インキュベイトF、161億円規模のグロースファンドを組成——出資の半分超を海外の機関投資家から調達

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Image credit: Incubate Fund

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

インキュベイトファンドは21日、161億円規模のグロースファンド(通称:IFGO)を設立したと発表した。同社にとっては、2010年に設立した1号ファンド以来6つ目のファンドとなる(インド、アメリカ、ブラジルなどの地域ファンドやフランチャイズファンドを除く)。本ファンドの組成を受けて、インキュベイトファンドの累計ファンド運用額は約620億円に達した。同社ではこれまでの投資先400社以上へのフォローオンを中心に、ミドル・レイターステージのスタートアップへの投資を本格化させる。

インキュベイトファンドはこれまで、シードラウンドからシリーズ B ラウンドくらいまでの、比較的アーリーなスタートアップに投資をしてきた。有望で資金需要のあるスタートアップが現れても、そのスタートアップがミドルステージ以降の場合、ファンドの投資条件が折り合わなかったこともあっただろう。インキュベイトファンドの創業者で代表パートナーの本間真彦氏は、BRIDGE の取材に対し、「既存投資先で IPO の準備に入っているスタートアップに積極的に投資し、ユニコーンに育てるファンドだ」と語った。

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グロースファンドのチケットサイズは5億円〜25億円を想定し、プレ IPO のラウンドで積極的にリードを取っていくという。プレ IPO ラウンドで数十億円規模の資金調達が可能であれば、ミドルやレイターステージのスタートアップは IPO に急ぐことなく、十分な収益性と認知を得て、適切な評価を得てから IPO に臨むことができる。アメリカなどと比較して、日本は小粒の IPO が多いと揶揄された時期もあったが、国内でもグロースファンドや大型ファンドの登場で、このような課題が解決されつつあると言っていい。

インキュベイトファンドはグロースファンドからの出資先の一部も明らかにした。月面開発宇宙スタートアップの ispace、オンライン営業システムのベルフェイス、Web サイト多言語化ソリューションの WOVN、子育てアプリ「Famm」運営の Timers、オンラインアシスタント運営のキャスター、マーケティングオートメーションツールの SATORI の6社だ。いずれも社会的に一定の認知を得ていて、IPO へのカウントダウンが始まっていてもおかしくないスタートアップの顔ぶれだ。

海外の機関投資家が、日本スタートアップに熱い眼差し

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今回のグロースファンドの約57%は、北米、香港、シンガポールを拠点とした金融機関、大学基金などからの出資だ。本間氏によれば、これほどまでに海外からの資金が集まった理由は大きく2つあるという。まず一つは積極的な情報公開。ファンドのパフォーマンスは、DPI(Distributions to Paid in Capital、リミテッドパートナーへの分配額をファンドへの投入資金で割った金額)で表されるが、インキュベイトファンドのこれまでの成果を海外投資家に整理・開示したところ、大きな理解が得られたという。

そしてもう一つ、地政学的なトレンドも多分に影響している。米中両政府の攻防や、中国政府による規制で、中国ビックテックの雲行きが怪しくなってきている。市場の内情はよくわからないまでも、巨大な消費欲と投機的成長に期待する世界のマネーは、ここへ来て行き先を失いつつある。そこへ来て、市場規模的にもそこそこで、政治・経済が安定していて、実リターンを着実に出せている点で、日本市場は注目を集めることとなった。

以前から、こういうファンドをやりたいと思っていた。なぜ今年できたかを考えると、このモメンタムの影響は大きい。(本間氏)

インキュベイトファンドは国内でもプレゼンスを持つが、パートナーの本間氏がシンガポールに活動拠点を置いていたり、KK Fund のような東南アジアのリージョナルファンドに Fund of Funds 出資したりしていることもあって、日本の資金を東南アジアの有望スタートアップに投資している印象が強かった。今回のグロースファンドの誕生を受けて、海外からの資金を日本のスタートアップに投資する双方向のマネーフローが生み出されることになり、スタートアップの国際的な事業拡大にも利益がもたらされるだろう。

今年に入って、日本の独立系 VC では100億円を超える大型ファンドの組成が相次いでいる。One Capital は1号ファンドを160億円でクローズ、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)は5号ファンドを300億円規模で組成した。Coral Capital もまた、140億円規模の3号ファンドを組成し、LP の3分の1が海外からであることを明らかにしていた。

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