口コミを店舗改善に活かせる「口コミコム」運営、Coralなどから3.3億円を調達

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ユーザーレビューをマーケティングに活かせる「口コミコム」などを展開するmovは7月16日、Coral CapitalおよびSMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は3億3,000万円でCoral Capitalが3億円を出資する。

Coral Capital にとって初回出資額としては最大となる。払込日や株価などの詳細は非公開。また、7月1日から弁護士ドットコムで取締役を務めた渡邊陽介氏が社外取締役に就任したfことも伝えている。

mov は2015年9月、シリアルアントレプレナーの渡邊誠氏らにより創業。渡邊氏は以前、BRIDGE で取り上げた Open Network Lab 第5期に、パートの異なる音楽演奏者がオンラインでジャムセッションが行えるサービス「Mashroom.fm」で採択された人物だ。

mov は当初、外国人集客を狙う事業者向けに、インバウンド対応ソリューションを提供可能なベンダーを紹介するマッチングサイトや、それに付随するコンサルティング業務を提供していたが、コロナ禍でインバウンド需要が減少。現在は、複数の口コミサイトに投稿された情報をまとめて管理できる「口コミコム」を事業の柱にしている。

サーチエンジンの検索結果を最適化する SEO(Search Engine Optimization)、Google Maps など地図アプリの検索結果を最適化する MEO(Map Engine Optimization)などはよく耳にするが、口コミサイトに掲載した店舗情報を一括管理したり、レビュー投稿された内容を店舗の運営が包括的に閲覧したりすることができるサービスはこれまで存在しなかった。

口コミコムに店舗が情報を登録すると、Googleマップなどの地図アプリに表示されるほか、営業時間の変更や不適切なユーザー投稿写真の削除対応、口コミへの返信などが一括でできる。また、オンライン投稿された顧客の生の声を、リアル店舗における店員の接客や環境の改善に活かすことができる、〝O2O のミステリーショッパー〟的な役割を担わせることもできるようだ。

mov の主要メンバー。左から2人目が創業者で代表取締役の渡邊誠氏
Image credit: mov

チェーンの飲食店では、1店舗につき3個くらい URL があることもしばしば。コロナ禍で営業時間の表示を変更しないといけないが、本部で一括管理しようにもものすごい数になるので、あきらめてきたところも多い。しかし、口コミサイトに掲載された情報を信じた客が店に向かい、営業していなかったらクレームになってしまう。そうして情報更新のニーズから、口コミコムの導入店舗は大幅に増えた。

いずれ情報更新の需要はおさまり、むしろ、複数のサイトで常に正しい情報が表示できていることを担保する需要、そして、客からの声や反応を口コミサイトを通じて継続的に見ていくことで、業務改善に繋げられる、という需要がふくらんでくると思う。電話での問い合わせ、店頭での各社独自のアンケート回答なども合わせ、QSCA を上げるためのツールとして受け入れられ始めている。(渡邊氏)

ここで渡邊氏が言った QSCAとは、Quality(クオリティ)、Service(サービス)、Cleanliness(クレンリネス)、Atmosphere(アトモスフィア)の4つの言葉の頭文字をとった飲食業界で使われる専門用語だ。レストラン業・外食産業の経営指針として多くの企業が採用している。

大規模なチェーン店舗でも、効率的に客の生の声を吸い上げられるツールとしての価値が認められ、口コミコムは今後、大手企業への導入や提携に関する発表が今後、月に数社以上のペースで見込まれているという。

渡邊氏は SEO や MEO が叫ばれ出した頃に、これらを(エンジンを騙したり、アルゴリズムを使ったりして)ハックしようという業者が増えたことを批判し、口コミコムでは、より本質的なこと、つまり、お店の評判を根本的に上げていくための手助けとなる仕組みを提供したいと語った。

口コミコムはサービス開始から半年で1万店舗が利用。サブウェイやピザハットなどのチェーンや小売、自治体などが利用している。今回調達した資金はマーケティング、営業、開発、カスタマーサクセスの体制強化に充てられる。