「AIが開発者のコードを理解してサポート」GitHub、Copilot Chat IDE統合のパブリックベータを発表

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GitHubの ジェネレーティブAIとGPT-4における最新のイノベーションであるCopilot Xは、企業や組織へのリーチを拡大している。7月20日、同社はGitHub Copilot Chatの限定パブリックベータを発表した。これによりGitHubは、Microsoft Visual StudioやVS Codeのような統合開発環境(IDE)に、コンテキストを理解した上で利用できる会話アシスタントを直接、統合することを目指している。

GitHubによると、開発者はCopilot Chatを使うことで、簡単なプロンプトを通じて複雑なタスクに難なく取り組むことができるようになるという。これにより経験レベルに関係なく、すべての開発チームメンバーが、完全なアプリケーションの構築や大規模なコードベースのデバッグを、数日ではなく数分で行えるようになると同社は主張している。

「汎用のジェネレーティブAIチャットアシスタントとは異なり、Copilot Chatは開発者のシナリオに特化して構築されており、開発者がコーディングにほとんどの時間を費やすコードエディタやIDEに統合されているため、開発者が入力したコードや表示されるエラーメッセージをコンテキストと共に理解できます」(GitHubの製品管理担当副社長Mario Rodriguez氏)。

またRodriguez氏は、同社の最新の製品はAIペアプログラマーであり、不慣れなコーディング言語やフレームワークで開発を開始したり、定型的なコードをオートコンプリートしたり、デバッグや単体テストを実施したりするなど、数多くのタスクで開発者を支援するよう設計されていると述べた。

GitHubは、この新しいサービスがソフトウェア開発を民主化し、開発者チームの生産性と満足度を向上させると主張している。GitHubのRodriguez氏は、以下のように続けた。

「ほとんどのAI開発者ツールは、実験段階であるか、まだ規模が実証されていないのに対し、Copilot Chatは、すでに100万人以上の開発者が信頼しているGitHub Copilotを基盤としています。AIが開発者のワークフローをどのように改善できるかを定義し、このような幅広いユーザーベースからのフィードバックに基づいてGitHub Copilotを改良してきました」。

コンテキスト理解による開発者支援

GitHubによると、Copilot Chatは一般的なチャットウィンドウの機能を超えているという。開発者が書いたコードを理解し、表示されるエラーメッセージを解釈することができる。汎用的なジェネレーティブAIチャットアシスタントとは異なり、Copilot Chatはコンテキスト認識を示し、汎用AIに効果的な概念を統合し、開発者の特定の環境に合わせて調整すると主張している。

「Copilot Chatは、開発者がその時何をしようとしているのかを文脈的に把握しています。そのコンテキストによって、そのシナリオに当てはまらないかもしれない一般的なヒントを提供するのではなく、ユーザーに合わせたガイダンスを提供することができます」とRodriguez氏は本誌VentureBeatに語った。

GitHubによると、これまで開発者は、問い合わせや追加のコンテキストを取得するための簡単な方法が存在しなかった。Copilot Chatを使えば、開発者はエディタ・IDEで直接、即座に状況に応じたサポートにアクセスできる。

「Copilotにコードのバグの修正を提案してもらうことができます。あなたのコメントを見てコードと比較することで、Copilotはエラーを認識し、何が間違っていたのかのコンテキストを提供するだけでなく、問題に対処するための修正も提案します」とRodriguez氏は言う。

AIモデルのコンテキストアプローチは、過去20年間でプログラミングが複雑化する中、開発者のワークフローを維持するという課題に取り組んでいる。この複雑さの要因には、言語の普及、クラウド・コンピューティング、プログラミング・フレームワーク、多様なサービスなどがある。

たとえば、正規表現のドキュメントが不十分な場合、開発者は正規表現トランスレータを呼び出す必要はない。代わりに、コードをハイライト表示し、Copilot Chatに説明を要求するだけだ。

理解を超える

コードの理解だけでなく開発者はCopilot Chatに「コードの読みやすさを改善して」とか「コメントを追加」、「検証機能を分離して」と指示することで、コードを強化することができる。

「ユーザーは、Copilot Chatにコーディングの課題に関するサポートを要求することができます。Copilotチャットが最初の応答で質問に完全に答えられなかった場合、フォローアップの質問を続けたり、説明を求めたりすることも可能です。この会話要素により、Copilot Chatは非常に強力なものになります。これは1回で終わるツールではなく、コーディングプロセス全体を通してあなたと一緒にいる会話アシスタントなのです」。

同社は、GitHub Copilotによって驚異的な生産性向上を実現したとしている。GitHubが実施した対照調査では、GitHub Copilotを利用することで開発者の作業達成スピードが55%向上した。初期の調査によると、すべてのプログラミング言語で平均46%のコードがGitHub Copilotで構築されており、Java開発者ではこの数字が61%に急増したという。

セキュリティチェック

Rodriguez氏は、ユーザーはIDE内でCopilot Chatにコードのレビューを依頼できると述べている。このレビューの過程で、Copilot Chatは潜在的なセキュリティ問題を特定し、改善策を提案することがある。

「開発者がStack OverflowやGoogleで検索した場合、バグに対する解決策のバリエーションやパターン、フレーバーに何十種類も遭遇する可能性があり、ユーザーに関連するものはその中にないかもしれません。最終的に、この機能はセキュリティ・スキャンで発見される脆弱性の数を減らすことができます」とRodriguez氏は説明した。

GitHubによると、開発者は人間のプログラマーと同じように自然言語を使ってCopilot Chatと会話することができ、複雑な概念についてのディスカッションが可能になるという。同社は、このアプローチは従来の検索やドキュメントの読み方を凌ぐものだと主張している。

「コード・スニペットの機能を調べるために今やっていることを中断する代わりに、Copilot Chatに質問するだけで、IDEですぐに答えを得ることができます。これは時間を節約し、コーディングをよりインタラクティブで魅力的なものにします。私たちはまた、Copilot Chatが参入障壁を下げ、初心者プログラマーのスキルアップを早めると信じています」。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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