
Image credit: Masaru Ikeda
本稿は、9月13日から17日まで札幌で開催されている NoMaps 2023 の取材の一部。
北海道、札幌市、経済産業省の北海道経済産業局は13日、札幌市内で共同の会見を開き、北海道におけるスタートアップエコシステムを活性化することを意図して、推進組織「STARTUP HOKKAIDO」を設立したと発表した(STARTUP HOKKAIDO の Web サイトは、2020年に発表された「STARTUP CITY SAPPORO」がリニューアルした形となっている)。
この実行委員会の委員長にはエッジ AI カメラソリューションを開発する AWL の CHRO 土田美那氏、副委員長には D2 Garage 代表取締役の佐々木智也氏、北大ビジネス・スプリングのチーフインキュベーションマネージャーを務めた佐々木身智子氏、戦略担当として、三井不動産ベンチャー共創事業部統括の光村圭一郎氏、SPACE COTAN CMO の中神美佳氏、テックタッチ CFO の中出昌哉氏が就任した。
STARTUP HOKKAIDO は行政組織単体ではなく、3つの異なる行政組織が一つになって旗振り役に徹しているのが特徴的だ。また、運営実務に関しては、起業家やオープンイノベーション担当者など、スタートアップエコシステムの中にいる民間のキーパーソンに完全に委ねる形を取った。
また、他の地域のローカルエコシステムと差別化を図る意図から、北海道の強みでもある、一次産業と食、宇宙、環境とエネルギー、の3つのカテゴリのみに集中してスタートアップを支援することにした。STARTUP HOKKAIDO のロゴは、「DO」の文字とロケットをモチーフにしており、ロゴの3色は対象カテゴリのそれぞれ、一次産業と食(緑)、宇宙(紫)、環境とエネルギー(青色)を表している。
北海道や札幌市などでは、日本の北に位置することから、これまでも北欧のスタートアップエコシステムと連携を図ってきた。今年1月にはデンマークのスタートアップイベント TechBBQ(テックバーベキュー)のスピンオフイベントが札幌で開催されたほか、来年(2024年)1月29日から2月2日にかけては、国内はもとより世界30カ国から1,000人に上る起業家、投資家、支援者を招いての国際スタートアップカンファレンス「HOKKAIDO INNOVATION WEEK」の開催が計画されている。

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会見に引き続き行われたパネルディスカッションには、いずれも北海道を代表するスタートアップで、酪農・畜産向け IoT ソリューションを提供するファームノートホールディングス代表取締役の小林晋也氏、ロケット開発のインターステラテクノロジズ代表取締役の稲川貴大氏、生ゴミを微生物群で分解処理する技術を開発するコムハム代表取締役の西山すの氏が登壇し、三井不動産ベンチャー共創事業部統括の光村圭一郎氏がモデレータを務めた。
パネリストらは、ファームノートにとっての農場、インターステラにとってのロケット射場、コムハムにとっての街中のコムポスト実装など、開発した技術を身近で実証できることが北海道の強みだと語った。
札幌では、テック・エンタメ・クリエイティブをテーマとしてカンファレンス NoMaps が2016年から開催されている。今年の NoMaps は9月13日から17日の予定で、その初日に STARTUP HOKKAIDO が発表される形となった。
北海道、札幌市、北海道経済産業局では、STARTUP HOKKAIDO の活動を通じて、北海道を「アジアのスタートアップアイランド」へと発展させ、北海道や日本の経済活性化と持続可能な社会の実現に貢献したいとしている。今後の戦略立案や具体的な支援策の検討や実行については、前出の実行委員メンバーを中心に進められる予定だ。
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