価値あるアイデアを持続させたいーーヨンデミーオンライン・笹沼颯太氏【Z世代の視点】

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「Z世代に特化したイノベーションハブ」を運営する Culture Z Park(CZP)は、Z世代のイノベーターにおける事業の収益性や実現性を高め、企業との共創を見据えた1→10のプログラム「Culture Z Innovation」を開催中。7月9日には最終発表会を開催します。

概ね1990年代から2010年代に誕生したデジタルネイティブ世代の総称、それがZ世代(Generation Z)です。生まれた時からデジタル化が進んだ世界で育った彼・彼女たちは今、ちょうど20代から30代に差し掛かろうという時期にあります。

次の社会を作るこの世代が何を考え、どのようなことを起こそうとしているのか。本稿ではZ世代のイノベーターを集めるCulture Z Parkと協力し、何人かのZ世代起業家の話を伺うことにしました。初回は読書教育のオンライン習い事「ヨンデミーオンライン」を運営する代表取締役の笹沼颯太さんからお送りします(文中の質問はBRIDGE編集部。回答は笹沼さん。敬称は略させていただいています)。

自己紹介をお願いします

笹沼:笹沼颯太(ささぬま・そうた)といいます。現在、東京大学経済学部経営学科4年に在籍しています。筑波大学附属駒場中・高等学校卒業後、東京大学文科2類に入学し、経済学部経営学科に進学。

大学進学後、家庭教師として担当した全ての家庭から「うちの子は本が嫌いなんです。」と相談されたことをきっかけに、「子どもの読書離れ」という課題の深刻さを痛感しました。

そこで、大学3年の時(2020年4月)に会社を設立し、自身の英語多読講師としての読書指導ノウハウを活かした読書教育のオンライン習い事「ヨンデミーオンライン」を立ち上げました。

どのようなサービスを手がけているか教えていただけますか

「ヨンデミーオンライン」/Image credit: Yondemy

笹沼:ヨンデミーオンラインは、小学生をメインターゲットとした読書教育のオンライン習い事で、Webアプリを通じてお子さんの日々の読書や成長をサポートするサービスです。具体的には、現役東大生が1,000冊以上の絵本・児童書を読んで開発したAI「ヨンデミー先生」が一人ひとりに合った本をおすすめしてくれたり、ヨンデミー先生に感想を伝えたり、1日3分でチャット形式のレッスンを受けることで、自然と本に向き合う時間が増えていくサービスです。

「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」ということをビジョンとして掲げており、子どもたちが「自立した読み手:必要な時に必要な本を選び必要なだけ読むことができる読み手で、大人になっても人生の武器として「読書」と共に過ごせる人」に育つことを目指す読書教育を届けています。

サービスを始めようと思ったきっかけは

笹沼:大学進学後、家庭教師として担当した全ての家庭から「うちの子は本が嫌いなんです」と相談されたことをきっかけに、「子どもの読書離れ」という課題の深刻さを痛感しました。

それぞれの家庭で『うちの子は本が嫌い、だから国語苦手、だから算数の文章題も苦手だし、理科社会も教科書を読むのが辛い、塾で相談したら本を読むといいと言われる、でもうちの子は本が嫌い・・・』というループに苦しんでいるという話を聞きました。

元々自分自身が読書指導の実践経験があったこともあり、何かできるのではないかと友人と一緒にPJを開始、実際に提供できる価値があること、またその価値を日本中の子どもたちへと届けていくため、またそれを持続的な活動とするためには「ビジネス」の力が必要だという考えに至り、スタートアップとして立ち上げることを検討し始めました。

事業を手掛ける上で大切にしているものはなんでしょうか

2021年にプレシリーズ Aラウンドで1億円を調達、著名 VC が出資した/Image credit: Yondemy

笹沼:元々スタートアップという言葉すら知らなかった、ましてや学生起業なんて考えていなかった自分が起業をしたのは「価値あるアイデアのマネタイズによる持続的な実現」をするためです。大学に入学してから周りには”価値のあるアイデア”を持つ友人が多かったです。

そのアイデアが実現すれば、ないしそれが普及している社会は素敵だしより豊かになる、と感じるような活動を数多くみてきましたが、一方で「ボランティア」では続かないということも痛感していました。

誰かの思いが途切れたら終わり。そうではなく、アイデアをきちんとマネタイズすることで、人を集めて給与を支払うことができ、その人たちがまた社会に貢献するという循環を持続的に実現することができる。それが軸になっています。

Z世代と呼ばれることをどう思いますか

笹沼:Z世代と一括りに言われてもあまりしっくりこないことが多いかもしれません。ただ、例えば「デジタルネイティブ」みたいな話で言えば、僕自身情報収集をデジタルベースでガツガツと行っていることによって大きな優位性を持てていると思いますし、「SNSネイティブ」みたいな話で言えば、いわゆる「出会い系」みたいな悪い印象ではなくフラットにSNSで出会う、仲良くなる、ということは自然なことのように思います。

そういう意味で「可能性」は広がっていますが、それは元々どの世代にも開けたもので、「そういう時代」という話だと思っており、より正確に言えば、世代によってその可能性を活用することに慣れているかどうかに差が出てしまうのだろうとは思います。

どんな子供でしたか?また、どんなものに熱中していましたか?

笹沼:前述の通り、自分自身は特に起業やスタートアップには興味がないタイプでした。また、タイプとしても「参謀」だと思っており、自分がリーダーとなってみんなを引っ張る「代表」を務めることになるとは思ってもみませんでした。

ただ、起業につながるような経験があるとすれば、中高時代の文化祭です。クラス演劇ではいつも舞台に立つ演者をしており、また高校3年生では中庭ステージを運営する班に所属し、1から企画を考え、面白くなければ”ピボット”を繰り返すというような経験をしましたし、その中で自分がリーダーになる企画もありました。大学受験直前の2〜3カ月で1分も勉強をしないといった状況で文化祭に打ち込んでいましたが、その時の経験が今につながっているところは本当に大きいです。

他のZ世代の方に向けてメッセージをお願いします

笹沼:Z世代の定義が明確に把握できていないのですが、現在6〜12歳の子どもたちはもうZ世代よりさらに次の世代なのかなと思います。生まれた時からiPadでYouTubeを見るのが当たり前で、小学校の放課後にはフォートナイトでクラスメイトと集合する、という世界観はZ世代でも珍しいように思います。そのような世代にとっての当たり前が僕らの当たり前と大きく違うことを日々痛感しており、そこから何が生まれてくるのか楽しみです。

その上で、いわゆるZ世代(同世代に近い層)について話せば、前述の通り、あらゆる「可能性」が開けており、またそれらの「可能性」へアクセスする手段にも慣れている世代だと認識しているので、固定観念に捉われずに、また「年齢」に捉われずにチャレンジしていけたらと思います。

僕自身は逆に「若さ」を逆手にとって、いろいろな方に助けてもらえるというメリットを享受することができていて、それが学生のうちに起業してよかったと思う一番大きなポイントです。これは起業ではなく、研究の道等でも同じだと、友人等の話を聞いていると感じます。

ありがとうございました!

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