成果主義が浸透し、結果が明確に見えないことに努力しづらい世相も影響しているのだろう。

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GemFuture が開発した「AILL(エイル)」は、カップル間のチャットを支援する AI サービスで、好感度や告白成功確率を上げ、両者の関係性を進展させるべく AI キャラクターがナビゲートしてくれる。恋愛における心理的ハードルを下げることに特化しているのが最大の特徴。これまでに1,000人を超える会員を獲得しており、その86%が「(AI による)ナビゲートが必要」と回答した。企業への福利厚生サービスとして導入支援が決定している。

【オーディエンス賞】MyDee by CryptoLake

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CryptoLake は、分散型のパーソナルデータストア「MyDee」を開発。ユーザは自分の ID やパスワード、プロフィール(デモグラフィックデータ、ペルソナデータ)などを Web サービス側に保持されることなく、暗号化された状態で DropBox、Google Drive、スマートフォンなどに保存でき、情報を管理するイニシアティブを自身の手に取り戻すことができる。

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ユーザが自身の情報を能動的に Web サービスや事業者に開示しリワードを得ることができるオファーマーケット機能も提供。事業者の業態に応じて開示する情報内容を最適化し、ブロックチェーンにより透明性を確保。また、ペルソナデータを蓄積し、ユーザの一生を通じてのサービス利用状態(ライフログ)取得の事業も構想に入れている。同様のサービスは、DataSign、電通、三菱 UFJ 信託銀行などが提供または開発に着手している。

miParu Card by ミルウス

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医療やヘルスケアに関わる情報(お薬手帳、母子健康手帳、血圧手帳、健康診断の結果、レントゲン、CT スキャンなど)は、バラバラに管理されていることがほとんどだ。規模の大きな病院であれば院内にサーバを設置して管理していることもあるが、管理の手間とコストがかかる。クラウドを使うと、セキュリティ面での考慮や災害時にもアクセスを確保するための堅牢性が求められる。

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ミルウスの「miParu Card」は、これらの情報を大容量の記録が可能なカードに一元化することで問題を解決する。詳細な技術仕様は不明だが、公開暗号方式によりセキュリティが確保されており、日本・アメリカ・中国・ EU で特許を出願中。今年、札幌ライフサイエンス産業活性化事業に採択され、北大医学部との共同研究では、医師・薬剤師・患者間の処方箋共有を実現させた。来年以降、デジオンから miParu SDK の販売を予定しており、外部サービスとの連携にも注力する。

AI Road Heating Optimizer by TIL

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積雪がひどい地域では、道路上をヒーターで融雪するロードヒーティングが敷設されているが、エネルギー効率が悪いのが難点だ。札幌市では、電気代を含む年間維持費が12億円かかっているという。TIL によれば、ロードヒーティングのエネルギー効率が悪い要因の一つは、ヒーターの電源を制御するセンサーの性能が悪く、降雪と降雨を正確に区別できないからだという。その結果、雪が無い状態においてもロードヒーティングが作動してしまい、電力消費にムダが生じる。

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TIL が開発した「AI Road Heating Optimizer」では、画像解析によって降雪状態を適切に判断。過去のヒーター利用時と融雪状態などのデータをもとに、AI がヒーターの最適な電源制御を行う。札幌市内の15カ所で実証実験を行い、最もパフォーマンスの良かったケースでは燃料コストの50%削減に成功したという。北海道大学構内のセイコーマートに導入予定。初期費用無料、成功報酬型のモデルで大型商業施設やマンションなどへの導入から始め、将来は北海道のみならず、日本の降雪地域、アメリカ、カナダ、北欧にも進出したいとしている。

満室ナビ by ライトブレイン

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不動産オーナーは空室が出ると、近隣の強豪物件と同じ家賃、または、それより安い家賃に設定にするなど、金額面でのアプローチをとるのが一般的だ。しかし、勘と経験だけに頼った安易な値下げはオーナーにとって家賃収入の減少を招き、入居者の審査が結果的に甘くなることで家賃未払などのトラブルさえ生じやすくなる。

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ライトブレインが開発する満室ナビは、公開されている賃貸不動産110万件の情報、127件の設備要件などを収集し、不動産オーナーが市中の満室物件と設備や条件を比較できるサービスだ。入居者ニーズをとらえ、各設備の保有率などを把握することで、空室に悩む不動産オーナーがどういう対策を施せばいいのかがわかる。


D2 Garage 代表取締役の佐々木智也氏によれば、今回の OnLab 北海道の第1期修了により、東京で運営されている Open Network Lab(今週、第17期デモデイが開催された)とあわせ、通算で輩出されたスタートアップの数は100チームを超えた。今後は、Open Network Lab BioHealth などバーティカル特化プログラムの動向も期待されるとことだ。

