アフリカ最大の暗号資産市場ナイジェリア、海外送金にビットコインが使われる理由

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ピックアップ:New Crypto startup, Cryptofully launches its global remittance product for the Nigerian Market.

ニュースサマリー:ナイジェリア発のフィンテックスタートアップCriptofully は、国内銀行へビットコインを介した国際送金が可能なプラットフォームのβ版を9月に公開している。ナイジェリアはアフリカ最大の暗号資産市場であり、海外在住の国民によるナイジェリア国内への国際送金額も世界上位に位置している。

同社プラットフォームの利用方法は至ってシンプル。現地通貨ナイラで送金したい金額を入力し、自動計算で表示されるビットコインにて金額を確認後、送金先の口座情報を入力する。その後、指定されるビットコインウォレットアドレスに対し送金をすることで銀行口座へ即座に反映される仕組みだ。

詳細な情報:ナイジェリアは海外在住の国民や移民からの国内への送金が非常に多く行われ、海外から自国への送金総額がGDPに占める割合の高い国のフィリピン、インド、中国、メキシコと並び世界の上位5カ国に挙げられる。

  • しかし銀行などを経由して同国へ国際送金を行なう場合にかかる手数料の相場は世界平均よりも数%高いため、低コストかつ送金に時間もかからない暗号通貨による国際送金サービスには注目が集まっている。
  • 現在ナイジェリアはアフリカ最大の暗号資産市場となっており、国内の総取引額は月額2億ドルをはるかに超えるともいわれている
  • UsefulTulipsの統計によれば暗号通貨によるP2Pレンディング市場も非常に活況で、この分野だけで毎週800万ドルの資金移動が行われ、同市場で2位・3位を争う南アフリカとケニアの毎週200万ドルという数字を大きく上回っている。
  • そのため、同国の暗号資産市場には既に暗号資産に関するサービスを提供するスタートアップが数多く存在するが、海外からナイジェリアの銀行口座への送金サービスは国内初となる。※暗号通貨関連のサービスを提供している主要なFintechスタートアップとしてはBuyCoinsBitkoin AfricaTriplejExchangeSleekarenaCoinSwapNGCoinQusCoinexlinksCowrie ExchangeBMCToken などがある。

背景:ナイジェリアは為替管理制度 や外貨規制などを行ってきており、海外との取引を行なう際に外貨による支払いで困難に直面することが多い。そのため、海外への支払いに暗号通貨による決済が好まれるのは自然であり、暗号通貨市場拡大の大きなきっかけとなった。現在、海外在住のナイジェリア人からの国内送金は年間250億ドル程度で、これは国の年間予算の80%以上にあたり国内総生産(GDP)に占める割合は約6%。海外からの送金額は年々増加傾向にあり、PwCのレポートによると、2021年には298億ドル、2023年には348億ドルになると予想されている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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