#19 ベリロンに人が熱狂する理由 〜VeryLongAnimals Akim × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

ブロックチェーンを使ったアプリケーション(利用例)の一つである NFT(非代替トークン)。そんな NFT の特徴の一つがプログラマビリティ、つまり、二次流通で手数料が入るなど、さまざまな付加機能をそのデータ自体に付与できるというものです。この特徴を生かせば、原作者の権利を担保しつつ、二次流通や二次創作にも可能性を見出すことができます。

ベリーロングアニマルズは、その愛嬌ある風貌から、多くのファンを集めるイラストの NFT コレクションです。CC0(Creative Commons 0 = いかなる権利も保有しない)に近いオープンな二次創作文化や「ポテトポイント」を使った貢献度評価によって、投機性よりもコミュニティに重点を置いたプロジェクト運営が成功していると言えるでしょう。

ベリーロングアニマルズのこれまでの足跡について、ファウンダーの Akim こと河明宗さんに話を伺いました。聞き手は、アクセンチュアの ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクターの唐澤鵬翔さん、Accenture Song シニア・マネジャー 村上仁(ひとし)さんです。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています)

ポッドキャストで語られたこと

  • ベリーロングアニマルズが流行ったのはなぜか
  • IP をオープンにすることと二次創作のバランス
  • ベリーロングアニマルズの今後のマネタイズについて

Akim:まず僕自身で言うと、「ベリーロングアニマルズ(略称ベリロン)」という顔の長いドット絵の、よく Twitter とかのアイコンにしてくださっている方が多い NFT コレクションをやっているんですけれど、今年2月の後半ぐらいに、このベリロンが立ち上がると同時にこの業界に入ってきました。

前はあんまり売れない起業家というか、特にプロダクトを持ってない起業家でいろいろピボットしながら試していました。一番最後のアイデアが ベリーロングアニマルズ。といっても、それで起業してやろうとか新しい事業だというテンションでは全く無かったんですけれども。(笑

以前アメリカの事情を知りたいと思ってアメリカに行ってた時期があったんですけど、向こうの人は、NFT とか Web3 とかそういうワードに対する盛り上がりがすごいので、ちょっと触ってないと話についていけないと思って、思いついたその日に作ったのがベリロンです。お金も無かったんでちょうどよかった。

唐澤: NFT プロジェクトを立ち上げる人は結構たくさんいるんじゃないですか? でも全てがうまくいっているわけではなくて、日本からもそうですが、グローバルも含めて成功したものは少ないのかなと思っていて。Akim さんから見て、どうしてベリロンがこんなに盛り上がっていると思いますか?

少なくとも日本では非常に今注目を集めていて、僕もこれ買ってから、名刺交換するときとか、ツイッターとかで「あ、ベリロンだ!」とかすごく言われるんですよ。それが結構嬉しくて。どうしてベリロンが他のプロジェクトと違って、ここまで熱狂みたいなものを生み出せたと思いますか?

Akim:丁寧なコミュニティづくりを頑張ってるからかなとは思います。ジェネラティブ(編注:多数の絵を自動パーツ組み合わせなどで生成し、一気にホルダーを担保して流動性を大きくするモデル)のプロジェクトだと、それで何千体とかのホルダーがいきなり出現するみたいな感じなんですが、僕たちが今出してるコレクションは百体で終わると宣言しています。

まだ終わってないんですけど、リリースも一体ずつという感じで、そういうコミュニティをアジャイルというか、段階的に作っているからかなと思います。というのは真面目な話なんですけど、単純にみんなふざけたかったのか(笑、ちょっと、あの間抜けな感じが単純に良かったとか、タイミング的なものかもしれないですね。

唐澤: 今お話ありましたが、なぜかNFT はジェネラティブなものだと、皆一万体で出すんですけれども、数を百体に絞って、段階的にやろうと思った理由は何ですか?

