ブロックチェーン不動産取引プラットフォーム「Propy」、マーキュリアから資金調達し日本進出を本格化

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左から:Denitza Tyufekchieva 氏と Natalia Karayaneva 氏
Image credit: Propy

シリコンバレーに本拠を置き、ブロックチェーン不動産取引プラットフォーム「Propy」を運営する Propy は16日、直近のラウンドで日本のマーキュリアインベストメント(東証:7190)から資金調達したことを明らかにした。このラウンド単体での調達金額は明らかになっていないが、同社の累積調達金額は1,670万米ドル以上このラウンドには、ブロックチェーン分野への積極的な関与で知られる著名投資家の Tim Draper 氏と、全米不動産協会(National Association of Realtors)の投資部門 Second Century Ventures も参加している。

Propy は2016年、Natalia Karayaneva 氏と Denitza Tyufekchieva 氏により設立されたスタートアップ。ブロックチェーンを使うことで、住宅購入のプロセスをシンプルにし、詐欺的な取引を排除しようというものだ。物件情報、DocuSign で署名さえた購入契約、送金など、住宅取引に関わる一連のプロセスがオンライン化されるため、「1件の取引につき10時間のペーパーワークが不要になる(同社)という。現在ではプラットフォームを世界各国の不動産取引に関わる法制度に準拠させ、国境を超え不動産取引を活性化させる仕組みを構築しつつある。

Propy の Karayaneva 氏は2019年9月、国土交通省と日米不動産協力機構(JARECO)が開催した国際不動産カンファレンス(IREC)に招かれ講演。この際、不動産取引向けのエスクローサービスを提供するエスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)と、日本市場展開にあたり協業を始めることを明らかにしていた

今回出資した、マーキュリアインベストメントは日本政策投資銀行(持分24%)が中心となり2005年に設立され、現在は伊藤忠商事(東証:8001、約14%)や三井住友信託銀行(約3%)らを LP とするファンドを運用。伊藤忠商事が筆頭株主であるセンチュリー21・ジャパン(東証:8898)、三井住友信託銀行傘下の三井住友トラスト不動産らを通じて、住宅を売買するオーナーなどへのアプローチを図るとみられ、規制緩和により不動産売買時の重要事項説明の電子化などで活気付く業界トレンドに歩調を合わせる。

Image credit: Mercuria Investment

Karayaneva 氏によれば、Propy にとって日本市場はアメリカ市場に続く最初の海外市場進出となる。彼女は日本を選んだ理由について、世界的にイノベーティブな企業を輩出している国でありながら、法制度が何十年にも渡って変化していないことに可能性を見出したとし、日本や世界の不動産取引を行う人にとってメリットを提供できるだろうと述べた。また、今後は、B2B 仲介事業者や不動産取引を支援するフィンテック企業、不動産購入者に柔軟な金融サービスを提供する各社との関係づくりが重要になるとも語った。

我々の大きな目標は、不動産取引のプロセスを簡単で楽しいものにすることだ。一生で数回しか購入しない住居という高価なものを購入する体験には、多くの紙が使われ、アメリカでは多くの詐欺被害が報告され、非常にストレスの多いものとなっている。我々はこれを楽しめるものにしたい。(Karayaneva 氏)

Propy は全米不動産協会のアクセラレータプログラム「REACH」から輩出。2017年には ICO で1,550万ドルを調達した。TechCrunch や CrunchFund の共同創業者 Michael Arrington 氏は昨年、所有不動産を Propy で売却したことを明らかにしている

<参考文献>

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