中国の大手旅行予約サイト「Ctrip(携程)」、観光情報を提供するAIモデルを発表

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Image credit: Ctrip(携程)

中国最大の旅行会社 Ctrip(携程)は17日、観光業界向けに設計された、バーティカル(業界特化型)AI 大規模モデルを発表した。「Xiecheng Wendao(携程問道)」と呼ばれる AI ドリブンモデルは、ユーザが Ctrip に旅行関連の質問をすることを可能にする。同社会長の James Liang(梁建章)氏は、このモデルは初期段階にあり、まだ「長い反復プロセスが必要だ」と述べた。

重要視すべき理由:多くの企業が、既存の汎用大規模モデルを業界特有のデータで微調整し、特定のニーズに対応している。この場合、Ctrip は、同社の業界特化モデルは非公開の汎用モデルをベースに構築されており、200億の高品質な非構造化観光データストリームと独自の構造化リアルタイムデータや検索アルゴリズムをフィルタリングしていると明らかにしている。

詳細:Ctrip の AI モデルは、目的地、ホテル、観光に関する推奨情報を提供し、航空券やホテルのリアルタイム検索結果も提供できると、同社は17日の発表イベントで述べた。

  • 国内最大の旅行サービスプロバイダ Ctrip Ctrip は、Xiecheng Wendao のトレーニングに使用したパラメータの具体的な数については明らかにしなかったが、Liang 氏は、他のデータ連携に比べ、バーティカルモデルにとってパラメータはそれほど重要ではないと強調した。
  • Ctripによると、ユーザは旅行プランのリサーチと決定に平均11日かかることが多く、旅行前のプランニングが最も時間のかかる複雑なプロセスであることが多いという。Liang 氏はさらに、これはジェネレーティブ AI が効率を大幅に改善できる分野だと主張した。
  • 中国のテック大手各社は、独自の AI モデルやサービスをいち早くリリースしているが、OpenAI の「ChatGPT」のように、中国国外で広く普及しているローカル AI ツールはまだない。検索大手 Baidu(百度)は「ERNIE Bot(文心一言)」を4ヶ月前にリリースした後、利用可能範囲をまだ社内テストに限定している。Ctrip の AI モデルもテスト段階にあり、利用するには申請が必要だ。

背景:中国企業は、ChatGPT のような AI チャットボットを作成する競争のバリエーションとして、業界特化モデルに目を向けることが増えてきた。特に最近、ジェネレーティブ AI コンテンツを規制する大きな一歩を踏み出したこの国では、国内企業が急成長するテクノロジーを活用する方が安全な道に思える。

地元メディア「Caixin(財新)」によると、北京大学の経済学教授で人口統計学の研究者でもあるジェームズ・リャン氏は、記者会見で中国の長期的な革新性に対する懸念を表明した。革新的な仕事や感情的な仕事はまだ AI に取って代わられることはないとしながらも、出生率の低さが中国の将来のイノベーションの可能性を妨げていると述べた。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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