OnLab 北海道の第2期は、2019年3月頃に募集が始まる予定。プログラム採択者には、メンタリング、資金、特典、コミュニティインキュベーションオフィスのスペースなどが提供される。

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〝札幌版SXSW〟No Mapsから〜ブロックチェーン利用のアイドルカードのトレードアプリ、AI搭載ミラーを使った口腔ケアサービスがお目見え

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本稿は、No Maps 2017 に取材の一部である。 10月5日から約10日間にわたって札幌で繰り広げられた、テクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「No Maps(ノーマップス)」は、この週末に終盤を迎えた。札幌の地を離れる前に、いくつか体験できた新サービスを紹介しておきたい。 土曜日(14日)の午後には、札幌すすきのにあるライブハウス Zepp Sapporo でアイドルフェス「IDOL …

本稿は、No Maps 2017 に取材の一部である。

10月5日から約10日間にわたって札幌で繰り広げられた、テクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「No Maps(ノーマップス)」は、この週末に終盤を迎えた。札幌の地を離れる前に、いくつか体験できた新サービスを紹介しておきたい。

アイドルフェス「IDOL DIVERSITY」会場前には、数百メートルは続く長蛇の列。
Image credit: Masaru Ikeda

土曜日(14日)の午後には、札幌すすきのにあるライブハウス Zepp Sapporo でアイドルフェス「IDOL DIVERSITY」が開催され、ここではリクルートテクノロジーズが開発したモバイルアプリを使って、アイドルとアイドルの出演の間のステージ転換の時間を使って、好きなアイドルカードをファン同士が交換できる実験が展開された。

数チームのアイドルがステージを繰り広げた。
Image credit: Masaru Ikeda

このアプリにはブロックチェーン技術が採用されていて、ユーザはアプリダウンロードした時点で5,000ポイントが付与され、そのポイントを使って、他のユーザと欲しいカードを交換できるというもの。最終的に同じアイドルのカードが5枚揃うと、そのアイドルとハイタッチができたり、ツーショットが撮れたりするという特典が得られる。

モバイルアプリ「IDOL DIVERSITY」
Image credit: Recruit Technologies

ライブが始まる前に MC がステージ上でアプリの操作方法を解説してくれたものの、正直なところ、ユーザインターフェースが難しすぎてよくわからなかった。操作する時間がライブの合間とはいえ、聴衆は基本的にステージか、周囲の状況に気を取られるので、文字を読まなくても操作可能なインターフェースが必要になるだろう。そういう点では、SHOWROOM や先ごろ日本に上陸した「17 Live(17直播)」でのバーチャルアイテムによる投げ銭などよりも、実際のライブで使われるモバイルアプリのユーザインターフェースの設計は難しいのかもしれない。

IMJ とライオンが展開していた「お口スッキリスポット」
Image credit: Masaru Ikeda

札幌駅から大通公園方面へと伸びる「札幌駅前通地下歩行空間(通称:チ・カ・ホ)」のコンコースでは、金曜日(13日)に公開されたばかりの IMJ とライオンによる、AI スマートミラーを使ったオーラルセルフケアサービスが展示されていた。この展示では、ハミガキの方法について歯科衛生士からの指導も受けられるとあって、一般市民の通行者からの関心を特に集めていたようだ。

AI スマートミラー
Image credit: IMJ

この AI スマートミラーは予防歯科を意図したもので、ユーザとミラーの音声によるコミュニケーションを通じてミラーがユーザーの口腔内状況を把握、個々のユーザーに適したブラッシング方法やハミガキ剤を勧め、オーラルセルフケアをサポートする。ミラーにはオーラルケアに関する動画や統計データが表示され、ユーザはオーラルケアに関する正しい知識と意欲を高めることができ、ライオンにとっては適切な商品の認知向上を図ることができるメリットがある。

トラパンツのブース
Image credit: Masaru Ikeda

さらにコンコースを進むと、秋田のウェブ制作会社トラパンツが、代行運転を頼めるモバイルアプリ「DAIKO」を出展していた。運転をする側とされる側をつなぐアプリで、ウェブサイトには世界初とあるのだが、すでにオーストラリアには Zero Drivers、韓国には Kakao Driver、中国には Didi Daijia(滴滴代駕)という運転代行モバイルアプリが存在し、同種のものと推測される。

Uber や Lyft に代表される配車アプリは、日本では既存のタクシー産業との兼ね合いで運用できないわけだが、地方で盛んな運転代行の分野で、この種の P2P あるいはシェアリングエコノミー的なアプローチが実現可能なのかどうか興味深いところだ。

トラパンツのブース
Image credit: Masaru Ikeda
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北の国からスタートアップの勃興を目指す「No Maps(ノーマップス)」が札幌市内で開幕——自動運転からAIまで世界を目指す技術が勢ぞろい

