MRI診断支援AI開発Airs Medicalが25億円、LiDAR開発SOSLABが19億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(7月25~29日)

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Image credit: Airs Medical, SOSLAB

7月25日~7月29日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは11件で、資金総額は898億ウォン(約89.8億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • AI 診断検査スタートアップ Airs Medical(에어스메디컬)が253億ウォン(約25億円)を調達した。Airs Medical は2018年、ソウル大学の医学部や電気情報工学部出身のメンバーにより創業、AI ロボット技術を活用して診断検査をデジタル化し、患者と医療スタッフにより良い医療経験を提供する。
  • LiDAR 専門企業 SOSLAB(에스오에스랩)が193億ウォン(約19億円)を調達した。累積調達額は362億ウォン(約36億円)に達した。固定型 LiDAR の開発専門会社で、高解像度3D LiDAR  マシンラーニングを開発。また、最近ヒュンダイとモバイルロボット用 LiDAR を共同開発しており、商用化に向け準備中だ。
  • C2Mスタートアップ Katchers(캐처스)がサービスローンチを前に130億ウォン(約13億円)を調達した。WeMakePrice(위메프)出身のパク・ウンサン(박은상)氏が設立した会社で、中国の「Pinduoduo(拼多多)」モデルを採用し、自社ブランドを中心にコスパの良い C2M(Consumer to Manufacturer)サービスの9月ローンチを目指す。
  • 統合モビリティプラットフォーム専門企業 Nature Mobility(네이처모빌리티)が100億ウォン(約10億円)を調達した。同社の主力サービスは、AI を使ったレンタカー価格比較&リアルタイム予約プラットフォーム「Zzimcar(찜카)」で、レンタカー以外の航空券、カーシェアリングなどサービスも提供している。今後、公共交通連携サービスを公開する予定だ。
  • オンライン授業プラットフォーム「Air Klass(에어클래스)」を運営する Quriously(큐리어슬리)が100億ウォン(約10億円)を調達した。Air Klass にはマスターが4,500人、動画が29万本、オンライン授業1万3,000本が登録されており、今回調達した資金で B2B サービスの拡大と人材調達に乗り出す計画だ。

トレンド分析

アーリースタートアップがよくやる、ピッチデッキの間違い3つ

資金調達のための資料であるピッチデッキには多くの情報が含まれている。会社のビジョンから成果、そして資金調達以降の計画まで盛り込まれたピッチデッキは、会社の成長可能性を示す重要な資料だ。ベンチャーキャピタル Homebrew のパートナー Hunter Walk 氏は、多くの企業ピッチデッキを検討した経験に基づいて、シード資金調達のためのピッチデッキでよく犯す、間違い3つを挙げてアドバイスした

1. イグジット戦略は入れない方がいい

投資家は、これから会社にどうなれるかよりも、現在の状況がどうなのかを基準に考えている。そして、会社は売られるものではなく買われるものなので、大きなビジネスを構築することが重要だ。また、早い段階で買収される相手を想定してしまうと、市場の動きなどに固執してしまうことになりかねない。

投資家にとっては、価値を実現することよりも、どのように価値を作り出すかが重要だ。収益性のあるビジネスを構築することが優先される。それを実行できれば、イグジットの機会はもたらされる。イグジット計画に固執することは、長期的なパートナーを得るよりも、お金を追っている印象を与えてしまう。

2. 期間ではなくマイルストーンで語る

調達した資金で稼げる時間(ランウェイ)に言及するのではなく、調達ラウンドを通じて達成するマイルストーンに焦点を当てるべきだ。18〜24カ月という時間をピッチデッキでよく目にする。しかし、会社は前回の資金調達から、どれだけの期間経過したかで次の資金調達をするのではない。

学習し、成長し、成果を上げているからこそ、より多くの資金調達ができるのだ。調達した資金で何を達成するのかに見出しにつけるべきだ。そのためにどれくらいの時間がかるのか、なぜそこに到達するために、それだけの資金が必要なのかを説明すべきだ。

3. ロゴで投資家を惑わせない

笑顔が素敵な共同創業者たち写真。その下には、大学や企業のロゴがたくさん並んでいる。チーム紹介で一番よく見られるのは、Google と  Harvard のロゴだ。しかし、彼らの経歴を LinkedIn で調べると、短期のサマーインターン、短期講座の受講など、勤務・卒業したわけではないことがわかる。

もちろん、良い学歴があれば会社が資金調達しやすいこともあるが、それは、よく言えば、その見せ方にふさわしい投資家(肩書だけを気にする投資家)を得ることになり、悪く言えば、投資家と相互理解と信頼を築くべき時に、自信が無いという印象を与えてしまう可能性がある。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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