Akim:そもそも最初は狙いも何もなかったので、本当に最初のリリースは8体で何も決まってなかったんですよね。8体描けました、出しました、売れました、となって、また次の日、8体描けました、出しました、売れましたというのがあって、値段を上げていくのが結構続いて31体ぐらいまでいったんです。

その辺りから、「これなんかいいかもしれない」「これもっと描くべきかもしれない」と思ってコミュニティ作りの方に踏み込んでから、帳尻合わせ的に、今のこのスタイルからジェネラティブとかに踏み込むのはなんか違うかな、と。自分のスタイルとか、ジェネラティブじゃないスタイルでいくしかないなと考えました。

唐澤: 誰をターゲットにして売るのか、持ってほしい人たちがどういう人かというのは、結構計算されているんですか?

Akim:最初はもちろん全く何もなかったんですが、 特定の人というよりはコミュニティに貢献度が高い人に基本的にはどんどん持ってもらいたいなと思っています。 すごくわかりやすいのはお金ですよね。どんなプロジェクトでもそうだと思いますが、NFT を購入することで、そのプロジェクトに資金を与えるという貢献が一つあると思うんです。

僕たちの特徴としてはそれだけではなくて、コミュニティに使ってもらった時間とか、その人のクリエイティビティができるだけ評価されるような、そういう貢献度が高い人にベリロンを持ってもらえるみたいな形をできるだけ取ろうとしてるので、そういう人がターゲットです。

そのためにベリロンへの貢献が高いともらえる「ポテトポイント」というポイントがあって、それをたくさん持っていると、ベリロンが値引きになったり、「ベリロンクソゲーハッカソン」というコンテストもやったりしています。

唐澤:Akim さんから見られて、ベリロンのコミュニティに集まって来ている人たちって何を求めて集まってきてるんでしょうか。当初と今では変わってきているのでしょうか?

Akim:コロナで皆さんいろんなコミュニティのリセットがあったと思うんですよね、オフライン(イベント)には行けなくなったり、その間に新しいオンラインの場所ができたり。そこでベリロンと言うコミュニティもできて、NFTに興味がある、とか、面白いことやってるな、とか、ベリロンにいると二次創作とかで結構お金を得ている人もいるので普通に稼げるな、とか、それぞれいろんな理由があってコミュニティに参加したいと思っていると思います。顔が長くなりたい、とか(笑。

村上:高校生でもやられていたりしますよね。

唐澤:今って二次創作を全てオープンにしているじゃないですか。もちろん最低限のルールはあれど、誰でもやってくれて良いと。そこって、特に IP 作る人は躊躇するところじゃないですか。広まるのは良いけど逆にコントロールが効かなくなるというか、還元されないとか。その辺りはどのようにお考えですか?

Akim:そこはまだまだ議論が続くと思っています。考え方としては、二次創作を全て許可無しでやってもらったりする中で広がりが出てくる方が、ライセンスをガチガチに縛るより僕たちにとって良い結果を産むのじゃ無いかと考えています。それによってトークンの価値も、僕たちが発行しているNFTの価値も上がっていく。

二次創作が下支えと言ったら変ですけれど、その人達がコミュニティをしっかり作っていってくださることでベリロン本体もすごく利益を得られるっていう考えでIPを作れるかなとチャレンジしています。ただ、ライセンスをガチガチに縛るIPとどっちの方がビジネスとして優れているかは議論が残るところで、まだ誰も分かっていないところかと思います。

唐澤:本家のベリロンとして、事業としてやっていくにはマネタイズをしっかり考えないと行けないじゃないですか。その辺りはどうですか?今出ているやつは First Shot で売って終わりというわけですよね。

Akim:ベリロン自体は次々にコレクションを運営側から出すということになっているので、まずはそれですね。例えば、Bored Ape Yacht Club(BAYC)を展開している「Yuga Labs(ユガ・ラボ)」は、Mutant Ape Yacht Club(MAYC)も出しています。

あとは Otherland というメタバースの土地で ApeCoin(APE)というトークンを出したり、いろいろな方法で彼らの影響範囲の大きさを活かしてトークンを発行して本体の資金調達をしたり、そういうのもあるかなと思っています。

単純に影響範囲が大きければそこに経済の流動性を提供することで、本体に対して運営資金をもたらすというのは面白いところだと思っています。Yuga Labs とかは一つの成功例かなと思います。

次回へ続く)

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