往年スタートアップの新サービス発表、事業戦略転換【Canvas 6月号(6月11日〜6月17日)】

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往年スタートアップの新サービス発表、事業戦略転換

「Mykinso Personal」を紹介するサイキンソーの沢井悠氏 Image credit: Masaru Ikeda

今週の話題(6月11日〜6月17日):腸内フローラ解析のサイキンソー、検査結果を元にライフスタイルを提案する事業戦略を発表 / 資産運用とクレカを「合体」させたPool、カンムが目指すベンチャーデット・新スタイル

スタートアップの定義はさまざまですが、創業から7〜8年を過ぎたあたりから、敬意を込めて往年スタートアップと呼んでみたいと思います。往年スタートアップは、研究開発型のように結果を出すまでに時間のかかる業態、さらには、すでに経営を安定させるだけの利益が出ていて、イグジットを急がなくていい、といったケースがあります。そんな往年スタートアップ2社から今週もニュースが寄せられました。

一つはフィンテックスタートアップのカンムから、カード決済で支払った代金の一部で資産運用ができる新サービス「Pool」。クレジットカードを使って、概ね2年おきくらいに新サービスを投入してくれるカンムですが、既存の金融インフラでも、これだけ新しいものが作れるのだな、と毎度感心させられます。腸内フローラ解析を生業としてきたサイキンソーは、ライフスタイル提案型のサービス企業を目指すようです。腸内フローラ次第で幸福度が上がると調査研究もあり、ウェルビーイング領域への進出が期待されます。

調達ニュース

今週の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

電話でのやりとりをAIがサマって共有する「pickupon(ピクポン)」開発、2.4億円をプレシリーズA調達(6月15日)

  • 顧客との電話でのやり取りを、AI(人工知能)が音声認識・解析し文字情報の形式にまとめてくれるサービス「pickupon(ピクポン)」を開発する pickupon は、プレシリーズ A ラウンドで2.4億円を調達したと発表した。調達額にはデットが含まれる。このラウンドに参加したのは、サイバーエージェント・キャピタル、マネックスベンチャーズ、コロプラネクスト、セゾン・ベンチャーズ、CARTA VENTURES、East Ventures、MIRAISE、大冨智弘氏。

社内ナレッジ共有ツール「Qast(キャスト)」運営、4.5億円をシリーズA調達(6月15日)

  • 社内ナレッジ共有ツール「Qast(キャスト)」を運営する any は、シリーズ A ラウンドで4.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、DIMENSION、​​Archetype Ventures、みずほキャピタル、ICMG Partners、新生企業投資。

プログラミング学習のテックピット、7,500万円をプレシリーズA調達——リスキリング特化のB向けSaaSをローンチ(6月15日)

  • プログラミング学習プラットフォーム「Techpit」を運営するテックピットは、プレシリーズ A ラウンドで7,500万円を資金調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、ユナイテッド(東証:2497)、セゾン・ベンチャーズ、カオナビ(東証:4435)、CTO 経験のある個人投資家複数(Payitforward 中野賀通氏、Plus10Percent 加藤彰宏氏、池田大輔氏、大谷祐司氏など)。

シンプルフォーム、法人調査プロセス自動化SaaS「SimpleCheck」を正式ローンチ——6.8億円をシリーズA調達(6月15日)

  • シンプルフォームは、法人調査プロセス自動化 SaaS「SimpleCheck」を正式ローンチした。また、これとあわせて、今年5月にシリーズ A ラウンドで6.8億円を調達していたことも明らかにした。このラウンドは DNX Ventures がリードし、インキュベイトファンドが参加した。インキュベイトファンドは、2021年3月のラウンド(5,000万円)、2021年12月のラウンド(1億5,000万円)に続くフォローオンでの参加。シンプルフォームの累積調達額は、金融機関からのデットを含め9億5,000万円に達した。

アジアのニュース

今週のアジアのニュースをお届けします。

不要スマホを家の見守りカメラに——台湾発「AlfredCamera」、日本でのDL数が150万件を突破(6月11日)

  • 6月8日、アメリカ市場を開拓してきた台湾のスタートアップ Alfred Systems(阿福)は、同社の宅内モニタリングアプリが日本で150万インストールを突破し、1人当たりのアプリ支出額が世界一である日本の市場性を鑑み、今後も日本で事業を拡大していくことを明らかにした。
  • 興味深いのは、ホームセキュリティが主な用途のアメリカ市場に比べ、日本市場では「遠隔ベビーケア」や「遠隔対話」など、母親と赤ちゃんのための「AlfredCamera(阿福管家)」の活用が進んでいることだ。

DeFiのDelioが810億円、衛星データ処理Contecが64億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(6月13日)

  • 宇宙スタートアップ Contec(컨텍)が610億ウォン(約64億円)を資金調達した。2015年に設立され、地上局を通じて韓国内外の政府機関や民間企業が運営する衛星からデータを受信、衛星映像の前処理サービスなどを提供。SpaceX や Amazonとの協業で事業を拡大した。2023年下半期に上場を目指す。
  • アドテクの GenieWorks(지니웍스)が90億ウォン(約9.4億円)を資金調達した。調達した資金を使って、プラットフォーム事業者(媒体社)と商品販売事業者をつなぐコマースネットワークプラットフォーム「Sellerd(셀러드)」の開発をさらに進める。このプラットフォームを通じて、中小の商品販売事業者は、最低限の手数料で多数の大型メディアのショッピングモールに入店できる。

シンガポールで「Femtech Fes!」が開催、世界各国から50以上のフェムテック製品が集結(6月14日)

  • シンガポールで1日、fermata Singapore 主催の「Femtech Fes!」が開催された。fermata Singapore は日本のフェムテックプラットフォーム「fermata」のシンガポール支社である。
  • Femtech Fes! は2021年10月22日〜24日に東京・六本木でも開催され、3日間で約1,400名が来場した。

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