レッドオーシャンのノートアプリ界で新星誕生——台湾のHeptabase、YCらから170万米ドルをシード調達

Heptabase の共同創業者:Alan Chan(詹雨安)氏、Ethan Wu 氏、Yeefun Lin 氏
Image credit: Heptabase

市場には数多くの生産性向上ツールがあり、そのすべてが、毎日をより効率的にするために、あなたの生活を整理する手助けをするという同じことを約束しているため、すべての選択肢を比較検討し、ある製品と別の製品の違いを理解しようとすると、かなり圧倒されてしまうかもしれない。

しかし、最近ビジュアルノートツールを発売した台湾のスタートアップ Heptabase は、混雑した市場に尻込みすることなく、独自のワークフローによって競合との差別化を図ることができると考えている。

2021年に設立された Heptabase は最近、HOF Capital、Y Combinator、Kleiner Perkins、Moving Capital、台湾のTonic Fund、そ俺に、Socialcam、Triplebyte、Codementor の創業者を含むその他の投資家からシードラウンドで170万米ドルを調達しクローズした。

この有望なスタートアップは、すでに61カ国から有料ユーザを獲得しており、プロジェクトマネージャー、研究者、ソフトウェアエンジニアをターゲットとしている。先月、我々は Heptabase の3人の共同創業者——Alan Chan(詹雨安)氏、Ethan Wu 氏、Yeefun Lin 氏——に会う機会を得て、彼らのスタートアップ・ストーリーについてより詳しく知ることができた。

バリュープロポジションは、その特徴的なワークフロー

Evernote や Notion など、多くの老舗企業が存在する中、Heptabase はどのように差別化を図るのだろうか。Chan 氏は、ワークフローの違いに尽きると言う。

ノートアプリは市場に何百とあるが、ワークフローは3つか4つしかない。Evernote はデジタルノートブックのようなもので、商業的なものからマーケティングなもので、さまざまなトピックに分類されている。Heptabase は、思考プロセスのさまざまな段階(thinking、capturing か creating=思考、補足か創造)に基づいて分類されている。

Chan 氏は、この2つのワークフローは、異なるプロセスを異なる方法で解決するために設計された、特徴的なワークフローであると言う。

Heptabase は、思考プロセスのさまざまな段階(思考、補足か創造)に基づいて分類されている。
Image credit: Heptabase

Heptabase に新しい機能を追加していく中で、我々は常に、ユーザが効率的にアイデアを収集し、それを基に構築し、他の人と共有することを支援するという、我々の中核となる目的に焦点を当てている。そのため、我々が発表する機能は決して重要ではない。

例えば、お客様から PDF フォームの機能が欲しいと言われたとして、Evernote のようなアプリは、新しい PDF 機能を追加したからといって、ワークフローを変えることはないだろう。我々は、新しい機能を開発するのではなく、ワークフローに焦点を当てたいのだ。

Hepabase は現在わずか4人の小さなチームだが、 Wu 氏は、自分たちの中核的な目的に集中することで、チームの仕事量を効果的に管理することが重要だと言う。

メモツールを使っている人の多くは、他のツールで見たことがあるからと言って、新しい機能を追加するよう提案する傾向があると感じている。だから、我々にとって重要なのは、ユーザのフィードバックをすべて調査・分析し、彼らが求めているもの、つまり問題の根本は何か、それを解決するためにどうすればよいかを突き止めることなのだ。

創業のアイデアは、効果的な勉強法を追求し続けた結果

Chan 氏と Wu 氏が初めて出会ったのは、高校生のときだった。当時、彼らはすでにスタートアップをやりたいと考えていたが、まだ何のアイデアも持っていなかった。そこで彼らは、学校の友人たちとグループをつくり、Web テクノロジーや製品開発などの課外活動を自習し、それぞれが学んだことをグループ内で共有しいた。

Chan 氏は以前、ミネルバ大学と国立台湾大学に通っていたが、より良い学習方法を追求するため、いずれも自主的に中退している。世界の市場動向から歴史まで、長年の独学でさまざまなことを学んできたが、その中で出会った苦悩のひとつがあった。

蓄積された大量の情報やアイデアをどのように管理、保存し、伝達すればいいのか? 私のアイデアの中には、他のアイデアから生まれたものもあるが、何がきっかけでそれを思いついたのか、どうやってさかのぼって思い出せばいいのか?

