ゲーム大手Krafton、スタートアップビルダFast Track Asiaに22億円出資し筆頭株主に——韓国スタートアップシーン週間振り返り(6月5日~9日)

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ソウル市内にある Fast Track Asia のインキュベーション施設「Fast Five」
Image credit: Fast Track Asia

6月5日~6月9日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは5件で、資金総額は307億ウォン(約31億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • カンパニービルダー Fast Track Asia(패스트트랙아시아)Krafton(크래프톤)から220億ウォン(約22億円)を資金調達した。今回の調達を受けて、Krafton はスタートアップ創業と彼らのグローバル市場挑戦を中長期的に支援する。
  • 建設現場自動化ソリューション「Xpanner(스패너)」が40億ウォン(約4億円)を追加調達し、これにより、シリーズ A ラウンドを合計100億ウォン(約10億円)の調達でクローズした。同社は建設機械の制御を支援する自動化ソリューション「Mango(망고)」を開発、これと連動するスマート建設ソリューションを現場にカスタマイズして供給している。今回の調達により、グローバルへの進出を加速化する計画だ。
  • グローバル購買代行サービス「Local Price(로컬프라이스)」を運営する 13Hz(일삼헤르츠) が30億ウォン(約3億円)を調達した。最低価格情報、海外決済、商品海外配送など購入代行のためのサービスを提供している。今回の調達により、インドネシアで国内商品の逆輸入販売事業を本格推進する計画だ。

トレンド分析

ヨーロッパに進出する韓国スタートアップ

グローバル市場を狙う国内スタートアップが増加し、ヨーロッパも一つの進出選択地となっている。今週フランス・パリで開かれるヨーロッパ最大のスタートアップイベント「VivaTech 2023」にも国内スタートアップが45社も大挙して参加する。しかし、実質的にヨーロッパ進出に成功したスタートアップ事例はほとんどないと見られる。8日に全州(チョンジュ)で開催されたスタートアップエコシステムカンファレンスで、フランスに本社を置くベンチャーキャピタル Korelya Capital の韓国代表 Pierre Joo 氏がヨーロッパスタートアップ投資環境などを紹介し、韓国とヨーロッパ間の架橋の役割をすると話した。彼が語るヨーロッパのスタートアップのエコシステム環境は、韓国スタートアップにはどんな機会をもたらすのかをまとめた。

Joo 氏は、全体的にヨーロッパのスタートアップエコシステムもアメリカなど他の国と大きく変わらないと述べた。全体的に投資萎縮が進行中だ。彼によると、ヨーロッパの投資市場は、2021年に1,000億ユーロ以上となる累積投資規模を記録した後、2022年からは減少している。2022年上半期にメガラウンド投資が多く行われ、実質的には2022年上半期が投資のピークだったそうだ。投資は減っているが、2017年以降と比較してまだ2倍以上の資金が流入しており、これは韓国と同様の数値だ。

ユニコーンも減少傾向で、2022年は2021年に比べ、ユニコーン数が3分の1減ったと言われている。彼が紹介したヨーロッパの代表的なユニコーンとしては、ドイツのコンシューマーテック企業 Grover、イタリア初のユニコーンフィンテック企業 Satispay、スイスの物流ソフトウェア企業 Scandit などがある。Joo 氏は、投資が減少し始めたもおのの、フランス、イタリア、ベルギーは2022年も成長し好景気だったと指摘した。

投資が減り、市場に使い果たされなかった資金、つまりドライパウダーがあふれているということだ。ヨーロッパの VC とグロースファンドが保有するドライパウダーの金額は840億米ドルに達するそうだ。

投資領域はフィンテックが最も人気であり、エネルギー、ヘルス、フード分野の順で投資が多く行われた。エネルギー、フィットネス、フードエリアへの投資が多いのは、インパクト投資のおかげだ。ヨーロッパはアーリーステージのインパクト投資分野をリードしている。世界でヨーロッパがこの分野で占める割合は23%だ。エドテック企業 Multiverse、スウェーデンの新再生可能エネルギーバッテリー企業 Polarium などがインパクト分野でユニコーンとして登場した。ヨーロッパでは、テック企業が非テック企業に比べて雇用増加率が8倍も高いという。

では韓国スタートアップにはどんな機会があるだろうか。Joo 氏はヨーロッパの大企業が先導しているモビリティ、建設、ファッションなどの分野で、韓国の有望スタートアップに機会があると見ている。現地の言語や規制の問題などは韓国スタートアップのヨーロッパ進出を難しくする要素だが、これらを克服する企業が生まれ、ヨーロッパ市場の連結を支援すれば、国内 B2B 事業が進出できる可能性が高いと Joo 氏は話を締め括った。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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