睡眠時無呼吸症候群の診断に革命、台湾発PranaQがNAVERらから300万米ドルをシード調達

Image credit: PranaQ

医療系スタートアップ PranaQ は、DSC Investment、Smilegate Investment、Lighthouse Combined Investment、韓国最大のオンライン企業 NAVER の CVC である NAVER D2SF から、300万米ドル(約4億円)を調達したと発表した。

PranaQ は、今回の資金調達を受けて、FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認取得に着手し、製品のマーケティング活動をより大規模に展開したいと考えているという。

ハードウェアからソフトウェアへ、睡眠時無呼吸症候群の救世主を目指す

PranaQ共同創業者兼 CEO Chen Zhengyao氏

PranaQ は、2021年7月に設立されたデジタル医療スタートアップで、AI 生体信号処理アルゴリズムを搭載したウエアラブル医療機器を使って、人々の睡眠を検出し、睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠障害をモニタリングしている。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり弱くなったりする一般的な疾患で、睡眠中にしか起こらないため発見が難しく、日中の眠気や倦怠感、ひどい場合には心臓病や高血圧、さらには睡眠中の死亡に至ることもある。

PranaQ の 共同設立者兼 CEO Jerry Chen(陳政堯)氏は、次のように述べている。

現在の睡眠時無呼吸症候群の監視・診断方法は、アメリカでは睡眠センターや睡眠検査室で一晩眠るための費用を払い、脳波、心電図、眼球運動映像など、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定するさまざまなテストを装着しなければならず、長期的に追跡することが困難だ。

今のトレンドは、自宅でトラッキングする方法だ。ただ、このようなセンサーを多用した遠隔医療を実現するには、センサーを薄く小さくする必要があるが、PranaQ の製品を使えば、指先にセンサーをつけるだけで診断が可能であると Chen 氏は説明した。PranaQ の技術は、強力な生理信号アルゴリズムと AI によって、少ないセンサーでおおよその結果を出すことができる。

NAVER も出資、2023年に FDA 承認取得を目指す

韓国最大のオンライン企業である NAVER は、CVC の NAVER D2SF を通じて戦略的投資家としてこの資金調達ラウンドに参加したことは、今回の投資家の中で目玉であることは間違いないだろう。

NAVER は LINE の親会社であり、韓国最大の検索エンジンやポータルサイトでもあるため、データマネジメントやクラウドサービスに強い基盤を持っており、近年はこの基盤を利用してデジタルヘルスケア分野への参入を意図している。例えば、NAVER は AI による電子カルテを構築する子会社 Naver CLOVA CIC を設立し、また、LINE は日本のソニー傘下のエムスリー(東証:2413)と提携し、LINE ヘルスケアを2019年に立ち上げている。

我々は非常に国際的なチームだ。(Chen 氏)

PranaQ は、NAVER プラットフォームを通じて製品の応用範囲を広げたいと考えており、主な市場はまだアメリカだが、潜在的な市場機会をあきらめることはない。

DSC Investment のパートナー Soosob Won 氏は次のように述べている。

PranaQ の AI アルゴリズムと睡眠検査装置は、すでに従来の複雑な睡眠検査に取って代わりつつあり、患者がより簡単に、より良い睡眠の質を実現し、病院や保険会社などの関連産業にさらなる価値を提供することが期待される。

PranaQ の製品は現在臨床試験中であり、FDA の承認後に実際の製品を公開する予定だ。同社では、2023年のFDA承認取得、正式発売を目指したいとしている。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

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