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ニュースサマリー：モノ資産の管理・活用アプリ「cashari（カシャリ）」を提供するガレージバンクは6月26日、車を対象としたマイカーリースバックの提供を開始することを発表した。cashariはAIを活用してユーザーのブランド品や家電をアプリで鑑定・査定し、その価値を現金化するサービス。カテゴリを絞り、家電やゲームソフト、車、ブランドなど確実に査定市場があるモノを対象にしているのが特徴。同社の創業は2020年。メガバンクやスタートアップで金融・ファクタリングなどの事業に携わった山本義仁氏と質屋経営の経験をもつ磯田岳洋氏が共同創業した。

今回新たに追加したサービス「マイカーリースバック」では自家用車をスマホアプリで撮影し、査定することでリースバック契約を申し込むことができるもの。リースバックとは不動産を中心に自己資産を売却し、リースとして再契約することで一時的な手元資金を得た上で、継続利用できる仕組みを指す。一般的には自宅やビルなどの不動産が対象だが、cashariではそれを一般的なモノに対応させた。今回はそれをマイカーに拡大させる。なお、ローン残債が残っている場合は利用できない。

さらにガレージバンクでは損害保険ジャパンとナルネットコミュニケーションズとの業務提携も発表している。これにより、ユーザーはリースバック契約に切り替えるだけでなく、自動車保険やメンテナンスも利用することができるため、自家用車をサブスクリプションやカーシェアのような形で使うことができる。リースバック契約の最低利用期間は設定されておらず、ユーザーはいつでも車両をガレージバンクに返却できる。

話題のポイント：スマホでモノを撮影して現金化するサービスといえば「CASH」を思い出す人がいるかもしれません。質屋のビジネスモデルを現代版にアレンジし「スマホ質屋」として大きな話題となりました。モノをスマホで撮影して送るだけで査定された金額が所定の方法で引き出せるというもので、当時、どういう仕組みになっているのか不思議に思った人も少なくなかったのではないでしょうか。

バンクがやっていたのはあくまで古物の流通で、貸金業や質屋業（質屋営業許可）の許認可はとっていませんでした。あくまで個人の与信と「モノ」の価値に対する確率論的な期待値によるもので、壮大な社会実験としても興味を持っていたのを記憶しています。その後のCASHは紆余曲折あってリユースのBuySell Technologiesが運営しています。

ガレージバンクが運営するcashariは体験こそ、所有物で個人のキャッシュフローを改善するという点でCASHなどと似ていますが、仕組みは全く違うものになっています。特徴的なのがリースバック契約で、これはローンが終わった持ち家を売却してそのまま賃貸として住み続けるような使い方が一般的なのですが、これをモノに適用させているのですね。さらに売却して手元資金は入りつつ「モノ自体は使い続けることができる」という点も大きく異なります。

一方、モノに確かな価値がなければ成立しないので、自然とブランド品やゲーム機、家電、PCなど、一般的な流通市場があるものに限られるようになります。さらにここにAIを組み合わせ、査定時間をかなり運営側で短縮しているとの話でした。さらに質屋経営の経験をもつ磯田さんが共同創業しているので、独自の価格表も作っているそうです。同社のビジネスモデルはリースバック契約時のマージンになるそうです。

個人的にも例えばPC（Mac）は数年毎に形式的に買い替えしているので、意識的に個人の所有物というより、毎月定額でリースしてもらっているような感覚があります。車は完全にカーシェアですが、地方などで普段使いすることがあれば恐らく、同じような考え方になると思います。ある程度の資産価値が見込めて、長期にわたって使い、かつ、数年に一度はモデルチェンジが必要なものの場合はこのcashariのような仕組みでモノ自体をサブスクリプションにしてしまうのはいいかもしれません。