オンラインセールスSaaSのベルフェイス、シリーズDで30億円を調達——コロナ禍で競合台頭、リテール金融シフトが吉

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Image credit: bellFace

オンラインセールスに特化した Web のコミュニケーション・システム「bellFace」を開発するベルフェイスは21日、シリーズ D ラウンドで約30億円を資金調達したことを明らかにした。このラウンドには、シンガポール VC の Axiom Asia Private Capital、三井住友トラスト・インベストメント、第一生命のほか、既存投資家であるインキュベイトファンド(今日発表の新ファンドからの調達)、SMBC ベンチャーキャピタルが参加した。同社にとっては、昨年2月に実施したシリーズ C ラウンドに続くものだ。累積調達額は85.5億円に達した。

ベルフェイスは、同社の代表取締役を務める中島一明氏が2015年4月に設立。bellFace を使えば、営業マンからセールスを受ける顧客は、専用ソフトのインストールやアカウント情報のやり取りの必要がなく、Web ブラウザさえあればやりとりができる。営業マンにとっては、普段使用している営業資料を bellFace にアップロードするだけで顧客と資料を共有でき、画面共有機能で Web サービスの操作方法など見せながら商談を進めることができるメリットがある。

新型コロナウイルスの感染拡大で世の中の多くのフィールドセールスはインサイドセールスに大幅シフト、これはベルフェイスにとって追い風のように思えたが、実はそうでもなかった。IT リテラシーが高くなかったり、使っているパソコンが非力であったりしても、簡単に顔を見ながらのコミュニケーションを可能にすることを意図した bellFace だったが、コロナ禍で誰もが Zoom、Microsoft Teams、Google Meet を使うことが常態化し、簡単さ・手軽さという bellFace のアドバンテージは事実上、失われてしまったという。

コロナ禍で(テレカンのための)アプリを入れるのが当たり前になった。昨年は、上期が(コロナが)追い風だったが、下期が一気に向かい風になったという感じ。数年かかるだろうと思っていた変化が半年の間に一瞬で変わり、bellFace に以前ほど成長が見られなくなった。(中島氏)

昨年大型調達を実施していたので資金ショートする懸念は無かったものの、成長曲線を描くには何らかの営業戦略の変更、または、プロダクトのピボットの必要に迫られた。そこで、ベルフェイスが目をつけたのが金融業界のリテール営業だ。リテール金融のお得意様は、比較的多くの資産を持つシニアの人々。彼らは IT ツールには疎かったり、また、新型コロナの感染リスクへの懸念から外出や対面を避けたりするので、bellFace が解決できる部分は多い。

メガバンクはほぼ全てに導入してもらっており、現在は地銀などにも積極的に営業している。従来は、1つの ID を多くの企業に使ってもらうというモデルだったが、現在は複数の金融機関などに数千 ID 単位(担当行員の人数分)で使ってもらうというモデルに変化した。再び成長曲線に戻れたので、今回調達を決めた。(中島氏)

金融のリテール営業に Zoom や Teams が使いにくい理由は他にもある。これらのソフトウェアでは簡単に画面共有ができてしまうため、金融機関にとってはセキュリティ漏洩のリスクが潜在し、おいそれと利用の許可が出すことができない。対して、bellFace では共有したいスライドのファイルは予め相手に送るか、システムに登録して共有を行い、どのファイルがどの時点で誰と共有されたかも記録が残るため、こういったリスクを回避することができる。

ベルフェイスでは顧客ターゲットをリテール営業にシフトしたことで、bellFace をオンラインセールスのコミュニケーションツールとしての機能に加え、そのまま契約を成立させるところまでワンストップで提供するツールに進化させる計画だ。金融サービスの契約はこれまで、対面販売か Web 販売で行う必要があった。これらの機能は、数ヶ月後には日の目を見ることになりそう。結果的に、ホリゾンタル SaaS からバーティカル SaaS に進化することになりそうだ。

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