創薬のYipscellが13億円、宿泊事業者用SaaSのOndaが12億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月26日~30日)

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Image credit: Yipscell, Onda

12月26日~12月30日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは13件で、資金総額は693.3億ウォン(約69.3億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • I Hate Flying Bugs(아이헤이트플라잉버그스)が200億ウォン(約20億円)を調達したt。同社は、オンライン教育サービス「Mildang English(말당영어)」と「Mildan Mathematics(밀당수학)」を運営している、AI 技術を活用してユーザの学習行動をデータとして蓄積し、これに基づいて、カスタマイズされたカリキュラムと密着学習管理を加えたパーソナル学習サービスを提供、オフライン教育のオンライン化をリードしている。
  • ホスピタリティテック企業 Onda(온다)が120億ウォン(約12億円)を調達した。Onda は宿泊エコシステムの DX 事業を推進するホテル、宿泊B2B SaaS 企業として、今年上半期初めて半期取引額1,000億ウォン(約100億ウォン)を突破した、売上も昨年比2倍以上増加している。
  • AIV(아이브)が100億ウォン(約10億円)を調達し、累積調達額は160億ウォン(約16億円)に達した。ディープラーニングベースのマシンビジョン技術により、製造業の製品不良品検出工程を自動化する製造業用 AI ソリューションを提供している。調達した資金を使って、ディープラーニングアルゴリズムの高度化、非定型的外観不良検査に特化した光学系開発を加速する。
  • ファッションスタートアップの On The Lock(온더룩)が70億ウォン(約7億円)を調達した。ファッションクリエイターが作ったスタイルルックブックをユーザの好みに合わせて提供し、そのファッションアイテムの購入手段も提供する。前年同月比で MAU 数は690%増加、クリエイターは年平均40%以上増加している。

トレンド分析

睡眠問題を解決するスリープテックスタートアップ

コロナ禍のうつ病、不眠症で眠りに苦しむ人口が増加し、睡眠問題を解決するための産業が急速に成長している。IT が融合したマットレスから睡眠モニタリング、デジタル治療薬まで睡眠の質を向上させる技術が注目されている。IT 家電展示会 CES はスリープテック分野のセクションを2017年に新設・関連技術を披露しており、テック大手はもちろんスタートアップもこの領域で活発に動いている。韓国国内では数は多くないが、大規模投資を調達したスタートアップとグローバル市場を狙う企業が頭角を表している。

今年最も多くの資金を確保したのは Asleep(에이슬립)で160億ウォン(約16億円)を調達した。Asleep は、睡眠中の息遣いから睡眠段階を診断し、さまざまなサービスを提供する企業だ。別途の機器を必要とせず、スマートフォンなどマイクのついた機器さえあれば、睡眠段階を測定できることが特徴だ。Asleep によると、スマートウォッチと比較しても睡眠診断の精度が15%高いという。最近、LG 電子と業務協約を結び、家電製品と融合したサービスを披露する予定だ。

The Sleep Factory(더슬립팩토리)は、いびきと睡眠時無呼吸症候群を管理するブランド「Smart Pasa(스마트파사)」で初期投資を受けた。専用アプリといびき口腔装置を使って睡眠状態を測定、個人別睡眠レポートを分析し提供する。今年の〝ベビーユニコーン〟に選ばれた Curaum(큐라움)も睡眠時無呼吸症候群の治療医療機器を披露している。

安眠誘導のための音と照明を作るスタートアップもある。Munice(무니스)は脳科学を元に睡眠誘導音パターン「モノラルビット」を活用したデジタル睡眠ソリューション「Miracle Night(미라클나잇)」を運営している。追加機器無しで、最適な睡眠誘導音と睡眠コンテンツをサブスクで提供する。スタートアップの Luple(루플)は、睡眠を誘導する照明を開発している。CES でイノベーション賞を受賞した 2つの製品「Olly Day(올리데이)」「Olly Night(올리나이트)」を提供している。睡眠のための光環境を作り、セロトニンとメラトニンの分泌を促し、ユーザの睡眠の質を改善する。

マットレスや枕などにデジタルを組み合わせたサービスも海外を狙っている。昨年120億ウォン(約12億円)を調達した 3boon1(삼분의일=3分の1)は、マットレスの開発でスリープテック製品群を拡張すると明らかにした。現在、ユーザの呼吸数、心拍数などの睡眠パターンを把握し、深い睡眠のための温度を設定するハードウェアをマットレスと接続した製品を開発している。スマートピローを作るメテルは、IoT と AI が結合されたスマート寝具ブランド「Zerema(제레마)」を北米、ヨーロッパ、日本などに販売している。ユーザ体型測定で枕を首と頭に快適な高さに調節し、睡眠の質を高める。

このようにスリープテックに参入する理由は、この業界の成長傾向に起因するものだ。Global Market Insights によると、世界のスリープテック市場規模は2026年時点で46兆ウォン(約4.6兆円)規模に成長する見込みだ。また、韓国睡眠産業協会によると、国内の睡眠市場規模は3兆ウォン(約3,000億円)に成長した。不眠症の増加に伴い、関連する産業需要と供給の両方が増加する傾向にあるため、市場はより大きくなるようだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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