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本稿は、No Maps 2017 に取材の一部である。 田舎町だったテキサス州オースティンを、スタートアップやデジタルトレンドの一大情報発信地へと変えた「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」にインスピレーションを受け、日本でもいくつか町ぐるみのイベントが生まれ始めている。おそらく、火付け役となったのは福岡の明星和楽で、そこから神戸の 078Kobe などだ。そして札幌では、ボーカロイド「初音ミク…

自動運転車で市庁舎へ向かおうとする、札幌市長の秋元克広氏
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、No Maps 2017 に取材の一部である。

田舎町だったテキサス州オースティンを、スタートアップやデジタルトレンドの一大情報発信地へと変えた「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」にインスピレーションを受け、日本でもいくつか町ぐるみのイベントが生まれ始めている。おそらく、火付け役となったのは福岡の明星和楽で、そこから神戸の 078Kobe などだ。そして札幌では、ボーカロイド「初音ミク」で知られるクリプトン・フューチャー・メディア代表の伊藤博之氏らが旗振り役となり、今週いっぱい「No Maps(ノーマップス)」の第1回が開催されている。ここは、古くはハドソンソフトや BUG(ビー・ユー・ジー、現在のビー・ユー・ジー DMG 森精機)といったテクノロジーベンチャーを生み出した土地柄。東京だけに一極集中せず、北の国からも世界を帰るスタートアップやテクノロジーを生み出していこうというのが狙いだ。

昨年、札幌で開催された B Dash Camp 2016 Fall in Sapporo の数日前にも、No Maps のパイロット版が札幌駅周辺で開催されていたのだが、あれから1年、コンテンツも参加メンバーも大幅バージョンアップして帰ってきた。本稿ではいくつかのハイライトを取り上げたいと思う。

大通公園周辺で自動運転を実証実験、札幌市長も自動運転車で出庁

担当者から説明を受ける札幌市長の秋元克広氏
Image credit: Masaru Ikeda

札幌駅から大通公園方面へと伸びる「札幌駅前通地下歩行空間(通称:チ・カ・ホ)」のコンコースには、テクノロジー系の大企業やスタートアップがブースを出展している。12日の朝には、札幌市長の秋元克広氏が各社のブースを訪問、身体の動きにあわせて表示内容が変化するインタラクティブ・デジタルサイネージ「Circle of life ~太陽のダンス~」、スポーツスクール事業者とスクール生・保護者のコミュニケーションのためのモバイルアプリ「スマホ de コーチ」、美術館向けの作品鑑賞 AR アプリ「みどころルーペ」などを体験していた。

担当者から説明を受ける札幌市長の秋元克広氏
Image credit: Masaru Ikeda

今回、イベントにおける目玉の一つが公道での自動運転の実証実験だ。群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)が実験車両を札幌に持ち込み、北海道自動車安全技術検討会議の協力を得て、大通公園に沿って走る一方通行道路を周回する形で行われている。説明によれば、大手自動車メーカーが研究開発する自動運転の技術には、汎用的な環境に対応可能な人工知能ベースのものが多く、これは非常に難易度が高く実現までに時間を要する。

Image credit: Masaru Ikeda

群馬大学が開発しているのは、特定の地域に特化して事前にデータを取得することで、自動運転により現実的なアプローチを見出そうというものだ。この方法だと、地図上のどこに何があるか、道路の状態やまわりの風景などを事前に実走行でデータを取得する必要があるが、人工知能に求められる判断要素が減るため難易度を下げることができる(人間で言えば、地図や GPS を見ただけで初めての道路を走れと言われるのと、普段から走り慣れている道路を走れ、と言われているのとの違いに近いかもしれない。人工知能にとっても初体験の道路を走行するのは、それなりに大変なようである)。

札幌市長の秋元氏が自動運転車に体験乗車したのを後方から追跡、さらに、筆者もこの自動運転車に乗せてもらうことができたので、その際の動画を上に掲載しておく。なお、時は選挙戦真っ盛りで、大通公園周辺は主要政党の街頭演説で混雑していたため、今回の実証実験では部分的に自動運転を切って人間が運転している部分があることをお断りしておく(取得したデータ量がまだ十分でないため、渋滞時の走行レーン転換や駐車車両の回避などは自動運転で行なっていない)。

カンファレンス会場

日本では、札幌からサービスが始まったバイクシェアリングの Mobike(摩拜単車)が、カンファレンス会場に展示されていた。
Image credit: Masaru Ikeda

