ソフトタイプのスマートコンタクトに挑戦するInWith、CES 2021で開発状況を公表

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Image Credit:InWith

ピックアップ:INWITH PREMIERS THE FUTURE OF ELECTRONIC CONTACT LENSES AT CES 2021

CES2021でInWithが現在開発中の拡張ソフトコンタクトレンズの進捗状況が公開されました。開発中のロードマップの一部で、ぐにゃぐにゃと可変するソフトコンタクトレンズに埋め込まれた伸縮性の回路が定着している様子が示されています。

スマートコンタクトレンズには大きく(1)血糖値などのバイタル情報を取得しやすくする(2)xRビジョンを提供し、現実世界の情報を拡張する、という目的があります。また、xRビジョンについても、単に情報の拡張だけでなく、老眼などの視力の衰えをデジタル的にサポートするという狙いもあります。ちなみに(1)の開発研究は2014年に話題をさらったGoogleのスマートコンタクトレンズ開発があります。

特にこの(2)にあたるビジョンの拡張については、どうしてもディスプレイを必要とするため、開発にはハードコンタクトレンズ(特に白目まで覆う強角膜レンズ)が必要でした。例えばこの分野で進んでいるMojo Visionは、国内で強角膜レンズの開発に強いメニコンと共同開発を発表しています。

一方、市場におけるハードコンタクトレンズは壊れやすいなどの使い勝手などの面からソフトコンタクトレンズに押されている状況があります。InWithの発表はこのソフトコンタクトの市場をカバーするという意味で注目に値します。

これまでにも伸縮性回路が存在しなかったわけではありませんが、これまでなかった理由はコンポーネント及び回路をコンタクトレンズ材料に結合する手段がなかったことがあるようです。InWithは通常の製造プロセスで材料を膨張および収縮させることでソフトコンタクトレンズの材料であるヒドロゲル材料に統合するブレイクスルーを手に入れたとしています。

そしてその過程を支えたのが、ソフトコンタクトレンズの大手メーカーであるBausch&Lomb(ボシュロム)です。すでに何百万人もの人々が着用しているコンタクトレンズの製造プロセスをたった5人のInWithチームに共有する判断を下したことは英断だったと言えるでしょう。アセット公開レイヤーが明確でなければ叶いません。その他の技術特許としては以下のようなものがあるそうです。

  • まばたきから電力供給する環境発電
  • 外しているときに充電するための液体スマートケース

まだ実用化については長い開発ロードマップのごく初期だと思いますが、この技術の先にはスマートコンタクトレンズの選択肢の幅が広がる可能性が待っているかもしれません。

編集・共同執筆:平野武士

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