高級ブランド品EC「Balaan」が25億円、分散型SaaS「Monoly」が18億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月10日~14日)

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Image credit: Balaan, Monoly

10月10日~10月14日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは10件で、資金総額は929億ウォン(約92.9億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • オンラインラグジュアリープラットフォーム「Balaan(발란)」が、250億ウォン(約25億円)を調達しシリーズ C ラウンドをクローズした。上半期、さまざまな議論とその後の資金調達に困難を経験した Balaan は、今回調達した資金でで社内状況を強化することに注力する予定だ。事業収益構造の改善、品目多様化を推進する一方、年間取引額1兆ウォン(約1,000億円)突破、当期純利益黒字達成を目指す。
  • 分散型 SaaS プラットフォーム「Monoly(모놀리)」がシードラウンドで180億ウォン(約18億円)を調達した。企業データセキュリティとコラボレーション効率を高めるプラットフォームを提供、半導体企業、金融投資会社などが使用している。調達した資金で、アメリカへの進出を本格化する。
  • エドテック企業 Classum(클라썸)が151億ウォン(約15億円)を調達した。2018年に設立された同社は、リアルタイム映像講義、チャット型の質疑応答など、オンラインと対面学習を組み合わせたコミュニケーション中心の教育プラットフォームを提供。32カ国で6,000校の学校や企業などが使用している。調達した資金で、人材採用、サービス機能の高度化を推進する。
  • VTOL(垂直離着陸機)を開発する Plana(플라나)が、プレシリーズ A ラウンドで118億ウォン(約12億円)を調達した。韓国国内唯一のハイブリッド VTOL 開発企業で、最大350km/hのスピードで500km以上を飛行可能。2028年に先進航空モビリティ(AAM)の商用化を目標としており、調達した資金は、AAM 700kg 無人機開発に使われる。
  • エドテック企業 Sling(슬링)が70億ウォン(約7億円)を調達した。同社が運営するタブレット用受験勉強アプリ「Orzo(오르조)」では、タブレットで既出問題や模擬試験などの体験が可能。自動採点、誤答ノート機能も提供する。
  • Estate Cloud(에스테이트클라우드)が70億ウォン(約7億円)を調達した。同社はアパート専門の不動産仲介サービス「Woodaebbang(우대빵)」を運営。ブローカー業務に最適化された単一 ERP 仲介システムを開発し、仲介業務をデジタル化している。調達した資金で直営店や加盟店を増やし、150以上の支店を設立する計画だ。

トレンド分析

今年のエドテックスタートアップの資金調達トップ10は?

教育市場は新型コロナウイルスに加速されたデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れにより、オフラインからオンラインに舞台を移した。そうした動きから、デジタル競争力を持つスタートアップは資金調達に成功している。Startup Recipe のデータによると、今年10月15日までエドテックスタートアップが調達した資金の総額は1,978億5,000億ウォン(約200億円)だ。

昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大を追い風に、Riiid(뤼이드)の2,000億ウォン(約200億円)、Mathpresso(메스프래소)の560億ウォン(約56億円)など大型の資金調達が相次いだが、今年の調達市場は厳しく流入資金は少なくなると見られるものの、主要スタートアップは100億ウォン(約10億円)以上を調達している。主な分野は、職務、コーディング、学童保育、語学、コミュニケーションプラットフォームなどだ。

最も多くを資金調達したのは、300億ウォン(約30億円)を調達した社会人教育プラットフォーム「Day1Company(데이원컴퍼니)」だ。昨年12月に100億ウォン(約10億円)を調達してから6ヶ月で追加調達に成功した。キャリア開発、スキル強化、離職などを目指す人々を対象に実務教育を提供し、昨年急速に成長、取引額は994億ウォン(約99億円)を記録した。

会社員のための実務教育サービスは成長傾向だ。特にコーディング教育は開発者の需要と身代金が上がるにつれて脚光を浴びている。コーディングクラスを提供する Team Sparta(팀스파르타)もコーディングブームに乗って130億ウォン(約13億円)を調達した。この実践教育サービスは B2B で市場を拡大し、企業や組織などに教育を提供することで収益を上げている。

また、オンラインクラス「AIR KLASS(에어클래스)」を運営する Quriously(큐리어슬리)は、オンラインで資格から言語、財テク、趣味まで学べるサービスで100億ウォン(10億円)を調達した。

教育コンテンツ市場では、幼児や子供は投資キーワードとして位置づけられている。去る4月、幼児ケアスタートアップ Jaranda(자란다、育つの意)がシリーズ B ラウンドで310億ウォン(約31億円)を調達したのに続き、9月には Tictoccroc(째깍악어)がシリーズ B ラウンドで160億ウォン(約16億円)の調達に成功した。両社共に女性代表が率いるスタートアップという共通点がある。設立年も2016年と同じだ。

新型コロナウイルス感染拡大中の幼児ケアの空白を埋めることで急成長した2社は、子どもと専門教師をマッチングしてくれるサービスを中心にオンラインとオフラインで事業を拡大している。福利厚生の一環で従業員に幼児ケアサービスを提供する企業が増え、両社は B2B 分野でも競争している。

また、幼児童のための双方向カスタム教育サービス 「Glorang(글로랑)」も、非対面リアルタイム教育を強みに120億ウォン(約12億円)を調達、幼児教育をデジタル転換する growV(그로비 교육)もサービスローンチ前に120億ウォン(約12億円)を調達した。

学園や課外に代わる教育でデジタル学習体験を提供するスタートアップも調達に成功した。300億ウォン(約30億円)を調達した I Hate Flying Bugs(아이헤이트플라잉버그스)は、1対1のオンライン課外授業「Mildang PT(밀당 PT)」により、オフラインの学習管理をオンラインに持ち込み、教育機会の平等を追求する。

Sling(슬링)もタブレットを通じた受験勉強アプリ「Orzo(오르조)」で新しい学習経験を提供し、70億ウォン(約7億円)を調達した。この他にもオンライン・オフライン教育コミュニケーションを増やす B2B SaaS を提供する Classum(클라썸)は151億ウォン(約15億円)を調達した。リアルタイム映像講義、チャット型の質疑応答など、オンラインと対面学習を組み合わせた学習機能で、グローバル32カ国で6,000カスタマが使用中だ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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