札幌に本拠を置くドラッグストア「サツドラ」の営業を中核事業とするサツドラホールディングス(東証:3544)は、AI 技術開発の分野で一役買っているようだ。同社は先ごろ、さまざまな顧客企業と AI ベンダーを結び、両者の間で生じるギャップ(情報の格差、人的リソースなど)を埋めるべく連携やプロトタイピングを促進する組織として、東京に「AI TOKYO LAB」を設立した。同時に、AI HOKKAIDO LAB を北海道に組織し、AI TOKYO LAB と連携して北海道大学らと AI 人材の育成事業を開始している。福岡市では IoT やドローンを注力するバーティカルに挙げているが、これと対照的に AI が札幌のスタートアップシーンを代表するバーティカルに育てば、一村一品ならぬ、都市ごとに特徴づいたスタートアップハブが育つさきがけとなるかもしれない。

「地域社会とモビリティの将来、そして AI」と題されたセッション
Image credit: Masaru Ikeda

「SPARK! Innovation」と題された、東京と北海道のスタートアップエコシステム関係者を招いたパネルディスカッションでは、名コンビの河原あず氏とタムラカイ氏がそれぞれ、モデレーターとグラフィックレコーダーを務めた。登壇したのは、Open Innovation Lab(DG インキュベーション)の佐々木智也氏、東急電鉄の加藤由将氏、Spiral Ventures Japan の岡洋氏、ソフトバンク社長室を経て、現在は札幌新陽高等学校の校長を務める荒井優(ゆたか)氏の4人だ。ディスカッションの内容については、タムラ氏のグラフィックレコーディングが簡潔かつわかりやすくまとめられているので、そちらに委ねたい。

ピッチ

この4人の前で、東京から気鋭なスタートアップを招いてのピッチが行われた。会場には、地元札幌の学生らも多く訪れていたので、この機会を通じて、彼らにどんな化学反応がもたらされるかについても期待したいところだ。

Origin Wireless

Origin Wireless は、電波そのものをセンサーとして活用する空間認知エンジン「Time Reversal Machine(TRM)」を使ったサービスを開発・提供している。LTE や WiFi の電波が飛んでいる時、複数の方向からの電波到達の時間遅延などを検出することで、その空間における環境変化を認知できるのだという。店舗で人がどの動線を通過したとか、非接触の状態で人の健康状態さえも検知できるようになる可能性があるとか。先週開催された CEATEC AWARD 2017 コミュニティ・イノベーション部門でグランプリを獲得。

Idein

さまざまなセンシングデータをディープラーニングを経て自動動作につなげるには多くのハードルがある。センサーで捉えたデータをクラウドに投げて、クラウド側で AI を動作させることも可能だが、膨大なデータ量やセキュリティ上の制約から、このアプローチは現実的ではないこともしばしば。ということで、エッジコンピューティングの可能性が高まる。

Idein では、もともとはグラフィック処理用に作られた比較的安価な GPU を使い、独自開発のソフトウェアによる高速化技術によって、GPU 上でのエッジコンピューティングを実現している。現在、この技術をベースに、デベロッパが末端プログラムとエッジコンピューティングを容易に接続できるようにするツール「ActCast」を開発している。

今年7月、グローバル・ブレインと DG Daiwa Ventures から総額1.8億円を調達。

NAIN

NAIN が手がけるのは、スマートフォンに届くさまざまな情報を、音声で聞き取ることができるヒアラブルという領域だ。彼らが開発した「APlay(エープレイ)」は、スマホに届く通知を音声で聞ける Bluetooth イヤフォンで、ハンズフリーで扱える音声アシスタント。音楽や通話での利用はもちろん、Twitter のタイムラインやLINE を耳で聞くことができる。最近では、ビックカメラや Amazon でも取り扱っている。11日に開催された「〝No Maps NEDO Dream Pitch〟with 北海道起業家万博」で優勝。

<関連記事>

Aquabit Spirals

Aquabit Spirals が開発する Smart Plate は、これまでに THE BRIDGE で何度か紹介しているので基本的な機能については省略するが、この日、明らかにされた新しい情報について、いくつか触れておきたい。まず、8月に湘南・江ノ島の海の家の実証実験を行なった「スマプレPAY」を、先週開催された CEATEC JAPAN のフードコートでも運用したそうだ。レジに並ばずにテーブルに座ってスマホでオーダー・決済、料理が出来上がると通知されるしくみは、来場客からの評判も上々だったようだ。

また、Smart Plate を使った新しいユーザエクスペリエンスとして、かざすだけでタクシーが呼べる「スマプレ・タクシー」なる機能を発表した。店舗側、消費者側の双方が、スマートフォンに専用アプリをインストールしていなくても決済できてしまうのが特長で、将来的には、決済手数料を圧縮する簡単から暗号通貨による支払もサポートしていきたいとのこと。IoT スタートアップのはずだが、いつの間にかフィンテック・スタートアップになりつつある。

No Maps が標榜する本家 SXSW に Music、Interactive、Film(そして最近、Game も追加された)があるように、No Maps がカバーする分野もスタートアップだけにとどまらない。15日まで札幌市内の各所で、音楽や映画のイベントが開催されているようなので、それらの様子についても状況が許せばお伝えしたい。

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