※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

フランスのテレコム大手 Orange がアジア地域で展開するスタートアップ・アクセラレータ「Orange Fab Asia」は、9年間の活動を経て、昨年10月に幕を閉じた。このプログラムの運営責任者を務めた西川浩司氏をはじめ、関係者の動向が気になるところだったが、西川氏については、31日までに AI や ML（機械学習）プラットフォームを提供する MoBagel（行動貝果）のチームに参画したことがわかった。

MoBagel は2015年3月に創業した台湾人創業者によるスタートアップで、現在はアメリカのサンタクララに本拠地を置いている。これまでの累積調達額は2,000万米ドルほどで、主に、台湾のベンチャーキャピタルなどが彼らを支援してきた。BRIDGE ではこれまでに、2016年の SLUSH ASIA（当時）のピッチ登壇、同年の Rising Expo（当時）のピッチ登壇、2018年の台湾のアクセラレータ AppWorks（之初創投）第16期からの輩出、SparkLabs Taipei 第3期からの輩出などを伝えている。

MoBagel は日本法人として Solve AI を設立し西川氏はその代表に就任、「Solve AI Challenge」という国際オープンイノベーションプログラムを始める。AI やデータの収集・解析などをテーマに、アイデアを求める大企業（パートナー企業）と提案したいスタートアップをつなぐ機会を提供する。西川氏によれば、このプログラムの名称は、Orange Fab Asia の採択チームがしばしば招聘されたパリのスタートアップカンファレンス「VivaTech」のプログラム「Startup Challenges」にヒントを得たという。

パートナー企業にどのような企業が参画するかはわからないが、今のところ、日本の大手テクノロジー企業1社が内定しているという。プログラムでは、パートナー企業が個別に解決したい課題（Challenge のテーマ）を設定し、その課題を解決する方法やアイデアをスタートアップが提案するスキームで運営される。パートナー企業は、評価の高い提案をしたスタートアップに対して、何らかのメリット（金銭的なリワード、スタートアップイベントへの招聘、協業機会の提供など）を提供する予定だ。

西川氏によれば、Orange Fab Asia の終了が決まった頃、この話を聞きつけた同プログラムの卒業チームでもある MoBagel の CEO Adms Chung（鍾哲民）氏から、オープンイノベーションプログラムの立ち上げと西川氏のチーム参画について提案があったのことだ。新法人である Solve AI は、MoBagel を将来利用してくれる可能性のある潜在的ユーザの掘り起こしを意図して、AI やデータを中心としたスタートアップエコシステムの構築に注力するということだ。

Solve AI Challenge には、西川氏が Orange Fab Asia で培ったネットワークもフルに生かされるようで、Orange Fab Asia のソウルのディレクターを務めた Danny Han 氏、台北のディレクターを務めた Clare Fan 氏もアドバイザーとして参画する。サンタクララ、台北、東京、上海、シンガポールにオフィスを持つ MoBagel は本業と並行して、Solve AI Challenge の運営に全面的に協力する予定で、プログラム参加スタートアップには、MoBagel プロダクトの無償提供を検討中だ。

Solve AI Challenge では、各パートナー企業がスタートアップを募集した後、パートナー企業らの評価・判断に基づいて採択スタートアップを決定。数ヶ月の PoC（実証実験）を経て、成果を披露するデモデイが開催される予定だ。同業の異なるパートナー企業が、各社毎にテーマを設定して協業スタートアップを募るアプローチは、Plug and Play のプログラムのスタイルなどにも似ている。Solve AI では、Solve AI Challenge に参加するパートナー企業を募るとともに、今後、詳細を発表するとしている。