Thirdverseという新しいスタートラインに立った起業家と投資家。話の終盤、投資家は8年前に自身が語った「モンスター起業家」について口を開く。世界で突き抜ける名だたるアントレプレナーは何が違うのか。起業家のプライベート結果も語った対談の最終回。(聞き手は筆者、お話はThirdverse代表取締役の國光宏尚氏、インキュベイトファンドの本間真彦氏、敬称は略させていただきました)
- オールインでも届かなかった世界戦/Thirdverse 國光×本間対談(1/3)
- 世界と戦うチーム/Thirdverse 國光×本間対談(2/3)
- モンスター起業家を育てる/Thirdverse 國光×本間対談(3/3)
モンスター起業家
平野:そろそろ終盤ですが、前回の対談で本間さんは「起業家を育てるっていうより、モンスターを育てる感覚」と言われてました。國光さんは・・モンスターですか?
本間:これホントにホントにやらなきゃダメだなって強く思いました。っていうのはさっきの40倍、80倍の勝負はマグニチュードの勝負だって話をしたと思うんですけど、結局、やることとか題材とかタイミングとかって僕も國光さんもみんなそんなに間違ってないはずで、ただ、やる深さとか飛ぶ飛距離が違うんですよね。
そうするとやっぱり大谷翔平さんみたいなもんじゃないの?と。1人、ああいう人が生まれればやり方が概念的に全然違うのかも?と思うんですよ。日本の社会って、大谷さんみたいに何か大きな事例がドーンと出てきた時にみんなの意見がガラリと変わる気がします
1個の理想の実例をみて、あ、そうかも!って思うこと、よくあるじゃないですか。となると、法制度とか手法ももちろんあるんだけど、事例が1コだけあればいいのかなって。その事例の飛距離がまだ足りないっていうことなんだけど、そういうことをやれそうな人間がまさにモンスターなんだと思う。
國光さんと今回まだやらせてもらうのも、やっぱりシリアルはその可能性は常に高いから。
で、8年前と思ってることは変わんないんだけど、お前この8年間、本気で世界で勝てるようなモンスターの支援をやったんか?って言われると、頑張ってたけどまだまだだなって(苦笑。
國光:反省で言うとね、この8年間で思ったようなところまで行けなかった結果、日本が内向き、内向きに向かってほとんどが国内でしか勝負しない。VCもそこにしか投資しない。
本間:内向き感は若干、強まったかもしれないね。
國光:最初からグローバルで勝つことを前提にした体制やスタートアップを作らないと勝てない。ユニコーンが限界。向こうはそれこそユニコーンがポニー化してる。
本間:今年の前半で150匹生まれてる。
國光:VR FundとCryptosは投資先が向こうじゃない?ユニコーン、数えたら10匹いるのよ。
平野:すごい。
國光:VR FundもCryptosもシード・アーリー・ステージなんですね。それで出資先に俺が先輩起業家として偉そうに言うわけ「これはこうした方がいいよ」とか。海外の方も似たような感じで接してるのね。で、気づけばユニコーン、デカコーンに(笑。
今はもう、アドバイスするのが恥ずかしいよね・・・。
本間:出資先にどうやったらユニコーンになれるのって逆に聞いてみたら?
起業家のプライベート
國光:投資してて思うのが、起業家とかチームとか含めてそんなに差がない。差がないけど、でも気づいたら向こうの方はユニコーンとかデカコーンになってるじゃない?それはマーケットが世界で勝負するから。
世界で勝ち切るためには重要なのってタイミング。あとは最初から世界で勝ち切るための採用だったりとか組織、体制。あとはプラットフォームとの距離感。やっぱりね、最初から日本だけでやってると絶対世界では勝てない。
本間:そこがやっぱ難しかったっていうのがこの8年の学びだね。VC業界もむちゃくちゃ変化しているからね。LPの構成なんて10年前とガラっと変わってる。同じ仕事やってても。今は海外の機関投資家とも話すことが当たり前になっている。
だからスタートアップも、マネジメントが多様化すると、外国人とか始めからDay1にいたりすると、集められる投資家の層が東京だけから一気に広がるんだよね。プライベートとパブリックをクロスオーバーで動く投資家も増えてきているから、将来的に上場後に買うような投資家のプライベートの部門がスタートアップの投資を検討していたりして。
するとパブリックとプライベートの垣根も低くなってきてるし国内外の投資家ももっと機動的に集められるようになってきてるから、日本のスタートアップの作り方の多様性は前より全然ダイナミズムが増してる。
平野:じゃあ今度はNasdaqの方で上場考えるとかあるんですか?
國光:それは全然ありえるよね。
平野:海外の機関投資家クラスが国内案件に直接投資するケースも増えてきましたけど、そこまでは広がらないですよね。
國光:何の差なんだろうね?
本間:これはもうマーケットの差。例えば、向こうもインキュベイトファンドや投資先をダメだと見てるわけじゃなくて、成長しているインド市場なら、インキュベイトファンドの投資先に一緒に投資するわけ。
國光:なんでこっちに直接投資しないんだろうね?
本間:日本というマーケットになかなかイエスと言ってくれない。例えば、日本のスタートアップだけど実は北米の売上が8割あるんだよねって言ったら、もっと投資する可能性はあがると思う。
國光:プラットフォームというかエコシステムがグローバルでのエコシステムの中に入っていかないと、そこは次の課題ですね。
本間:海外の機関投資家やVCの期待値は、まさにアニメとかゲームとか宇宙とか、日本は技術があったりするので、日本特有の技術とかコンテンツも含めたサービスがもっとまだまだあるでしょうと。だって、なんだか分かんないけどアニメがこんなにいろいろ出てくるのって日本だけだし、ゲーム会社がこんなにあるのも日本だけだし、国の規模とは関係なく、産業やビジネスの機会としてそういうことをちゃんと作れる人がいるということは認識されてるよね。
日本の技術やスタートアップを放っとくとなかなかグローバルに出てこないもんだから、彼らもそれを探しにきています
平野:さて、対談も終わりの時間です。國光さん8年間を振り返って一言お願いします。
國光:起業家のプライベートについて、最後に。前回の時から、僕も、本間さんとこも山田さんも結婚して幸せな家庭を持つことができました (笑。
本間:よかったね(笑。
國光:なんだかんだで、起業と家庭は両立する。
平野:笑
國光:ということで8年前の俺に。國光家も本間家も山田家も、みんな幸せになりました。
一同:よかった(一同拍手)
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