見落としゼロで交通事故を防ぐ、AI運転アシスタント「Pyrenee Drive」/Monthly Pitch! スタートアップの扉

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Pyrenee 代表取締役 三野龍太氏
Image credit: CyberAgent Capital

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載

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サービス概要:Pyreneeが開発するのは、既存の車に付けられるAIドライバーアシスタント「Pyrenee Drive(ピレニードライブ)」。AIを用いた自動運転技術が組み込まれた、今乗っている車に簡単に付けられる車載デバイスです。この技術を車の制御ではなく、ドライバーに対するインフォメーションや、ドライバーに対するアシストに利用し、交通事故防止に繋げていきます。

Monthly Pitch編集部はココに注目:現在、年間135万人が交通事故によって命を落としており、しかも29歳以下の若者の最大の死亡原因は交通事故となっています。また経済的にも、世界では300兆円、日本だけでも3兆円の損失が発生しているそうです。

自動ブレーキでもこの課題を解決できそうですが、実際に自動ブレーキを搭載している車はまだ日本で3割ほど。世界では9割以上の車には自動ブレーキが搭載されていません。また時速50キロほどになると、事故の回避は難しいそう。Pyrenee Driveは、自動ブレーキよりも幅広いシーンでの事故防止を目指します。

Pyrenee Driveは、走行中の映像を撮影し、それをディープラーニングで画像処理を行い、道路のどこに人や車がいるかを、1台ずつ判定します。その全ての動きを追いかけ、その先どう動くかをリアルタイムで予測。危険が迫っていると判断したら、すぐにドライバー向けにアラートを鳴らします。事故防止以外にも、ドラレコやナビゲーション機能を搭載。ドライバー向けにあらゆる機能を提供します。

Image credit: Pyrenee

詳細:羊を狼や熊から守ってくれる番犬「ピレニー犬」に由来する社名を持つ同社は、人を交通事故から守る技術に特化してAIやIoTデバイスを開発している。2019年に発表した「Pyrenee Drive」はグッドデザイン賞を受賞するなど、業界での評価を着実に高めつつある。2021年5月には、フューチャーベンチャーキャピタル、菊池製作所、出井伸之氏(故人)らから総額2億円を調達した。Pyrrenee Driveのプレ発売は2023年末を予定していて、現在はそれに向けた量産化の開発フェーズにあるようだ。

社会の高齢化に伴って、高齢者ドライバーによる交通事故が目立つようになった。ただ、交通が便利な都市部と異なり、モビリティが必ずしも発達していない地方では、おいそれと運転免許を返納するわけにもいかない。自動運転が普及すれば交通事故の数をかなり減らすことには貢献するだろうが、人が完全に運転を委ねられる自動運絵の普及には、まだあと数十年以上を要するだろう。今普及している自動車に取り付けることで、Pyrenee Driveは注意散漫などから生じるさまざまな交通事故リスクから人を守ってくれる。

AIやIoTを使って交通事故を未然に防ぐテクノロジーを開発するスタートアップは、経済成長とともに自動車保有率も高まり、交通事故死者数が増加傾向にあるインドなどでいくつか散見されるが、実際に量産品を世に出すまでには至っていない。交通事故の増加は、自動車保有率が高まる新興国にとっても、高齢者ドライバーが増えている先進国にとっても大きな課題であり、海外市場でもPyrreneeの活躍は期待できる。

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