SaaSプロダクト組織を作るなら知っておきたい、「B2BとB2Cのプロダクトマネージャー」6つの違い

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本稿はベンチャーキャピタル、ALL STAR SAAS FUNDが運営するサイトに掲載された記事からの一部を転載したもの。全文はこちらから読める。同社のメルマガ「ALL STAR SAAS NEWSLETTER」出資先のスタートアップ転職に関するキャリア相談も受付中

プロダクトマネージャーという職業が、日本のスタートアップでも認知されてきました。単体のプロダクトの価値向上や複数のプロダクト展開による非連続な成長をリードする中心的存在です。また、「キャッシュ効率」や「利益の創出力」が重視されるマーケットの環境においてカギとなる役割を担っているとも言えるでしょう。

近年では、日本でもプロダクトマネジメントの知見が、書籍やブログなどで流通するようにもなりました。確かにプロダクトマネージャーの仕事は、大まかに見れば共通する部分は多くあります。

しかし、協働するステークホルダー(顧客・社内)や事業特性によって、プロダクトマネージャーがとるべき戦略や目標、実行は大きく異なるものです。その違いを理解しないままに、“プロダクトマネージャー”という言葉でくくられている情報を鵜呑みにすることは、自社にとって最適ではないプロダクト組織を作ってしまうリスクがあります。

そこで、今回の記事では、B2BやB2Cといった顧客の属性を切り口に、SaaSにおけるプロダクトマネージャーの採用、そして組織作りに関する注意点について論じます。(共著:湊 雅之、宮田 善孝)

データから見る、B2B vs. B2Cのプロダクトマネージャー

まずは、米国Pendo社が2019年に行ったアンケート調査結果より、B2BとB2Cの顧客属性によるプロダクトマネージャーの共通点と違いを見てみます。

重要度の高いプロダクトマネジメント業務(%は全対象者の中から「重視する」と回答したプロダクトマネージャーの割合を示す)

B2B

1位 プロダクトビジョン/戦略策定(32%)
2位 ロードマップ策定/優先順位付け(27%)
3位 プロダクト開発(26%)

B2C

1位 プロダクト開発(32%)
2位 ポジショニング/メッセージ作り(19%)
2位 市場拡販(GTM)の実行(19%)

プロダクト開発の推進をリードすることは共通しています。一方で、B2Bではプロダクトビジョン/戦略策定や優先順位付けといった戦略・プロマネ要素が強く、B2Cにおいてはポジショニング/メッセージ作りや市場拡販の実行など、マーケティング要素が強いことがわかります。

B2Bの場合、ターゲットセグメントの追加・拡張や、新機能追加によりプロダクトビジョンの見直しと修正がよく必要になります。従って、B2Bでは、プロダクトビジョン策定が最も重要なスキルです。それに準じて、ロードマップや優先順位付けが影響を受けるので、これがトップ2であることは納得感があります。

一方でB2Cの場合、実際にプロダクトを使ったユーザーが正解を決めるので、とにかく速くプロダクトを開発して、マーケットに問い、正解に近づけるかという勝負になります。だからこそ、プロダクト開発が1位に来て、マーケティング要素のある2位、3位が続くのです。

意思決定する上で重視する情報ソース(%は全対象者の中から「重視する」と回答したプロダクトマネージャーの割合を示す)

B2B

1位 顧客フィードバック(39%)
2位 プロダクトチーム内のブレスト(27%)
3位 競合(21%)

B2C

1位 プロダクトチーム内のブレスト(45%)
2位 社内からの提案やリクエスト(29%)
3位 競合(16%)

ここでもB2BとB2Cで大きな違いがあります。B2Bは顧客からのフィードバックを重視する一方、B2Cでは顧客の声よりも社内の情報を元に意思決定する傾向が見られます。

先程も書いたように、B2Cではプロダクトの正解はユーザーが決めるのですが、事前にユーザーへ正解を聞いても、再現性がある回答にならないケースが多いです。従って、社内の意見をまずは尊重し、プロダクトアウトでアイディアを出して、プロダクトでA/Bテストをした方が、早く正解にたどり着けることを反映していると考えられます。

プロダクトマネジメント業務で使うツール(%は全対象者の中から「重視する」と回答したプロダクトマネージャーの割合を示す)

B2B

1位 プロトタイプ系(63%)
2位 顧客フィードバック収集・管理系(54%)
3位 ロードマップ策定系(43%)

B2C

1位 A/Bテストなどの実験系(52%)
2位 プロトタイプ系(48%)
3位 セッション記録・再生系(32%)

使うツールでもB2BとB2Cでは違いがあります。B2Bは顧客の声を多方面から集め、ロードマップを作るためのツールを重用する一方で、B2Cでは、プロダクト上での実験や顧客の利用状況を把握するためのツールがより大切であることがわかります。

またB2Cで一定のユーザー数がいる場合は、わざわざユーザーからフィードバックを受けなくても、ログ解析によりユーザー動向を分析できます。従って、3位にユーザー動向分析の基盤となる利用状況を把握するツールがきていると想定されます。

また、プロダクトの効果検証も同様で、A/Bテストをすれば、新機能が優れているかどうかがすぐわかります。B2CではA/Bテストがとにかく重要なのです。

(※参考情報:日本のB2B、B2Cのプロダクトマネージャーの実態については、フライル社がリリースした「Japan Product Management Insights 2022」でもサーベイ結果をもとに解説されています。ぜひご参照ください)

プロダクトマネージャーの実務プロセスでみるB2BとB2Cの差

B2CとB2Bのプロダクトマネージャーの違いについて、なんとなく伝わったでしょうか。

ここからは、違いの背景をより深く掘ってみましょう。結論から言うと、B2BとB2Cの根源的な違いは「業務で使うプロダクトであるかどうか」で生まれます。

なぜ、要因となるのかを、プロダクトの企画から検証、ユーザーにプロダクトを届けるまでの流れを踏まえて、具体的に解説していきます。

BRIDGE編集部註:この後の『プロダクトの企画と検証』の続きはこちらから

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