当時、彼は知らなかったが、このような疑問が、Heptabase のアイデアにつながったのだ。

このように、アイデアを記録し、共有することに苦労している姿は、大学時代に同じような苦労をした Wu 氏と Lin 氏の2人に共鳴するものがあった。

勉強しているときは、紙にたくさんメモしていたのだが、紙の書類を管理・保管するのが大変で、聞いたことや学んだことをすぐに忘れてしまう。過去に学んだことを有用な形で収集・管理する方法が無いのであれば、私には時間とエネルギーの無駄に思える。(Lin 氏)

スタートアップのアイデアを考える中で、Wu 氏は Y Combinator によるスタートアップへのアドバイスの記事を見つけ、その中で重要なポイントの1つを覚えていた。

スタートアップをやるためにスタートアップをやってはいけない。明確なミッションと、問題を解決したいという純粋な情熱がなければ、持続的な活動はできない。

そのため、多くのスタートアップのアイデアが頭をよぎったものの、彼が本当に共鳴していると感じたのは、ある一つの問題だった。

自分や他人がよりよく学び、より深く考え、この複雑な世界の膨大な情報を理解するためにはどうすればいいのか?

Chan 氏は、Y Combinator へのエントリ準備にも Heptabase を利用した。
Image credit: Heptabase

Heptabase を支えるビジョン

Heptabase は一見すると、生産性を向上させる数多くのアプリの中の、単なるメモツールに見えるが、Chan 氏はそれ以上のものがあると言う。

1960年代のコンピュータのパイオニアや思想家を参考に、Heptabase は人間が集合知を創造し共有する方法をサポートするメディアとしてコンピュータを使いたい、と Chan 氏は言う。

Chan 氏は、Heptabase のビジョンとして、知識労働者が「探索→収集→思考→創造→共有」という知識ライフサイクルを統合できるよう支援することを掲げている。彼は、情報の相互運用性、文脈の検索、集合知の創造を最適化するツールのエコシステムを構築し、文脈に応じた知識のインターネットを進化させることを最終目標に掲げている。

FacebookやRedditなど多くのソーシャルプラットフォームを見てみると、人によってプラットフォームの利用意図が異なるため、コミュニケーションのつながり方や情報のインプット・アウトプットがすべて異なっているのだ。だから、今、我々の製品をメモを取るためのツールとして見てもらっているだろうがが、解決したい問題の核は2つ——「記憶」と「コミュニケーション」だ。

現在、我々のプラットフォームは記憶の問題を解決しているが、2つ目の問題である、アイデアを取り込んだ後、どのように共有し、コミュニケーションするかという問題を解決するために、情報ライフサイクルのワークフローに継続的に取り組んでいる。

ユーザからの声が、Y Combinator 採択につながる

2005年以来、Airbnb、DoorDash、Stripe、Instacart、Dropbox、Coinbase など約3,000社に投資してきたスタートアップファンド兼プログラム「Y Combinator」。Heptabase は2022年冬バッチに属しているが、Chan 氏は応募したときには受かるとは思っていなかったという。

しかし、Chan 氏はユーザからのフィードバックを得るために多くの時間を費やしたことが、自分達の成功につながったと考えている。

1週間でユーザ向けの簡単なプロトタイプを作り、フィードバックを集めて、プロダクトのイテレーションを進めた。Y Combinator は、素早く動いて壊すスタートアップを好む。なぜなら、彼らは顧客からのフィードバックで製品を最適化することを望んでいるからだ。

もう一つ、彼が挙げた、おそらく彼らのアプリケーションが際立つのに役立った重要な強みは、製品開発のスピードだった。

プロトタイプを発表した後、我々は受け取ったフィードバックに基づいて製品を改善するために素早く取り組んだ。ほとんど毎日新しいイテレーションを行なった。

彼らの製品のプロダクトマーケットフィット(PMF)は、ユーザと行った何百もの1対1のミーティングとウォークスルーチュートリアルを通して形作られたと付け加えた。

また、Heptabase の製品戦略は、すべてユーザからのフィードバックに基づいている。Y Combinator は、製品を作ってからユーザと対話するスタートアップを好む。我々が実行したのは、そういうことだ。」

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録