リファラル採用支援のMyRefer、採用活動をマーケティング可能にするSaaS「MyTalent」をβローンチ

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Image credit: MyRefer

これは日米の採用スタイルの違いでもあるし、ひいては、以前の日本と現在の日本の採用の変化でもあるが、中途人材の採用活動を通年化する企業は増えている。労働人口が減る中、かつての買い手市場の頃のような、人が足りない時だけ採用する、特定の時間サイクルで採用する、といった企業側の論理は通用しなくなっているわけだ。MyRefer が手がけるリファラル採用というスタイルを取り入れる企業は全体の6割にまで増えたが、日本の人材採用には、まだまだ改善の余地があると MyRefer CEO 鈴木貴史氏は語る。

厚生労働省発表のデータによれば、人材紹介により転職した人の半年以内に離職する人の割合は約1割。企業にとって、このミスマッチが招くコストは大きい。営業活動であれば、CRM や MA ツールが発達し、ナーチャリング(見込客のリード獲得から、顧客へのコンバージョンなど)のための施策が発達しているが、採用活動において、このナーチャリングというコンセプトそのものが希薄だ。せっかく集めた候補も、たまたまそのタイミングで条件が合わず採用に至らなかった理由から、情報が捨てられることも多かった。

MyRefer は今日、「HRX(Human Resource Transformation)」という構想を発表した。前述したさまざまな課題を解決すべく、採用市場を変革するプラットフォーマーを目指すという。同社ではその第一弾として今日、タレントアクイジション SaaS「MyTalent」をローンチした。MyRefer はもとより、各社の ATS(採用管理システム)などとデータを連携することで、採用候補者のナーチャリングができるサービス。いわば、HR における MA ツール的な位置づけだ。

Image credit: MyRefer

日本では、HR 業界的にもシステム的にも、新卒採用と中途採用がきれいに分かれてしまっている。新卒採用の時の採用候補者は、何年かしたら、他社での勤務経験を経て中途採用の候補者になる可能性があるのに、新卒と中途でデータが連携されていないのは、特に日本特有の現象かもしれない。あらゆる候補者に関わるデータを集め、「採用をマーケティングする」という考え方では、そのインフラとして最も成功しているのはアメリカの Jobvite ではないだろうか。MyTalent は日本版の Jobvite の座を狙うようだ。

リファラルは潜在層へのアプローチできる利点から、タレントプールを構築する上で親和性が高い、と鈴木氏は既存サービスである「MyRefer」とのシナジーの良さも強調する。特に大企業ほど社員や採用者が多い分、それに比例して、潜在層や候補採用者の埋もれているデータが多い可能性が高く、大きな効果が期待されるため、MyRefer では MyTalent を大企業に積極的に展開していきたいとしている。

MyRefer は昨年3月、シリーズ B ラウンドで6億円を調達している。同社は調達資金の使徒として、MyRefer を「機能を拡充した HR Tech プラットフォームへと進化させる」ことを明らかにしていたが、その一つが今回βローンチした MyTalent だったようだ。同社では、MyTalent を皮切りに、HRX プラットフォーム構想をさらに進めていくとしている。

<参考文献>

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